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弱冠22歳で大女優の風格!二階堂ふみの魅力がわかる映画5選

2016.11.06(Sun) | 足立美由紀

ラブコメからシリアスまで幅広いジャンルを演じ分ける若手実力派女優・二階堂ふみ。フツ~な女子高生の恋を初々しく演じたかと思えば、フェティッシュなラブシーンもさらっとこなす。どんな役柄を演じてもリアリティを感じさせる高い演技力、そしてその潔い脱ぎっぷりは若干22歳ながら大女優の風格です。今回は『ガマの油』(2009年/役所広司監督)で劇場映画デビューして以来、独自路線を走り続ける彼女の魅力をふりかえってみます。

『蜜のあわれ』
蜜のあわれ
金沢三文豪の1人・室生犀星が晩年に発表した幻想小説を、『シャニダールの花』(2013年)の石井岳龍監督が映画化。老作家と人間に姿を変えた金魚との秘めた恋を耽美に映す文学ドラマです。

この作品で二階堂ふみが演じるのは、老作家が金魚を見ながらイメージした少女“赤子(あかこ)”という難しい役どころ。いわば空想上の人物なわけですが、金魚から人間に生まれ変わったばかり(…という老作家の脳内設定)で、言葉の概念を理解できていない赤子の口から飛び出すセリフはどこか言葉遊びをしているよう。その単語の発信源は老作家の意識のため、赤子が話す言葉もちょっと古風で綺麗な日本語です。

自分のことを「あたい」と呼び、老作家を心から愛し、甘え、そして時には翻弄する赤子。老作家の理想の女性像が投影されまくりの赤子が、無邪気に囁く「そんな強くいじっちゃダメ」ほか “性”をイメージさせるセリフは限りなくエロティック。でも不思議と下品じゃないんです。この作品を奇妙→キッチュへ、お色気→耽美へと誘導し、老作家の空想世界を現実的な映像として成立させているのは、二階堂ふみの「清潔感」と「リアリティ」のおかげと言っても過言ではないでしょう。

また室生犀星を彷彿とさせる老作家を演じた大杉漣がすごくいい。芥川龍之介ほか若くして命を絶った文壇の寵児たちと自分を引き比べ、生き永らえていることに引け目を感じながらも、書き続けずにはいられない作家としての業や愛欲、生への達観が共存する味わい深い人物を創出しています。
『指輪をはめたい』
指輪をはめたい
伊藤たかみの人気小説を映画化。記憶喪失の男性が、所持品の中にあった婚約指輪の相手を探すラブストーリーです。二階堂ふみの初期作品で、前作『劇場版神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(2011年/入江悠監督)では第3回TAMA映画祭「最優秀新進女優賞」、第26回高崎映画祭「最優秀助演女優賞」を受賞、そして翌年公開されたヒミズ(2012年/園子温監督)では第68回ベネチア国際映画祭「マルチェロマストロヤンニ賞 (最優秀新人俳優賞)」を受賞しました。つまり本作はメキメキと頭角を現していた頃の作品です。

山田孝之扮する記憶を失くした主人公・輝彦は、三人のプロポーズ候補者のうちどの女性が本命だったのか見当がつかず途方に暮れます。二階堂ふみはそんな主人公にアドバイスするスケート娘エミ役で登場。ポニーテールをユラユラさせながら、不思議そうに輝彦をのぞき込んだり、日差しを浴びて無邪気に笑う様子はナチュラルで本当に可愛い!

時間の経過とともにエミの表情は困り顔になっていくのですが、劇中エミの想いの移り変わりがピンポイントでつづられていて切ない気分にさせられます。実は岩田ユキ監督から、脚本とは別にエミから見た輝彦についての裏ストーリーをもらい、役作りの補強をしていたそう。とにかく二階堂ふみが初々しくて、思わずニンマリしてしまう1本です。
『私の男』
私の男 [DVD]
作家・桜庭一樹の直木賞受賞作を夏の終わりの熊切和嘉が濃密に描く人間ドラマ。家族の温もりを知らない男・淳悟は、津波で両親を亡くした遠縁の少女・花と寄り添うように暮しています。そんな折、オホーツク海で起きた殺人事件が元で2人の秘密が暴かれていき…という禁断の純愛映画です。

以前から熊切監督との仕事を熱望していたという二階堂ふみ。待望の監督の下で、女性として激変していく花の中学時代から成人までを体当たりで演じています。浅野忠信扮する養父であり愛する男でもある淳悟との愛を守るために、無垢と狂気の間を行き来する花。シリアスで妖艶な花を演じる二階堂ふみに、すでに大女優への片鱗が見てとれるハズ。この演技や様々な活躍が評価され、昨年は日本映画プロデューサー協会から将来有望な新人俳優に贈る「エランドール賞」が授与されました。
『渇き。』
渇き。
告白の中島哲也監督が、役所広司主演で映画化したバイオレンス・ミステリー。原作は第3回「このミステリーがすごい!」の大賞受賞作「果てしなき渇き」(深町秋生著)で、役所広司扮する元刑事でロクデナシの父親が、行方不明になった小松奈菜演じる娘の加奈子の行方を追ううちに娘の隠された一面を知る衝撃の問題作です。

二階堂ふみは加奈子の中学生時代の同級生で、不良娘・那美役。加奈子の暗黒面をあぶり出す重要な役柄で、登場時間は少ないながらも強烈なインパクトを残しています。那美がボクに耳を切られそうになり、「何でみんな加奈子に夢中になるの?」と声を絞り出して呟くシーンはこのシークエンスの圧巻。二階堂ふみの演技の幅に改めて感心させられることでしょう。
『味園ユニバース』
味園ユニバース_web
これまで二階堂ふみの幅広い演技力を紹介してきましたが、実は個人的には彼女の出演作で一番好きかもしれないのがこの作品。監督は『苦役列車』の山下敦弘、主演は関ジャニ∞の渋谷すばるで、大阪を舞台に“音楽”以外は覚えていない男が記憶とともに人生も取り戻す青春ドラマです。

主人公は屋外ライブで見事な歌を披露し、気絶してしまいます。そのライブに参加していた“赤犬”のマネージャー・カスミ(二階堂ふみ)は、彼を「ポチ男」と名付けてカラオケ店を営む自宅に住まわせ、バンドのヴォーカルを担当させようとします。だがポチ男には忌まわしい過去があるようで…。

この映画で二階堂ふみは音楽を愛し、バンドのことをいつも考えている度胸の据わった関西女性・カスミを演じています。カスミは流氷に向かってダイブもしないし、茶髪頭のヤンキーにもならない平凡な女性ですが、渋谷すばる扮するポチ男との息のあったやり取りや縁側の風情は本当に自然で親近感がわく等身大のキャラクター。二階堂ふみの距離感の取り方やバランスが絶妙で、そんな中描かれるビターな人間ドラマは絶品。日本映画の良さをじっくり味わえる良作ではないでしょうか。

石井岳龍、岩田ユキ、中島哲也、熊切和嘉、山下敦弘。今回紹介した作品の監督名を見るだけでも二階堂ふみが演技派として高く評価されていることが伺いしれる気がします。2016年だけでも6本の出演映画が公開されている超売れっ子の二階堂ふみ。この快進撃はまだまだ続きそうですね。

Writer | 足立美由紀

フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。

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