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その愛は永遠?人生の最期を夫婦&家族で考える“終活”ムービー5選

2016.09.28(Wed) | 上原礼子

もしも、長年連れ添った夫婦のどちらかが、先に逝くことになったら…? 結婚生活、子育て、そして突然の病いなど、紆余曲折あった人生だからこそ、最期のひとときに永遠の愛を交わす夫婦、家族の姿は胸に迫ります。先に逝く者、後に遺される者の思いが交錯し、愛する人のその先の幸せを願う、さまざまな決断の形が現れた“終活”ムービー5作をご紹介します。

M・マコノヒー×渡辺謙が樹海で見つける愛…『追憶の森』
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まずは、マシュー・マコノヒーと渡辺謙という日米を代表する実力派俳優とガス・ヴァン・サント監督が、日本の青木ヶ原樹海を舞台に贈る“不思議なミステリー”『追憶の森』です。富士の麓に広がる青木ヶ原を人生の終着点にしようと、日本を訪れたアメリカ人大学講師・アーサー(マコノヒー)は、樹海に入り込むや、出口を求めて彷徨う日本人ナカムラ・タクミ(渡辺謙)と出会います。傷だらけのタクミを放っておけないアーサー。必死に彼を介抱するうちに、2人の間には友情のような感情が生まれます。やがて、アーサーは樹海に来た理由を語り始めますが、それは、彼の浮気を発端にした妻・ジェーン(ナオミ・ワッツ)とのすれ違いやジェーンの病気についてでした…。

『エレファント』『ラストデイズ』『永遠の僕たち』などの作品で、独自の死生観をスクリーンに昇華してきたガス・ヴァン・サントが、この映画で描いたのは、アメリカ発祥の詩から生まれ、日本でも大ヒットした歌「千の風になって」にも通じるような、とても日本的といえる死生観。実は、私たちが日本人だからこそ、主人公のアーサーよりも先に気づいてしまう“秘密”もあり、それらを知った上で見届ける、すべてがつながるラストは必見です。
佐藤浩市&樋口可南子夫婦が野村周平&杉咲花につなぐ愛…『愛を積むひと』
愛を積むひと
エドワード・ムーニー・Jr著のベストセラー「石を積む人」の舞台を、アメリカから「日本で最も美しい村」連合第1号に認定された北海道・美瑛町に移して映画化。十勝岳を望む家で第2の人生を過ごそうと、北海道にやってきた小林夫婦。妻・良子(樋口可南子)は、仕事を辞め手持ちぶさたの夫・篤史(佐藤浩市)に家を囲む石塀づくりを頼みますが、その矢先に持病が悪化し、帰らぬ人に。篤史は失意のなか、妻が生前に書き遺した手紙を手にします。

ひとり娘・聡子(北川景子)との間には長年確執があり、また、石塀づくりを手伝ってくれた若いカップル、徹(野村周平)と紗英(杉咲花)とも、あることがきっかけで距離ができていた篤史。根は優しいのに不器用すぎる大人の男が、石を1つ1つ積み上げていくように、時には補強や積み直しを繰り返しながら前を向いていく姿が、約1年におよぶロケを敢行した雄大な自然のもとに描かれ、感動を誘います。
発明家のおじいさんが【セルフ安楽死マシーン】で示す愛…『ハッピーエンドの選び方』
ハッピーエンドの選び方
イスラエル、エルサレムの老人ホームで妻レバーナと暮らすヨヘスケルは、独創的で、みんなの生活を少しだけ楽にするような発明が趣味。ある日、彼は望まぬ延命治療を受ける親友マックスから「安らかに死なせてほしい」と頼まれ、本人が自分でスイッチを押すことのできる【セルフ安楽死マシーン】を発明します。その装置を使い、マックスは愛妻やヨヘスケルたちに見守られながら安らかに旅立っていきました。

ところが、極秘だったはずのその発明はあっという間にうわさになり、ヨヘスケルのもとには同様の依頼が殺到。その一方で、認知症を患うレバーナは、日に日に症状が悪化していました。やがて、ヨヘスケルとレバーナ夫婦はあることを決断します。尊厳死や介護、終末期医療など、ひと筋縄ではいかないテーマを扱いながら、たっぷりのユーモアと愛に満ちた目線で描かれた本作は、第71回ヴェネチア国際映画祭で観客賞を受賞するなど、世界で絶賛されています。
浅野忠信×深津絵里が黒沢清監督と紡ぐ奇跡のような愛…『岸辺の旅』
岸辺の旅
浅野忠信と深津絵里が3度目の共演にして初の夫婦役、湯本香樹実による同名小説を『ダゲレオタイプの女』の公開も控える名匠・黒沢清監督が映画化。第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて日本人初の監督賞を受賞し、話題を呼びました。「俺、死んだよ」。そう告げながら、3年前に失踪したはずの夫・優介(浅野忠信)が、ある日突然、妻・瑞希(深津絵里)の元に帰ってきます。

やがて2人は、優介が失踪していた間にお世話になった人々を順に訪ねていく旅に出ます。その中で、2人は改めてお互いへの愛を確信していきますが、それまで知らずにいた秘密にも触れることに。浅野さんと深津さんが醸す空気感は、一見ごく普通の夫婦でも、まったくもって普通ではない(だって夫は死人なのですから!)夫婦役にぴったり。きちんとした「さようなら」こそ、遺された人の気持ちにひと区切りをさせるのだと思わずにはいられません。
ロビン・ウィリアムズの“遺言”のような愛…『余命90分の男』
余命90分の男 [DVD]
2014年8月に急逝したロビン・ウィリアムズ最後の主演作。ロビンが演じるのは、人並み外れたかんしゃく持ちの超怒りっぽい男・ヘンリー。ある日の病院で、若い医師シャロン(ミラ・クニス)はそんな彼の様子にブチギレ、思わず「余命は90分」と宣告してしまいます。それを真に受けたヘンリーは、すぐに家に帰って妻(メリッサ・レオ)とベタベタしたり、勘当同然の息子と仲直りしたりするつもりでしたが…。

原題は『The Angriest Man in Brooklyn』、ブルックリンで最も怒れる男。実はヘンリーの怒りには、悲しい理由がありました。しかし、彼の怒りのおかげで、遺される家族も、そしてシャロンも、改めて人生を顧みることができるのです。あるシーンでは、自ら命を絶ったロビン自身とヘンリーが否が応でも重なってしまい、胸が苦しくなりますが、笑いと涙の後に待っているハートウォーミングな幕引きは、まるでロビンからの最後の贈り物のような気がしています。

人生いろいろ、これだけ多様な生き方、多様な家族の姿がある一方で、どうも“死に方”だけは、自由に選ぶことが今もって難しいように思います。それぞれの夫婦や家族の愛のカタチと生きざまに根ざした、逝く人も、遺る人も納得できる人生の終え方。こうした映画を観ながら、皆さんで話し合ってみてはいかがでしょう?

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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