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少年少女、15歳。心も体も不安定で、ちょっぴりおバカだけど愛おしい思春期映画

2016.08.26(Fri) | 小林未亜

ひとえに思春期と言っても記憶はもちろん人それぞれで、甘酸っぱい、苦い、つらい、はたまた黒歴史にしちゃった人も……?今となれば「バカだったなぁ」と笑えるけれど、渦中の自分は、荒れ狂う大嵐の中、本気でもがき苦しんでいたはずです。でもその経験はこの時期にしかできないもので、だからこそ映画など物語の格好の題材となるんですよね。
そんな思春期の只中にいる、15歳の少年少女たちを描いた4つの映画をご紹介します。

『サブマリン』
サブマリン
まずは、80年代のイギリス・ウェールズを舞台にしたオリバー少年の物語から。授業中に「僕が死んだらどうなる?」なんて空想の世界へトリップする、妄想男子オリバー。スマホもネットもない時代、辞書で「破廉恥」という言葉を勉強し、いじめられっ子にタイプライターでしたためた「被害者意識と戦うマニュアル」を送る彼は、明らかに浮いているけどあふれるバイタリティを感じさせます。

やがて彼はある少女と恋仲に…その名はジョルダナ。特別美人ではなく、むしろもっさりとした見た目の女の子ですが、含みのあるニヤリ顔や時折見せるかわいい笑顔に、何だかドキドキさせられます。私は「猟奇殺人犯みたい」の一言で、心を鷲掴みにされました。
そしてジョルダナとの関係に悩むオリバー周辺に、隣人とママとの浮気疑惑といった新たな問題も勃発。「人生がメロドラマなら面倒が起きた時にフェードアウトできるのに」と言うオリバーくん、甘くない現実に四苦八苦しパンクしていきます。

イギリス映画らしくおしゃれに仕上がったオリバーの孤軍奮闘劇は、最後までほほえましく見ていられます。特に“愛の日々”を映した8ミリフィルムの映像や浜辺のシーンはどれも素敵。「僕はプリズムだ、光だ」と謎のセミナーを開く隣人グラハムのインチキ臭さも秀逸です!
『15歳、アルマの恋愛妄想』
15歳、アルマの恋愛妄想
オリバーが妄想男子なら、こちらは男子の妄想を具現化したようなエッチな女の子のお話。山、一本道、グズな羊たち……と、スコッデハイメンというノルウェーの片田舎の風景を淡々と紹介したかと思えば、急に主人公アルマのテレフォンセックスというショッキングなオープニング。アルマは日々エッチな妄想をし、あふれる性欲を一人慰めているのでした。

物語で大きな問題となるのが、「突いたのか否か」。なにを?ナニを、です。あるパーティの席で彼女、恋するアルトゥールに「アソコで太ももを突かれた(照)」なんて発表するから大変。さらには親友相手にもあらぬ妄想をしてドン引かれ、学校で完全に孤立し、不名誉なあだ名までつけられる始末。見ている方も「いいかげんにしなさい、アルマ!」と言いたくなるほどで、ママの苦労もわかります。果たして彼女の青春はどうなるのか……。

最初こそ過激で生々しいですが、何気に爽やかな青春ストーリーです。とにかくアルマがかわいいので、なぜか下品に見えず、目の保養になります。そしてアルマの親友姉妹、グロス中毒のイングリットと、アンニュイにタバコをふかすサラが、いい味を出しているんです。彼女たちを見ているだけで愉快!
『リトル・バード 164マイルの恋』
リトル・バード
こちらの少女たちはもう少し厄介。男を連れ込む母と2人暮らしで、自傷癖のあるリリーと、年老いた父と暮らすアリソン。アメリカ郊外のソルトン湖のある廃れた町で、退屈な毎日を姉妹のように仲良く過ごしていた親友2人。ある日リリーがLAから来た少年に恋をしたことで、2人は車を盗んでLAへ。そこで少年たちと共に、“思春期の過ち”では許されない事件に手を染めていってしまいます。

ソルトン湖では「空気を奪われているみたい」と言い、LAで「生まれて初めて幸せを感じているの」と語るリリー。電車が迫る線路に立ちはだかったり、彼女に対しては最初から危うさを感じ取っていても、LAで鼻をふくらませて興奮する姿にゾクッとしてしまいます。

「人間はどこに行っても愚かで残酷だと思い知った。ここで十分だよ」とは、アリソンが信頼を寄せる牧場主ホーガンのセリフ。アリソンを正しく導く彼の存在が、本作の唯一の救いです。アリソンの声で語られるナレーション「受けた傷の深さは後からわかるものだ」。苦いなぁ。
『くちびるに歌を』
くちびるに歌を
クセの強い作品が並べましたが、最後はデトックス効果もありそうな感動作を。アンジェラ・アキの名曲「手紙 〜拝啓 十五の君へ~」をモチーフにした小説を、青春映画の名手・三木孝浩監督が映画化した作品です。長崎県・五島列島の壮観なロケーションをバックに、代理の音楽教師・柏木ユリと全国大会を目指す合唱部の生徒たちの成長が描かれます。

中心となって描かれる生徒は、母を病気で亡くし父も女と逃げた合唱部部長のナズナと、自閉症の兄を持つサトル。特に、サトルには母性(父性)本能をくすぐられること必至です。人知れず抱える彼らの悩みを知り、過去に捕らわれていたユリの心も次第に溶けていく、そのきっかけとなったのが15年後の自分に宛てたサトルの「手紙」。15歳にして生まれてきた意味を悟ってしまっている彼の言葉に、嗚咽。サトルと兄アキオ(渡辺大知が最高!)の笑顔にまた涙。最強兄弟すぎて、彼らのスピンオフが見たいくらいです。

そして新垣結衣演じるクールビューティー、柏木先生の「逃げるな!」はしびれます。音源を持ち歩き、だらけた自分に喝を入れるスイッチとして使わせていただきたいくらいです。

おわりに

私はおそらく黒歴史として封印してしまったのか、よく思い出せませんが……、彼や彼女たちの姿に自分の思春期が重なる人もいるのではないでしょうか。大人になった今だって、日々もがいていることには変わりないので、当時の自分や彼・彼女たちの姿から、行き詰まりを打破するヒントを得られるかもしれませんよ。

Writer | 小林未亜

編集プロダクションに勤務し、情報誌やWEBの編集・取材・原稿執筆をしています。かつて勤めていた映画館が2つともクローズしてしまったのが悲しく、休日はなるべく映画館へ。この仕事をしていても「衝撃の結末!」などのあおりに弱い

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