歴史ある街並みと味わい深い人間模様が魅力!この夏観たいイタリア映画5選
2016.08.19(Fri) | 足立美由紀
みなさんイタリア映画はお好きですか? ラテンの精神が息づくイタリア映画には、過酷な状況にあっても陽気さとユーモアの精神を失わず、爽やかな感動を与えてくれる秀作が多いような気がします。また貴重な歴史的建造物が人々の日常生活に調和し、作品にさりげなくハイセンスな味付けをしているのもイタリアならでは! 今回は歴史を感じさせる街並みと、味わい深い人間模様が魅力的な「この夏観たいイタリア映画」を5本紹介します。
真逆の立場で“人を救う”中年男性2人が織り成す人生賛歌!『神様の思し召し』

この夏ぜひ観てもらたいのが、昨年の東京国際映画祭でも観客賞の栄光に輝いたこの作品。傲慢な天才外科医が自由な精神を持つカリスマ神父に出会い、人生の宝物を見つけるコメディドラマです。
エリート医師トンマーゾは、同じく医者になるはずだった息子が突然神父になりたいと言い出し落胆します。誰かから悪い影響を受けたのでは?と疑った彼は、息子が敬愛するピエトロ神父が主催する集会に素性を隠して参加するのですが…。
前科者で胡散臭いけれど、慈悲深い心を持つピエトロ神父と行動を共にするうち、トンマーゾは自分が全てに対して身勝手だったことに気づかされます。そして神父から“個人を尊重する大切さ”や “ありのままを受け入れる自由な価値観”を学ぶのですが、迷いをふっきったトンマーゾの晴れやかな笑顔は本当に素敵です。鑑賞後はタイトルの“深さ”にも考えさせられる大人のための映画をぜひ。
◆『神様の思し召し』
8月26日(土)新宿シネマカリテほかにて全国順次公開
⇒オンライン試写会 感想コメント
エリート医師トンマーゾは、同じく医者になるはずだった息子が突然神父になりたいと言い出し落胆します。誰かから悪い影響を受けたのでは?と疑った彼は、息子が敬愛するピエトロ神父が主催する集会に素性を隠して参加するのですが…。
前科者で胡散臭いけれど、慈悲深い心を持つピエトロ神父と行動を共にするうち、トンマーゾは自分が全てに対して身勝手だったことに気づかされます。そして神父から“個人を尊重する大切さ”や “ありのままを受け入れる自由な価値観”を学ぶのですが、迷いをふっきったトンマーゾの晴れやかな笑顔は本当に素敵です。鑑賞後はタイトルの“深さ”にも考えさせられる大人のための映画をぜひ。
◆『神様の思し召し』
8月26日(土)新宿シネマカリテほかにて全国順次公開
⇒オンライン試写会 感想コメント
愛することに臆病になっている娘へ、亡き父から最高の贈り物!『パパが遺した物語』

小説家だった父親と心に傷を負った娘の“時を超えた絆”の物語。幼い頃に交通事故で母を亡くし、後遺症の残る父親との悲しい別離を経験していたケイティは、失うことを恐れるあまり愛する人を作れずにいます。ある日彼女は、小説家だった父親のファンだという青年と出会い恋に落ちますが、過去のトラウマから逃れられず自暴自棄になってしまい…。その場限りの情事を繰り返し、孤独をごまかすケイティ。愛のないSEXにふける自分の姿に、さらに心の傷を深めていく彼女の痛みが画面から伝わってきます。そんな愛することに臆病になっていた彼女を救った父親からのメッセージとは? 落涙必死の感動作です。
姿を見せない依頼人にあなたも翻弄される!?『鑑定士と顔のない依頼人』

『ニュー・シネマ・パラダイス』の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が放つ、極上ミステリー。やり手の美術鑑定士ヴァージルは、遺産の美術鑑定を請け負います。姿を見せず壁越しの声だけで指示をする依頼人に興味をそそられた彼は、美術品の影に潜み、依頼人が若い女性であることを突き止めるのですが。この美しい依頼人に心惹かれてしまう年老いたヴァージルを、ジェフリー・ラッシュが卓越した演技で体現します。ヴァージルの屋敷にある隠し部屋や次第に明らかになる美女の秘密など、次から次へと明るみに出る事実や予想のつかない展開にスクリーンから目が離せません。またヴァージルは美術品の競売を主導する一流のオークショニアでもあるため、日本人にはあまり馴染みのないオークション会場が登場するのも楽しめますよ。
ある日突然ローマ法王に選ばれてしまった男の長~い散歩『ローマ法王の休日』

キリスト教カトリックの総本山・バチカン市国で行われる、新法王選出にまつわる人間模様を描いた心理ドラマ。ローマ法王が逝去し、バチカンでは新しい法王を選出する「コンクラーヴェ」が行われます。決定は難航したものの、ようやく枢機卿メルヴィルが新法王に選ばれ就任演説をすることになりますが、怖気づいたメルヴィルは街へと逃げ出してしまいます。どの枢機卿も心の中では重責のローマ法王になることを嫌がっていたり、新法王が決まるまで外部と遮断された状態で過ごさなければならない枢機卿たちがサッカーで暇をつぶすなど、聖職ながらも人間くさい彼らの様子がユーモアたっぷりに描かれます。また、選出会場となるシスティーナ礼拝堂の流麗な装飾も必見です。
シチリア島一美しい未亡人を見守る、少年の熱いまなざし『マレーナ』
戦争に翻弄される女性を、一途に思いつづけた少年の恋物語。1940年、戦時下のシチリア島。12歳の少年レナートは、村一番の美女マレーナに心奪われます。結婚後すぐ夫が戦地に赴いたという彼女をレナートは朝に夕に見守りますが、その彼女の元に夫が戦死したという知らせが。生きる術を持たなかったマレーナは、弁護士の愛人になったり、ナチの将校たちに身を任せたりと“堕ちていく”わけですが、この役をモニカ・ベルッチが熱演しています。その美貌から<イタリアの宝石>と呼ばれ、最近では『007 スペクター』(2015)でシリーズ最高齢となる51歳にしてボンドガールも務めたモニカ。たった一人で懸命に生き抜こうとする強い女性を演じきった、モニカの高貴な美しさにも注目!
いかがでしたか? 人間ドラマとアートが共存するイタリア映画の魅力を少しでもお伝えできたら嬉しいです。またイタリアでは8月31日から9月10日の日程で「第73回ベネチア国際映画祭」が行われます。日本からは『愚行録』(監督:石川慶/主演:妻夫木聡、満島ひかり/2017年2月18日公開)が出品予定となっていますので、興味がある方はこちらの情報もチェックしてみてくださいね!

Writer | 足立美由紀
フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。Banner
このポストに関連するタグ
イタリア映画ヴェネツィア国際映画祭ジェフリー・ラッシュジュゼッペ・トルナトーレパパが遺した物語ミステリーモニカ・ベルッチローマ法王の休日東京国際映画祭神様の思し召し親子鑑定士と顔のない依頼人関連するポスト
ジュゼッペ・トルナトーレが描く“映画的”シーンが印象的な作品5選
映画には“映画的”シーンというものが存在します。ピタリとはまった構図が観客を魅了するドラマティックなシーン、絶妙なカット…
2016.09.16(Fri) | 春錵かつら

観客を翻弄するトリックに衝撃のラスト!マインドファック・ムービー傑作5選
二転三転の上にドンデン返しと、全く先の読めないストーリー展開。全編に張り巡らされた伏線と仕掛け。謎が謎を呼び、混乱、眩惑…
2016.11.23(Wed) | 大和晶

開催間近!!東京国際映画祭 観客賞受賞作品特集
今年もいよいよ10月25日から東京国際映画祭(Tokyo International Film Festival, TI…
2018.10.24(Wed) | 春錵かつら
