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夫婦とは永遠の恋人にして運命共同体-夫婦愛に涙する映画5選

2017.02.26(Sun) | 上原礼子

結婚という道を選ばない若者が増えているそうです。確かに「結婚て、いいものだよ」と大手を振っては言えない部分はあれど、「伴侶」という言葉にも象徴されるように、人生を一緒に連れ立つ存在は、苦境に陥ったときこそ“ありがたい”もの。さまざまな困難をともに乗り越えていく夫婦には、いつの世も心震わされる愛の物語があります。

言葉はいらない真実の愛 『ラビング 愛という名前のふたり』
ラビング 愛という名前のふたり
今からわずか60年ほど前、アメリカのいくつもの州では異人種間の結婚が法律によって禁止されていました。この映画はそんな時代に結ばれ、やがて法律を変えたラビング夫妻の知られざる実話を映画化。その実話に心動かされ、自ら製作会社を設立してまでプロデューサーを買って出たのは、『英国王のスピーチ』のオスカー俳優コリン・ファースです。

1958年、大工のリチャード・ラビングは恋人のミルドレッドと法律で許されるワシントンDCで結婚し、地元・バージニア州のミルドレッドの実家に身を寄せますが、保安官によって逮捕されてしまうことに。州からは執行猶予の条件として「離婚しないのなら、今後25年間は一緒に州に戻ってはならない」と通達されてしまいます。仕方なくワシントンDCで暮らし、3人の子どもに恵まれた夫妻。やがて、公民権運動の高まりを知ったミルドレッドは、ロバート・ケネディ司法長官に向け「愛する夫と生まれ故郷で夫婦として暮らしたい」と1通の手紙を書くのですが…。

幾多の裁判のプロセスや、非難や嫌がらせの数々を乗り越えるたびに、いっそう深まっていくふたりの愛が、丁寧に描かれていきます。この夫婦は、リチャードが口下手で職人気質なこともあり、それほど多くの言葉を必要としません。「どうする?」「どうしたらいい?」そんな会話がふたりの視線によって交わされ、そっと手を握り合ったり、肩を抱き寄せたりすることで思いが伝わっていきます。この言葉を超えたスキンシップにこそ、お互いへの深い思いと信頼を感じます。愛とは、一緒にいる日常の、静寂の安らぎの中にこそあるのだと思わせてくれます。まさに、その名の通りにラビング(Loving)な夫婦を演じたのは、『アニマル・キングダム』『ウォーリアー』の演技派ジョエル・エドガートンと、自身も白人と黒人の両親を持つルース・ネッガ。ネッガは第89回アカデミー賞にて主演女優賞に初ノミネートされましたが、エドガートンのまるで別人のような役作りも必見です。

◆『ラビング 愛という名前のふたり
3月3日(金)全国順次ロードショー
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ただ寄り添い続ける愛 『妻への家路』
妻への家路
マット・デイモン主演の最新作『グレートウォール』ではスペクタクル超大作に挑んでいるチャン・イーモウが、公私にわたるパートナーだったコン・リーと組んだ切なすぎる夫婦の愛の物語。こちらも、時代に翻弄された夫婦といえます。1977年、文化大革命が終結した中国。20年ぶりに解放された陸焉識(ルー・イエンシー)は妻の馮婉玉(フォン・ワンイー)とようやく再会しますが、夫の帰りを待ちすぎた妻は心因性の病いを抱え、夫のことだけがすっぽりと記憶から抜け落ちていました。

そんな両親に対して、あることから贖罪を抱える娘・丹丹(タンタン)をイエンシーは受け入れ、ワンイーの家の向かいで暮らし始めるように。自分のことだけを忘れてしまった妻に、優しく寄り添い続けるのでした。この映画で特に注目すべきは、ラストシーンまでの数分間。白髪になったふたりが、雪の降りしきる駅で佇む姿に涙が止まりません。
もう一度、夫婦になる 『31年目の夫婦げんか』
31年目の夫婦げんか
トミー・リー・ジョーンズとメリル・ストリープが『プラダを着た悪魔』『素晴らしきかな、人生』のデヴィッド・フランケル監督のもと、結婚31年目、“熟年離婚”一歩手前の夫婦に。起床から出勤、そして夕食後の過ごし方まで、まるで流れ作業のような毎日。そんな結婚生活を打破しようと、妻は1週間集中のカップル・カウンセリングを申し込むのですが…。

「空気のような存在」とはよく言いますが、その境地をもはや越えてしまったような夫婦。実は、夫婦で触れ合うことがこんなにも難しかったなんて…と苦悩する熟年ふたりに学ぶことは数多く、その深い溝を埋めるための“荒療治”はコミカルでありながらも、胸に迫ります。ちょっぴり胡散臭い(?)カウンセラーを演じたスティーブ・カレルもいい味を出しています。
新婚なのに別居!? 『人生は小説よりも奇なり』
人生は小説よりも奇なり
ジョン・リスゴーとアルフレッド・モリーナという名優ふたりが演じるのは、39年間、連れ添った同性カップル。画家のベンと音楽教師のジョージは同性婚が合法化されたニューヨークで、ようやく式を挙げたのもつかの間、結婚がジョージの職場に知れ渡るとクビに。長年暮らした部屋も手放すことに…。

新婚ホヤホヤなのに、別居。しかも、ベンが身を寄せた甥っ子の家の嫁(マリサ・トメイ)も大変です。息子の部屋にベンを泊めるも、年頃の男の子ですから、いろいろあります。一方、若い同性カップルの家に居候するジョージはパーティ三昧の彼らの生活に疲弊気味。たまりかねて、ベンに会い行き、久しぶりに二段ベッドで寄り添って眠るふたりの姿に涙…。当たり前はけっして当たり前ではなく、お互いへの思いやりと少しの努力と、周りの人たちの存在もあり、夫婦という関係は成り立っているのだと思わせてくれます。また、この夫婦が人を愛することの大切さを次の世代に伝えたラストシーンも素晴らしく、じんわりと心が温かくなります。
手をつないで一緒に逝く究極の夫婦愛 『あなた、その川を渡らないで』
あなた、その川を渡らないで
「結婚とは?」「夫婦とは?」ーー。そんなあくなき疑問について、1つの指標となりそうなドキュメンタリー。韓国の山村で慎ましく暮らす老夫婦、その“白髪の恋人たち”の日常と、避けては通れない別れを描きます。韓国ではドキュメンタリー映画の記録を塗りかえる大ヒットに。取り上げられたおばあさんに取材が殺到し、監督自ら自粛を求めるメッセージを発信するなど社会現象となりました。

19歳と14歳で結婚したふたり。76年という結婚生活は天文学的に信じられない数字に思えます。そんなおじいさんとおばあさん、庭の落葉を掃除すれば葉っぱ投げがはじまり、初雪が降れば雪合戦、川で野菜を洗うおばあさんの横におじいさんがポチャンと石を投げれば、「さっきのお返しよ」と水かけっこが始まる始末。お茶目か!

しかし、そんなふたりは、12人の子どものうち6人を病気などで早くに亡くしており、息子や孫たちも遠くに離れて暮らし、2匹の犬を溺愛中。やがて、そのうちの1匹が亡くなり、「次はおじいさんの番だ」とおばあさんは独りごちます。人は老いと死の運命に逆らうことはできません。それでも、「手をつないで一緒に逝くんだ」というおばあさん。これが伴侶というものかと、その姿に心打たれます。

そのほか、まさに『ラビング』の時代に結婚したモーガン・フリーマンとダイアン・キートンが夫婦役の『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』もおすすめ。いずれも、隣にいる伴侶が途端に(?)愛おしくなる映画ばかり。同じ人生を寄り添いながら、ともに生きる夫婦。できることなら、“死が2人を別つまで”永遠の恋人同士でありたいものです。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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