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これが実話とは!驚きの社会派ヒューマン映画5選

2016.11.13(Sun) | 斎藤香

実話の映画化が多い昨今の映画界。“事実は小説より奇なり”というわけで、「これホントに?」と驚かずにいられないことが現実に起こっており、そんな驚きの実話をベースにした、社会派ヒューマン映画をピックアップしてみました。リアルなストーリーはあなたの心を震わせること必至です。

『弁護人』
弁護人
監督で1100万人を動員した大ヒット作『弁護人』は、税務弁護士がある事件をきっかけに人権派弁護士として政府を相手に闘う姿を描いた作品です。ヒットの要因は、主人公のモデルが故・盧武鉉元大統領であり、その主人公を韓国の名優ソン・ガンホが演じているからかも。これは見ないわけにいかないでしょう!

高卒で司法試験に合格して判事になったソン・ウソク(ソン・ガンホ)ですが、学歴社会の法曹界では居場所がなく、税務弁護士に転身します。不動産登記業務で成功した彼でしたが、なじみのクッパ屋の息子が公安当局に突然逮捕されたことをきっかけに、軍事政権の理不尽な行為に怒りを抱き、闘う決意をするのです。

前半はウソクが税務弁護士としてのし上がっていくサクセスストーリーですが、後半一転。軍事政権の闇を明らかにしようと立ち上がるウソクの正義を描いています。公安当局の暴力的で非情な行いには、怒りのあまり手がわなわな震えてしまうほど。そんな不条理を許さず闘い抜いたウソクの勇気! 実話の重みがこの映画を見応えあるものにしています。

◆『弁護人
2016年11月12日(土)公開
(C)2013 Next Entertainment World Inc. & Withus Film Co. Ltd. All Rights Reserved.
『誰も知らない』
誰も知らない
主演の柳楽優弥が第57回カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した是枝裕和監督作。
1988年に実際に起こった巣鴨子供置き去り事件をベースにした作品で、この映画で事件を知った人も多いようです。親に捨てられた子供がどう生きるのか……その姿を丹念に追い駆けた是枝監督の傑作の1本です。

母親のけい子(YOU)と4人の子供たちがアパートに引っ越してきました。しかし、ある日、お金と手紙を残して母は出て行ってしまいます。捨てられたと思った長男の明(柳楽優弥)は弟や妹に知らせず生活を続けて行こうとするけれど、電気も水道も止められてしまい……。

言葉は少ないけれど、生命力と感情の機微を瞳に宿した柳楽優弥の名演も印象的ですが、母親を演じたYOUも好演。楽しいことだけを追い駆けて生きる母親をユーモアも加味して演じ、彼女のおかげで物語の悲惨さが少し緩和した感があります。とはいえ、育児放棄は深刻。子供だけで生きることの限界がこの映画ではしっかり描かれており、心に重い余韻を残す作品です。
『クイズショウ』
クイズ・ショウ [DVD]
1950年代を舞台に、クイズショウ番組が全盛期のテレビ界で起こった実話スキャンダルを映画化。テレビの影響力の強さに加えて、ショービジネス界の道徳観を斬ったロバート・レッドフォード監督の野心作です。

人気クイズ番組「21(トゥエンティワン)」で、連続勝利をおさめるクイズ王のハービー(ジョン・タトゥーロ)。しかし、彼は視聴者からの人気がなく、スポンサーに見栄えのいい男に変更しろと言われた製作陣は、大学講師のチャールズ(レイフ・ファインズ)を抜擢します。番組側はハービーを説得してわざと負けさせ、チャールズを王者にしますが、ハービーがインチキを暴露してしまうのです。

番組のやらせ問題は日本でも問題視されますが、ずっと前からあったこと。華のない実力者より、実力はないけど華のある人物の方が大衆は好きなのです。そんな目に見えない人気、高視聴率、流行という虚ろなものに翻弄される人々を実際に起こったスキャンダルを通して表現したレッドフォード監督、さすがです!
『ニュースの天才』
ニュースの天才
1998年にアメリカで実際に起こった政治記者のねつ造事件を映画化した作品。なんでこんな明らかな創作記事が見過ごされてきたのかとビックリなメディアの大事件をヘイデン・クリステン主演で映画化した作品。

政治雑誌「ザ・ニュー・リバブリック」の敏腕記者スティーブン(ヘイデン・クリステンセン)は25歳ながらエース記者。彼の記事はユニークで取上げる題材も語り口も素晴らしいと評判です。しかし、好評な記事がねつ造であると、他の雑誌の記者に指摘されてしまい、編集長(ピーター・サースガード)に詰め寄られたスティーブンは……。

ねつ造記事がまるごとフィクションなんて編集長は何していたんだと思いつつ、主人公が編集部内でも好青年で人気者だったというのが逆に薄気味悪いです。ヤバイヤバイと嘘の上塗りをしていく主人公の焦りがなんともイタい……。世の中をなめていると痛い目に合う、嘘は必ずバレる!ということがよくわかる映画です。
『あなたを抱きしめる日まで』
あなたを抱きしめる日まで
アイルランドの主婦フィロミナが生き別れた息子を探す旅を綴ったノンフィクション「The Lost Child of Philomena Lee」が本作のベース。この本の執筆者マーティン・シックススミスと一緒に息子を探す主婦フィロミナの物語を映画化したのが本作です。

10代で出産を経験したフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、厳格なカソリックの掟に従い未婚の母として修道院へ。息子は彼女の許可なく養子に出されてしまいます。50年後、彼女は、記者として再起を目指すマーティン(スティーヴ・クーガン)と息子を探す旅に出ることに。フィロミナは息子との再会が目的。マーティンは親子の再会を記事にするのが目的だったのですが。

フィロミナとマーティンのロードムービーは、道中、笑いもありますが、見終って感じるのは50年前のアイルランドの修道院の在り方、未婚の妊婦への扱いのキツさ。勝手に子供を他者に渡すってありえないと怒り心頭です。しかし事実を受け止めるフィロミナの信仰心と気高さにはもう号泣。ジュディ・デンチは本作でも神演技を見せています。

いずれの作品も実話をベースにしつつも、ドキュメンタリーではありませんから、事実を曲げずに多少の脚色を加えて良質の映画に仕上げています。社会派ヒューマンの実話は、作り話みたいな仰天の事実ばかり! 映画鑑賞を楽しみながら、いろいろ学べる5作品です。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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