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映画ごとに違う顔を見せるトム・ハーディがすごい!

2016.06.15(Wed) | 清水久美子

最強の悪役から、クールなイケメン、寡黙なヒーロー、エリート捜査官まで、作品ごとに全く別人にしか見えない名演技で観客を魅了し続けているトム・ハーディ。現在38歳の彼は、映画のほか舞台やTVドラマでも活躍している超演技派の英国俳優。6月18日から公開中の『レジェンド 狂気の美学』では、実在したギャングの双子兄弟を一人で演じ分けています。本作を含む、ハーディ出演作5本を紹介し、作品ごとの魅力に迫ってみたいと思います。

『レジェンド 狂気の美学』
レジェンド 狂気の美学
1960年代初頭のロンドンを支配したレジーとロンのクレイ兄弟。貧しい家庭に一卵性双生児として生まれた彼らは、頭脳と腕っぷしでのし上がり、アメリカン・マフィアと手を組んで、政治家やセレブリティと親交を深めながら一大犯罪帝国を築いていきました。 でも、破滅的な行動を繰り返すロンによって組織内に不協和音が生まれ、兄弟の絆と栄華は揺らいでいきます。

トム・ハーディは一人二役でレジーとロンを演じているのですが、撮影現場ではまるでスイッチを切り替えるように、それぞれの役になり切っていたそうです。映画を観ていても、最初は一人二役と思いながら観始めるものの、次第に別人が演じているとしか思えなくなるくらいの熱演ぶり! カリスマ性にあふれ、強い上にビジネスの才覚も兼ね備え、女性をロマンティックに口説くハンサムな兄レジーと、同性愛者であることをカミングアウトし、キレると手がつけられない暴れ者の弟ロン。ハーディは最初レジー役をオファーされたけれど、ロン役を熱望したそうです。両方演じることになりましたが、一本の映画で二役分を楽しませてもらえるのは、ファンにはたまらないですよね!

◆『レジェンド 狂気の美学
6月18日(土)YEBISU GARDEN CINEMA,新宿シネマカリテほか全国ロードショー
(C) 2015 STUDIOCANAL S.A. ALL RIGHTS RESERVED.
配給: アルバトロス・フィルム
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
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アカデミー賞で6部門受賞した、ジョージ・ミラー監督による大ヒット作。かつて、メル・ギブソン主演で3本が製作された傑作アクション・シリーズが、30年ぶりにトム・ハーディが2代目マックスを演じることになって復活。石油も水も尽きかけ、法秩序も崩壊した世界で、愛する家族を奪われ、本能だけで生きながらえて荒野をさまよう元警官のマックスに扮するハーディは、本作ではセリフがとても少なく、過去を引きずりながら葛藤する寡黙な男を演じています。

この映画の見どころは、なんと言ってもぶっ飛んだアクション! 他の追随を許さない、誰も考えつかないような物凄いアクションシーンが満載です。武装集団に囚われ、“輸血袋”扱いで車の前方につながれるマックスを熱演するハーディの姿は、一度見たら脳裏から消えることなく、本当にどんなことにも挑戦するすごい俳優だということが伝わってきます。マックスは心身共につらい境遇の中を生き抜いているので、正直、本作のハーディを見るのはちょっと心が痛いですが、これもまた彼の数ある顔の一つなのです。
『チャイルド44 森に消えた子供たち』
『チャイルド44 森に消えた子供たち』
2009年の「このミステリーがすごい!」海外編第1位に選ばれた傑作ミステリーの映画化。舞台はスターリン独裁政権下のソ連。44人もの子供が殺されているのに、夢のような理想国家を標榜する政権下では犯罪の存在が認められず、連続殺人犯を追う主人公が、真相に迫れば迫るほど国家に狙われてしまうというストーリー。

主演のトム・ハーディは国家保安省(MGB)のエリート捜査官を演じていますが、最愛の妻にスパイの容疑がかけられ苦悩する表情や、国家の暗部を知り、正義を追求しようとする男らしさなど、主人公の内面を秀逸に表しています。極上のミステリーの中でハーディが見せる心理描写にもうならされ、前出の2作とはまた違った彼の魅力が堪能できます。

共演のゲイリー・オールドマンとノオミ・ラパスの演技も素晴らしく、それぞれと対峙することによってハーディの魅力がより引き出され、じっくりと楽しめる一作になっています。
『欲望のバージニア』
欲望のバージニア
禁酒法時代のアメリカ・バージニア州に実在した、危険な密造酒ビジネスを営む、不死身と呼ばれたボンデュラント兄弟を描いたクライム・ドラマ。1931年、バージニア州フランクリン。新しい特別取締役官が着任して高額の賄賂を要求する中、それを一切拒絶する兄弟。彼らは腐敗した権力からの恐ろしい脅迫を受けるけれど、絶対に屈しない長男を筆頭に復讐劇が繰り広げられていきます。

長男を演じるトム・ハーディが、とにかくカッコいいです! 酒を密造しているので真っ当だとは言えませんが、必ず筋を通す最強の兄であり、ジェシカ・チャスティン演じるワケあり女性とのロマンスには思わずグッと来てしまいます。常に役に成りきるハーディですが、本作でのアメリカ南部訛りの話し方を聞くと、彼が英国出身ということを完全に忘れそうな成り切りぶりで、やっぱり本当にすごい俳優だと実感する映画です。
『裏切りのサーカス』
裏切りのサーカス
元・MI6スパイのジョン・ル・カレによる傑作スパイ小説の映画化作品。ゲイリー・オールドマンやコリン・ファースなど、一流の英国俳優たちが総出演しているのが見どころです。東西冷戦下、英国諜報部“サーカス”に長年潜んでいるソ連の二重スパイ“もぐら”を捜し出そうとする心理劇に酔いしれるサスペンス映画です。

“サーカス”の汚れ仕事を請け負う“スカルプハンター”に扮しているトム・ハーディ。明るい色の長めの髪が印象的で、女性と関わりを持つイケメンスパイ役です。情報を聞き出すべき相手と恋に落ち、彼女を救おうと奔走する姿は、静かな名演技を見せるオールドマンと対照的で、ほかの作品とはまた全然違うハーディの一面が見られます。任務を遂行しようとしながらも、感情を優先させる“若者”という印象のハーディも素敵です!

この5作品のほかにも、レオナルド・ディカプリオ扮する主人公から壮絶な恨みを買う役で、アカデミー賞・助演男優賞にノミネートされた『レヴェナント:蘇えりし者』や、車中での独り芝居だけで86分もたせる『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』、実在の犯罪者にキレまくりの熱演で扮した『ブロンソン』などなど、「一体いくつもの顔を持っているの!?」と言いたくなるくらい、カメレオンのように変幻自在のトム・ハーディ。一作ずつチェックしながら、彼のすごさをじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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