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家族がそろえば…それだけで大事件! 不器用な愛に感涙の5作

2017.01.08(Sun) | 上原礼子

年末年始や冠婚葬祭などは、家族・親戚一同が故郷に勢ぞろいする特別な日。慣れ親しんだ食卓を囲み、久しぶりの面々が顔を合わせる晩餐は和やかに会話も弾む…と思いきや、そうとは限りません。映画の中では、ふだん離れて暮らす家族が勢ぞろいすると、決まって事件が巻き起こります。不器用な愛情表現が交錯する、5つの家族を例にご紹介しましょう。

『グリフィン家のウェディングノート』
グリフィン家のウェディングノート
ロバート・デ・ニーロ演じる、芸術家のドンが家長のグリフィン家。家族はみな開けっ広げな性格で、何でも正直に言い合うのがいいところ。しかし、いつも余計なひと言ふた言があり、ドタバタが絶えません。あるとき、養子である次男アレハンドロが結婚することになり、10年ぶりに一堂に会した家族。結婚式には次男の実の母親もやってくることになりますが、彼女は敬虔なクリスチャン。ドンと元妻エリーは離婚がバレないよう、夫婦のフリをすることになりますが…。

まず、ドンの別れた妻エリーを演じるのはダイアン・キートン、現在ドンと暮らしている恋人にはスーザン・サランドン、不妊治療がもとで夫と不仲の長女には『キス&キル』のキャサリン・ハイグル、30歳目前にして童貞卒業を目指す長男には『ニュースの真相』のトファー・グレイス、さらに結婚を控えたカップルには『ナルニア国物語』シリーズのベン・バーンズと『パパが遺した物語』のアマンダ・セイフライド、教会の神父には故ロビン・ウィリアムズと、顔ぶれがとにかく豪華。下ネタ多めでぶっ飛んではいるものの、肩の力を抜いて楽しめる大人のための辛辣な群像コメディとなっております。特に、『マイ・インターン』などで女性ファンを増やしたデ・ニーロの、ダメダメなエロおやじっぷりがキュートです。
『クーパー家の晩餐会』
クーパー家の晩餐会
続いては、クリスマス休暇に実家に集まったクーパー家の面々。ダイアン・キートン&ジョン・グッドマンが演じる、離婚することを決めたシャーロット&サム夫婦を中心に、4世代の家族やその友人(?)が集います。雪に包まれたクリスマスの風景はどこか幻想的で、さまざまな古き良き思い出を想起させます。もちろん、思い出したくない出来事までも…。つらい過去や“秘密”にとらわれていた家族が、何もかも真っ白に染めてくれる雪の日に集うことで、今を見つめ、真っさらな未来へと歩き出します。

母シャーロットに会うことが苦痛で、実家までの足どりが重くなる長女にはオリヴィア・ワイルド、彼女が“婚約者”と称して連れてくる軍人にはジェイク・レイシー。さらに、姉シャーロットに対するコンプレックスのあまり、万引きをしてしまう“一家の問題児”エマにはマリサ・トメイ、シャーロットの父にはアラン・アーキン、彼の行きつけのダイナーの幸薄いウエイトレスにはアマンダ・セイフライドなど、実力派キャストが集結。特に、オリヴィアとジェイクの性格正反対カップル、アランとアマンダの年の差カップルの会話がウィットに富み、唸らされることばかりです。
『しあわせの帰る場所』
しあわせの帰る場所
2016年、『デッドプール』の世界的ヒットで大人気となったライアン・レイノルズが出演した、2008年製作のヒューマンドラマ。小説家のマイケルは、ある家族の集まりをきっかけに17年ぶりに故郷テキサスに帰省します。しかし、その途中、思いがけない事故で母・リサが亡くなってしまうことに。母の死により、幼いころから折り合いが悪かった父との確執がますます深まってしまいます。

常にその2人の間に入り、時には毅然と夫の言動を制し、息子にはたっぷりの愛情を注いでいた母親を演じたのは、ジュリア・ロバーツ。厳格で不器用な父にはウィレム・デフォー。さらに、マイケルと年が近く友人同士のように育った叔母には『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』のエミリー・ワトソン、マイケルの妻役には『マトリックス』のキャリー=アン・モスと演技派がずらり。肉体派やコミカルなイメージが強いライアンですが、本作では終始、繊細な演技で感情の機微を表現しており、現在と過去を行き来する物語に観る者を引き込みます。特に、まだ幼い“いとこ”の二人兄妹との関わり方は愛に満ち、実生活でのパパぶりも想像できそう。また、ジュリアの凜とした母の姿は強い印象を残します。
『8月の家族たち』
8月の家族たち
そのジュリア・ロバーツとメリル・ストリープという2人のオスカー女優が母娘役で初共演を果たし、ピュリッツァー賞とトニー賞を受賞したトレイシー・レッツの戯曲に挑みました。舞台はオクラホマ、8月。じっとりとした猛暑の季節。父が突然失踪したことをきっかけに、久しぶりに再会した三姉妹。母・バイオレットはがんを患っており、薬漬けの日々。毒舌にさらに拍車がかかり、一家が勢ぞろいした食事の席で“真実”を次々とぶちまけていくのですが…。

失踪する父にはサム・シェパード、長女ジュリアの夫にはユアン・マクレガー、その反抗期の娘にはアビゲイル・ブレスリン、三女役にはジュリエット・ルイスなど、本作もまた超豪華キャスト。プロデューサーにジョージ・クルーニーが名を連ねています。特に、第86回アカデミー賞主演女優賞&助演女優賞にそろってノミネートされたメリルとジュリアの母娘バトルは凄まじく、20分にも及んだ食卓のシーンは、最後には取っ組み合いに。実際そこまでやるとはほかの共演者たちには知らされていなかったそうで、彼らが驚きと困惑の表情で2人のバトルを制止するシーンは必見です。また、海外ドラマ「SHERLOCK/シャーロック」やマーベルの新ヒーロー『ドクター・ストレンジ』で知られるベネディクト・カンバーバッチが、かつてないドジっ子キャラで三姉妹のいとこを演じており、要注目です。
『あなたを見送る7日間』
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ある日、父親が亡くなり、久しぶりに集まった兄妹たち。ジェーン・フォンダ演じる自由すぎる母を中心に、彼らは7日間ともに喪に服すユダヤ教式の弔い“シヴァ”をすることに。しかし、それはある人にとって最悪のタイミングだったり、これまで触れずにきた問題を改めて表出させたりと家族は大混乱に。それぞれに問題を抱える彼らは、再び家族の絆を深めていくことができるのでしょうか…?

『ナイト ミュージアム』シリーズのショーン・レヴィが監督を務めるヒューマンコメディにも、そうそうたるキャストがそろいます。『ディス/コネクト』『モンスター上司』のジェイソン・ベイトマンに、「30 ROCK」のティナ・フェイ、『アントマン』のコリー・ストール、さらに末っ子の天然“問題児”には、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のアダム・ドライバー。みな、家族に対してやるせない思いを抱えている中、1人、末っ子のアダムだけが明るく、本能のままに生きているかのよう。女性問題では“ダークサイドに堕ちている”ものの、何気に家族の潤滑剤となっているのです。

スター俳優たちが親子や兄弟姉妹となり、家族の悲喜こもごもを紡ぐ群像劇は、映画の醍醐味の1つといえます。そんな映画を楽しみながらも、つい考えてしまうのは自分の家族のこと。家族って確かに面倒くさいことも多いですが、同じ遺伝子を受け継ぎ、ひとつ屋根の下で共に暮らしてきた彼らは、自分自身を映し出す鏡のような存在なのかもしれません。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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