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大統領の身に起こる“様々な出来事”を描いた映画5選

2017.01.20(Fri) | 斎藤香

米国の新大統領ドナルド・トランプ就任日は2017年1月20日(現地時間)。おそらく世界中が注目するであろうそのタイミングに、大統領映画を見てみましょう。食、恋愛、家族、死……その人生とは。今改めて大統領という存在を考えるきっかけをくれる映画ばかりです。

元フランス大統領のフランソワ・ミッテランの専属シェフ、ダニエル・デルプシュをモデルにした物語。初めてエリゼ宮殿入りした料理人の体験を描く。『大統領の料理人』
大統領の料理人
フランスの片田舎で小さなレストランを営むオルタンス(カトリーヌ・フロ)がミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)の指名でプライベートシェフに任命されます。張り切るオルタンスですが、宮殿の厨房には決め事が多く、かつ、男性だけで構成されていた料理チームに女性が入ったことで波風が。しかし、オルタンスが一番気にしているのは、自分の料理に対する大統領の気持ち。感想、好みの味などの情報が一切入ってこないのです。

大統領の食生活の一端がのぞける内容であり、女性シェフが斬新な料理で、約束事に縛られた厨房に新風を巻き起こす展開はワクワクさせられます。また料理のヴィジュアルが実においしそうで、空腹状態で見ると危険注意報! 唯一の女性シェフはベテラン男性シェフたちとどう交流していくのか。そしてミッテラン大統領の感想が聞きたいと願う彼女の気持ちは大統領に伝わるのか。食を通して大統領の素顔が垣間見られる作品です。
奴隷からホテルのボーイを経て、大統領の執事を30年間勤め上げた実在の大統領の黒人執事ユージン・アレンをモデルにした物語。『大統領の執事の涙』
大統領の執事の涙
親を失い、白人の家族の家に仕える奴隷になったセシル少年。ホテル勤務を経て、大人になったセシル(フォレスト・ウィテカー)は、スマートで上品なサービスが買われて大統領の執事として勤務することに。以来、アイゼンハワー(ロビン・ウィリアムズ)、ケネディ(ジェームズ・マースデン)、ニクソン(ジョン・キューザック)、レーガン(アラン・リックマン)などに仕え、ホワイトハウスの中でアメリカの歴史とともに生きることになるのです。

仕事に誇りを持ち、誠実でスマートな振る舞いで歴代大統領の信頼が厚かったセシル。映画は、各大統領のチャーミングな一面をクローズアップしています。本当はもっとクセ者がいただろうなと思ったりもしつつ、誠実な執事の視点で捉えているので、マイナス点は追求していません。名演のフォレスト・ウィテカーのほか、執事仲間にレニー・クラヴィッツとキューバ・グッディング・Jr.、セシルの妻役はオプラ・ウィンフリー、母役はマライア・キャリーなどオールスターキャストの共演も見物です。
第32代大統領ルーズベルト大統領と愛人デイジーの逢瀬にジョージ6世のエピソードを重ねたルーズベルト大統領の物語。実在したデイジーの手紙や日記をもとに映画化。『私が愛した大統領』
私が愛した大統領
ルーズベルト大統領(ビル・マーレー)の従姉妹デイジー(ローラ・リニー)は大統領の話し相手として呼ばれ、やがて二人は愛人関係になります。大統領は、妻よりもデイジーとの日々に安らぎを感じている様子。デイジーは、英国のジョージ6世と大統領のトップ会談の間、彼と会えない寂しさから、二人の秘密の隠れ家へ行くのですが、そこで大統領の秘密を知り……。

1930年代を舞台にした大統領と愛人のドラマ。とはいえ、ドロドロ恋愛劇ではなく、ふたりの関係はホンワカ穏やかです。30年代の衣裳や美術、自然の美しさも印象深い。ジョージ6世との会談も、政治的な側面よりも、吃音に悩むジョージ6世と小児麻痺に苦しんでいたルーズベルトが友情を築く様を見せていきます。あくまでデイジー側の資料をベースにした物語なので、どこまで真実かわかりませんが、ルーズベルト大統領は、女性も放っておけない魅力に満ちていたことは確かなようです。
第16代アメリカ大統領リンカーンの公私を描き、主演のダニエル・デイ=ルイスがアカデミー賞主演男優賞に輝いたスティーブン・スピルバーグ監督作。『リンカーン』
リンカーン [DVD]
貧しい家に生まれて苦労の末に大統領の座をつかんだリンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)。奴隷制に反対を唱える彼は、その信念を全うするまで南北戦争をやめるわけにはいきませんでした。しかし、私生活では妻(サリー・フィールド)との口論が絶えず、長男(ジョセフ・ゴードン=レビッド)は親の意に反して北軍に入隊してしまう。奴隷解放に尽力を注ぐリンカーンは苦しみながらも信念を全うしますが……。

ダニエル・デイ=ルイスの素晴らしい演技により、映画を見終ったあと「リンカーンに会った」感で胸いっぱいになります。大統領として、父として、夫としてのリンカーンの苦悩。その根底にあるのは戦争や人種差別であり、それゆえに人は苦しむのだということが、彼を通して伝わってきます。大統領の責務の重さに耐え、多くの物を失いながらも、民衆を導くことができる力があるからこその大統領なのだというのがよくわかります。
ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件の真相を追い駆ける地方検事ジム・ギャリソンらの捜査を克明に、かつ、スリリングに描いたオリバー・ストーン監督作。『JFK』
JFK<ディレクターズ・カット/日本語吹替完声版> [DVD]
1963年11月22日、テキサス州ダラスで第35代アメリカ大統領のジョン・F・ケネディ暗殺事件が起こります。犯人はリー・ハーヴィー・オズワルド(ゲイリー・オールドマン)と発表されますが、彼も殺されてしまう……。一連の事件に疑問を抱いた地方検事ジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)は、暗殺事件の真相を解明しようと内密に動き出し、裏で動いていた人物を次々とあぶりだしていきます。しかし、真相に近づくほど、彼の家族に危険が及んでしまい……。

有名なジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を追求した実在のジム・ギャリソンが主人公。大統領の人となりに迫った作品ではありませんが、大統領の暗殺事件はどこでも起こる可能性があり、また暗殺は実に巧妙に策略を巡らせて起こる場合も多いというのがよくわかります。その暗殺の真相を追い駆ける本作は、まるでディスカッション映画。捜査の内容、あらゆる可能性をギャリソンらが意見交換していく展開でセリフの大洪水ですが、その中に貴重な情報があるので、緊張感がハンパありません!

報道で知る大統領の顔とは違う、素顔が垣間見られ、人間くささがスクリーンから伝わるほどに、感動が高まる大統領映画。今後、オバマ元大統領やトランプ大統領、またフランスのシラク、サルコジ元大統領、はたまた韓国のパク・クネ大統領の映画も作られるかも! まずは歴代大統領の映画をお楽しみくださいね。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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