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強い意志と諦めない心、多くの命を救った奇跡の実話を描く映画5選

2016.09.23(Fri) | 春錵かつら

多くの人が命の危機にされた時、世の中には時折奇跡が起こり、多くの人の心を慈愛と感動で満たすことがあります。そんな奇跡が実現したのは、強い志を胸に持ち、決して諦めない人がそこにいたから。
いよいよ公開が間近に迫った『ハドソン川の奇跡』もそんな奇跡の物語。2009年にアメリカで起きた「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を、いまやすっかり監督としての知名度が安定したクリント・イーストウッドがメガホンをとり映画化。公開が始まったアメリカではリアルな演出が早くも話題を呼んでいます。
そこで今回は意志と行動で奇跡を起こした人々の実話を基にした映画を5作品、選りすぐってみました。

『杉原千畝 スギハラチウネ』…6000人→4万人以上
杉原千畝
“6000人→4万人以上”これは杉原千畝が救った命の数。
「東洋のシンドラー」と呼ばれた日本外交官・杉原千畝(すぎはらちうね)の半生を描いた日本映画で、主人公の杉原知畝を唐沢敏明が演じました。「シンドラー」とはスティーブン・スピルバーグも『シンドラーのリスト』として映画化した、多くのユダヤ人を救ったドイツ人オスカー・シンドラーのこと。リトアニア赴任中の外交官である杉原が、外務省の命令を無視して時間の許す限り、ユダヤ系難民たちのビザを発行し続け、結果、6000人もの命が救われたという物語です。
実際この件で杉原は1947年に外務省を辞めさせられ、1986年に死去。1991年に杉原の家族が外務省と和解、2000年に日本政府による謝罪があり、公式な名誉回復となりました。名誉回復までに実に半世紀もの時を要したのです。
劇中には「たった1枚の紙切れ」という台詞が何度も登場します。まさにこの「1枚の紙切れ」こそが、杉原を念願の赴任先だったモスクワからリトアニアへと導き、6000人もに及ぶユダヤ系難民たちの命を救ったのも個々の「1枚の紙切れ」でした。現在、この時救われた難民たちの子孫は、40000人を超えます。「世界を変えたい」と言っていた男は、たった1枚の紙切れを通し、6000人ものその後の世界を変えたのです。日本人として是非知っておきたい物語のひとつです。
『ロレンツォのオイル/命の詩』…1人→ ∞現在も。
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本作は1992年のアメリカ映画。昨年大きな話題にもなった『マッドマックス』シリーズを手掛けたジョージ・ミラーが監督を務めました。物語は1984年から始まります。ニック・ノルティとスーザン・サランドン演じるオドーネ夫妻にやっと授かった溺愛する5歳の息子が、ある日突然難病「ALD」(副腎白質ジストロフィー)と宣告され、夫婦で治療法を探すために奮闘する実話に基づく物語です。余命宣告しかできない難病に、医学知識の全くない夫婦は治療法があると信じて日々医学書に挑み、医師や支援団体、科学者たちと衝突してもなお、諦めません。
オドーネ夫妻がこの時に発見した治療薬「ロレンツォのオイル」は、劇中では語られないその後、進行したALD患者に効果がないことで、詐欺やインチキなどの誹謗中傷を浴びました。
ですが2005年、「すでに症状が進行した患者には無効だが、発症前の患者の予防や症状軽減には有効」という論文が発表され、現在では検査で発症前の患児を見つけ、早期から「ロレンツォのオイル」を投与を行うというプログラムが北米では進められているのだとか。2008年に5歳だったその少年は余命宣告だった2年をゆうに超え、30歳に肺炎でこの世を去りました。
タイトルにも入っているロレンツォはオドーネ夫妻の息子の名前ですが、月桂冠を抱いたローマの守護聖人の名前でもあり、この聖ロレンツォは実は図書館の守護聖人でもあります。息子の病気の治療法を探し、日々、図書館に通うオドーネ夫妻の力添えをしたのは、息子と同じ名前の聖人だったのかもしれません。
『ホテル・ルワンダ』…1268人
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アフリカのルワンダで起きた大量虐殺で人々を救った実在のホテルマンを描いたドラマ。監督は『父の祈りを』のテリー・ジョージ、『アイアンマン』で主人公トニー・スタークの友人を演じたドン・チードルが主人公のホテルマン、ポール・ルセサバギナを演じました。
長年燻っていたフツ族×ツチ族による民族対立が激化したのは1994年。フツ族の過激派が巻き起こした大量虐殺は、100日間におよび、約100万人以上もの人々が犠牲になりました。
フツ族の父とツチ族の母の元に生まれたルセサバギナは、父の血統からフツ族として生きてきたものの、妻はツチ族。最初は自分の家族を救うことだけを考えましたが、妻と同じツチ族の隣人たちや穏健派のフツ族の人々の命を救うために彼らを匿うことを決意します。有名ホテルというステイタスと、ホテルマンとしての持ち前のコミュニケーション力だけを武器に、1268人の命を救うため奔走する姿は緊迫感でヒリヒリするほど。スクリーンに広がる虐殺後の景色には言葉を失います。
当初日本では暗い題材と配給権の高額さに公開が危ぶまれていましたが、インターネットによる署名活動で公開が実現した本作。劇中で、記者がホテルに訪れていた女性客に「君はフツ?ツチ?」と尋ねるシーンがあります。「ツチよ」「フツよ」。この問いは別の場面でも頻繁に行われます。同じ肌の色、似た容姿、同じ言葉を話すのに一体何故争うんだ、何が違うんだという問いが、このやり取りから切々と伝わって来ます。ホアキン・フェニックス演じる報道カメラマンがルワンダを後にする時、無力に打ちのめされ、自らを恥じると呟いた一言が忘れられません。
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』…約1400万人
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
第87回アカデミー賞で8部門ノミネート、うち、脚色賞を受賞した本作。第二次世界大戦中にナチス・ドイツが使用していた暗号機エニグマの解読に取り組んだイギリスの数学者、アラン・チューリングの伝記ドラマです。アラン・チューリングを演じたのは「シャーロック・ホームズ」で一躍スターダムにのし上がったベネディクト・カンバーバッチ。理解ある良き友人をキーラ・ナイトレイが好演しています。
描かれるのは暗号解読装置の設計に没頭する人生を送る傲慢で協調性のないチューリングの半生ですが、劣勢だったイギリスの勝利に貢献し、コンピューターの概念を創造した「人工知能の父」と呼ばれた英雄にもかかわらず、悲劇の運命をたどることになります。その孤独には、最愛の親友の死と、当時まだ違法であった同性愛者ということも起因していたかもしれません。彼が人生をかけてのめり込んだ暗号解読は、時として最大多数の最大幸福のジレンマを生みながらも、多くの人々の命を救うこととなりました。この暗号解読機の開発により、終戦を2年早め、約1400万人が死なずに済んだという試算がされています。
「時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げる」劇中に登場するこの言葉は、観客である私たちも勇気づけてくれます。
『ハドソン川の奇跡』…全乗客・乗員155人
(c)2016 Warner Bros. All Rights Reserved
いよいよ公開が迫った『ハドソン川の奇跡』。本作で描かれるのは2009年1月15日に起きたアメリカで起きた「USエアウェイズ1549便不時着水事故」。今から7年前のできごとなので、当時のニュースなどを覚えている人もいるかもしれません。
ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きのUSエアウェイズ1549便が、マンハッタン付近のハドソン川に不時着水した航空事故で、乗務員・乗客155人全員が無事に生還し、機長であったチェズレイ・サレンバーガーは一躍ヒーローになりますが、その後、国家運輸安全委員会の厳しい追及を受けることになるのです。
本作の主人公となる機長チェズレイ・サレンバーガーを演じたのは、トム・ハンクス。クリント・イーストウッド監督は本作で、撮影のための本物の航空機を購入、さらに救助ボートも実際の救助に使用されたものを使い、オペレーターや救助隊、ボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人の役で多数出演させて、事故を徹底的にリアルに再現しています。
奇跡はどのように起きたのか、観客はスクリーンの中の当事者たちと一緒に、その真実を目にするのです。

◆『ハドソン川の奇跡
9月24日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国公開
(C)2016 Warner Bros. All Rights Reserved

まとめ

5つの奇跡を紹介させて頂きましたが、まだ奇跡の実話が描かれた映画は沢山あります。そしてまだ誰も語ることのない奇跡も日々、起き続けているはずです。私たちが奇跡に遭遇するのは、人生でそれほど多くないかもしれません。ですが、こうして映画で遠い国で起きた奇跡や、遠い過去に起きた奇跡を目の当たりにし、“奇跡”がたしかに存在していることを確かめる事は出来ます。
ぜひ多くの奇跡に触れてみてください。あなたの物語が困難な壁にぶち当たった時、それはきっと、信じる力に、諦めない意志になるはずです。
もしあなたが辛いとき、ピンチなとき、素晴らしい奇跡が起こりますように。

Writer | 春錵かつら

映画を主軸にムックや月刊誌、WEBで活動中のフリーライター。 CMのデータ会社にて年間15,000本を超えるCMの編集業務に携わる傍ら、映画のTVCMのコラムを某有名メールマガジンにて連載。 フリーに転身後、大手コンピュータ会社の映画コンテンツのディレクターを務める。料理本、漫画/映画解説本、ペット関連、ビジネス本など、幅広いジャンルで執筆中。著書に「絶対に見逃すな! 犬の症状これだけは!」など。

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