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岩井俊二のみている世界 ~何年経っても色褪せない宝モノ映画5選~

2016.10.19(Wed) | 押尾キャロル

10月25日から東京・六本木を中心に開催される第29回東京国際映画祭。今年のJapan Now部門では「監督特集 岩井俊二」として全5作品の上映が決定。
春先に公開された最新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』で再注目を浴び、まずます目が離せない岩井俊二監督。監督作品の中から、何年経っても色褪せない宝モノのような、ココロに大切にストックしておきたい映画5選をご紹介!

『リップヴァンウィンクルの花嫁』
リップヴァンウィンクルの花嫁
ネットで買い物するみたいに、ポチッと手に入れてしまった王子様。東京という奇想天外な街で、主人公・七海の運命の歯車が動き出す。
近頃、選択肢が多くて決められない。過度に着飾るヒトやモノが溢れかえる世の中で、好きも嫌いもよくわからなくなる。本質は奥深くに何重にもラッピングを施して、自分の手すらも届かない深海の底に沈めてしまう。そんな不要な包装紙をビリビリに破いて、本当の私を見つけて欲しいけれども、そんなこと言えないな。まっ暗闇で孤独を紛らわすために、私たちは今日も’'ねこかんむり'を被って、スマホを片手に見知らぬ誰かと繋がる安心に光を覚える。たった一瞬でも、ココロが通い合ってヒトリじゃないと感じることが出来たら、それはとっても幸せなことなんだと気づかされる。そんなとっても優しい、人肌に温かい映画。だって、この世界はさ、本当は幸せだらけなんです。
映画とは異なる全6話のドラマ版『リップヴァンウィンクルの花嫁 serial edition』もあるので、そちらも要チェック!
『四月物語』
四月物語
やわらかく穏やかな陽射しと、舞い散る桜の香りに春の訪れを感じる。四月になると想い出す、あのはじまりの気持ち。主人公は北海道出身の卯月ちゃん。大学進学を機に東京・武蔵野で一人暮らしを始める。彼女にとって“武蔵野”は特別なもの。その理由とは??
とにかくすべてが心地いい。こんな日常がずっと続けばいいのに。日々アップデートされ続ける物事と忙しく過ぎる毎日に時々忘れてしまう。誰にも“はじめて“はきっとあって、今に繋がっている。コンコンとノックするように、人それぞれココロに秘めた大切な四月の物語があることを教えてくれる。人を前に前へと突き動かす不思議な力は、愛を信じているからこそ成せる技なのかもしれない。
江口洋介、石井竜也、伊武雅刀が織り成す劇中映画、『生きていた信長』も見逃せません!
『花とアリス』
花とアリス
きっと自分にもあった、あの頃の残像がふと思い浮かんで、不思議とリンクしてゆくような感覚。自分のその時の想い出の中に、花とアリスはいないはずなのに。一緒にガタンゴトンと電車に揺られて、風で舞うトランプを海辺で探して、止めどなく降る雨の中でケンカをしたような錯覚に陥る。あたかも自然に、隣ではしゃいでいたような気がしてしまう。これは私の日常だったのかな?と想えるほど、すんなり心が呼応する。
この作品と出会えて好きになって、忘れた頃に何度も観返しては花とアリスと一緒に笑って、いつも決して変わらない大切なものを呼び起こされて、そっと手渡されるようなそんな映画。
公開から11年の時を経て再び動き出した、前章編のアニメ作品『花とアリス殺人事件』もチェック!
『Love Letter』
LoveLetter
拝啓、藤井樹様 お元気ですか?
すべてはこの手紙から始まる、ちょっと不思議な物語。少し風邪気味の大雪の夜には、暖かくして、甘酒片手にこの映画を観たくなる。心も身体にも一発で染み込む特効薬、そんな宝物のような映画だ。
昔から変わらず、ちょっと不器用な男の子の愛情表現は好きな女の子をいじめてしまうこと。そんなことをしても嫌われるだけなのに。でもときたま、普段なかなか見せてくれない真剣な表情で、勇気を振り絞って、その一手に踏み出したんだと感じた時、ぶわぁーとその愛しさに気づくこともある。その気持ちは時を経ても決して変わらない、愛こそが成せる秘密の技なのだ。
映画の神様に愛された本作は、リアルな雪が随所で降り、まるで奇跡のような撮影だったそう。舞台となった北海道・小樽には多くのファンが押しかけ、観光名所となった。
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [DVD]
花火って横から見るとどんな形?“花火”と聞くと、想い出す夏の情景がある。この作品に出会ったことある人なら、きっと誰もがあの少女の笑顔を想い出すだろう。奥菜恵・演じるなずなが溢れんばかりのニコニコ笑顔で、「一緒に花火行こうよ」とはにかむ。あの夏の日の記憶に触れる時、彼女への初恋に胸がほんわかする。花火大会の夜、墨汁のように真っ黒なプールではしゃぐふたり。二度と同じ夏には戻れないと分かっていながらも、あの幸せな記憶をもう一度と願わずにはいられず、繰り返しこの作品を観てしまう。
もともとは「If もしも」というテーマで作られたテレビドラマ。台風が直撃した放送日、高視聴率を取り、異例の日本映画監督協会新人賞を受賞して劇場公開された。また23年の時を経て、東京国際映画祭では六本木ヒルズアリーナでの野外上映会も決定!

岩井監督作品には“シロ岩井”“クロ岩井”と称される特徴がありますが、今回はシロ寄りに近い作品を中心にご紹介させていただきました。「わからない=つまらない」で終わらせてしまうには、めちゃくちゃモッタイナイ…知れば知るほど手放せない作品ばかりです。
現状に満足することなく、決して楽をせずに考えて考えて考え抜いて生み出される世界たち。もう一歩先へと常に新しいことを求め、チャレンジするその精神に魅了され続けてしまいます。良ければぜひ、一度“岩井美学”に触れてみてください。

Writer | 押尾キャロル

映画ライターとしてときたま活動しております。 映画を通じて笑顔を繋げる、Movie Facilitator になりたい今日この頃です。映画はその時の自身のコンディションや鑑賞タイミング、一緒に観た人など、さまざまな条件でいくようにも感じ方が異なる面白発見装置だと考えています。MY映画年輪約3,700本~をフル稼働して、ひとりでも多くの人と語り合えることを期待しています!!

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