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人との出会いが人生を変える。心を揺さぶる出会いの映画5選

2017.03.12(Sun) | 小林未亜

これまでの人生をふと振り返ってみると、「あの人との出会いがターニングポイントだったなぁ」なんて思い当たる人は多いのでは。最終的に進む道を決めるのは自分だけれど、人との出会いで思わぬ進路が開けたり、あと一歩を踏み出せたり、あるいは本当につらい時の救いになったり…。

3/18(土)から公開される「わたしは、ダニエル・ブレイク」は、まさに人との出会いの大切さを教えてくれる作品。そのほかさまざまな出会いを描いた4作と合わせて紹介します。

名匠が引退撤回してまで伝えたかったメッセージ 『わたしは、ダニエル・ブレイク』
『わたしは、ダニエル・ブレイク』ポスタービジュアル
心臓の病を抱え、医師から働くことを止められてしまった59歳の建具工、ダニエル・ブレイク。複雑に入り組み矛盾をはらんだ制度によって、必要な援助を得られないばかりか、がんじがらめにされてしまう。そんな時、職業安定所で出会ったのが、幼い子供二人を抱えたシングルマザーのケイティ。ダニエルは仕事もお金も頼れる身寄りもない彼女を手助けし、やがて家族のような絆で結ばれていくが、現実は容赦なく彼らを追い詰めていく…。

壊れてしまいそうなケイティに手を差し伸べるのが、本来助けが必要なはずのダニエル。過酷な運命に飲み込まれて限界ギリギリを歩きながら、心を添わせて助け合うことでかすかな希望を持ち、そして人としての尊厳を守ろうと立っている。彼らにやがて幸せが訪れる…そんな甘いおとぎ話ではないけれど、助け合うことで人生はほんの少しでもいい方向に変わる、そう信じたいと思わせてくれます。

イギリスの名匠ケン・ローチ監督が、前作での引退宣言を撤回してまで伝えたい物語として制作され、2016年のカンヌ国際映画祭で「麦の穂をゆらす風」に続く2度目のパルムドール(最高賞)を受賞した本作。人間の尊厳、助け合うことの大切さ、ややもすれば軽く思われがちなことが、ずっしりと心に居ついて離れない。とにかく観てほしい、もはや言えるのはそれだけです。

◆『わたしは、ダニエル・ブレイク
3月18日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
© Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, LesFilms du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and TheBritish Film Institute 2016
“最強のふたり”のあとに見つけた人生の幸せ 『サンバ』
サンバ
嫌なことがあったら踊って忘れちゃおうぜ!……なんてポジティブモンスター映画ではなく、主人公サンバは、陽気な名前とは裏腹にダンスは踊れず、というか踊っている場合ではないくらいなかなか過酷な境遇に生きている。セネガルからフランスに来て10年、ビザをうっかり失効させてしまい、国外退去を命じられてしまったのだ。
そんな時に彼が出会ったのが、移民支援協会でボランティアをするアリス。燃え尽き症候群で大手企業を休職中、ブチ切れると馬をなでて心を静める…と彼女もなかなかな状況。そして、陽気な移民仲間のウィルソンも実は抱えるものが。そんないろいろある彼らが交わることで、気づけば笑っていて、何だか人生が好転しているように見える…あの時までは。

本作は、日本でも大ヒットを記録したフランス映画「最強のふたり」の監督・主演が再びタッグを組んだ作品。サンバとアリスもいいけれど、個人的にはサンバ&ウィルソンが最強のふたり。お互いの失敗や秘密をいじって笑い飛ばす、そんな関係が理想的。

サンバの境遇に自分を重ねるのは難しいけれど、燃え尽き症候群のアリスなら容易、という人は多そうな今日この頃。アリスが「一夜明けたら向こう側に渡っていた」と話し始めた、一人だったらひたすら悩んでしまうような話も、ただただ笑い飛ばしてくれる人がいたら幸せだろうなと思う。
人との交流は人生のスパイス! 『素敵な人生のはじめ方』
素敵な人生のはじめ方
少しポップになった本作のメインキャラクターは、有名俳優とレジ係という異色の組み合わせ。 4年ぶりの映画復帰作としてインディペンデント映画への出演を考えている俳優(役名なし)が、役のリサーチのため郊外のスーパーマーケットにやって来る。そこにいたのが、やる気のない従業員たちの中で一人まじめにレジの仕事をこなす女性、スカーレット。

迎えの車が来ないと困っているのを放っておけず、仕方なく彼を車に乗せるスカーレットは、大事な面接試験を控えナーバスに。それを知った彼のアドバイスで、2人は服を買いに行き、洗車をする。洋品店で洗車場で、どこへ行っても「ワクワクする」と目を輝かせ、「人との交流はすばらしい。人生のスパイスだ」と行って知らない人にフランクに話しかける彼。人に道すら聞けないスカーレットとはやはり世界が違う人に見えるけれど…。

実際は、「自分に似ているから興味がある」とスカーレットに言う彼。彼もまた将来に悲観し、孤独であると語ることで、2人は心を通わせ合い、人生に希望を見出していく。

他人を鏡にして自分のことが見えてくることってありますよね。「この人こんなに悩んでいるけど大したことないのに」。それがはたと自分に返って来る。その時は、まず目の前の人に「大丈夫」と伝えてあげるのがいいのかな。
絶望の先で出会い、魂でつながった2人 『八日目』
八日目
ここまではほぼ男女だったけれど、本作のお二人さんは仕事人間の中年男性アリーと、ダウン症の青年ジョルジュ。
アリーは仕事一筋すぎて妻子に去られ、にも関わらず、反省ゼロで仕事にかまけ娘の迎えを忘れてしまう。そんな自分の残念さから「限界だ」と仕事を飛び出した雨の夜、「ママに会いたい」と施設を飛び出したジョルジュと運命的に出会う。

赤の他人であるジョルジュに迷惑をかけられても、アリーは意外にも世話を焼き、素直に感情を表現するジョルジュに情愛すら感じていきます。そんなアリーを「一緒に暮らしたい」と慕うジョルジュ。やがてある出来事からアリーはジョルジュに救われ、一層絆を深めていくように見えるが…。

表面的なつながりではなく、魂でつながっているように感じるアリーとジョルジュ。演じた2人は、1996年のカンヌ国際映画祭最優秀男優賞をW受賞したというからすごい。2人が迎える結末をどう思うかは意見が分かれそうですが、私にはじんわりと染みてきました。
音楽の魔法が人も人生もきらめかせる! 『はじまりのうた BEGIN AGAIN』
はじまりのうた
最後は、音楽が引き合わせた出会いの話。
ミュージシャンの彼が売れ出した矢先に浮気をし、バーで「都会でひとりぼっちのあなたへ」と自分に歌う失意の女子グレタ。彼女の歌を、ただ一人目を輝かせて聞いていたのが、家族ともうまくいかず、自分が立ち上げた会社もクビになった音楽プロデューサーのダン。彼の脳内アレンジという“魔法”によって見出されたグレタは、ダンの熱意に押され、一緒に音楽を作ることに。そして製作費がないという逆境を跳ね返し、ニューヨークの街中を録音スタジオにして、ゲリラレコーディングを敢行する。

この街中でのレコーディングが、観ていて・聴いていて最高に気持ちがいい。そして“スプリッターデート”(ぜひ作品を観て!)にときめき、グレタの留守電にグッときて、グレタの彼・デイブがライブで歌うあの曲に涙…。音楽の出てくるすべてのシーンで、いろいろな感情を揺さぶってきます。

人との出会いももちろんだけど、音楽の持つ力を改めて感じる作品。劇中でダンの言う「音楽の魔法だ。平凡な風景が意味のあるものに変わる」とはまさに。とりあえず、“スプリッターデート”なんてやったら、そりゃいい感じになっちゃうわ、と思います。

映画から学ぶ、は大げさかもしれないけれど、映画が気づかせてくれることは数多い。それこそ“いい気づき”のある映画との出会いは、人生のターニングポイントにもなると思います。私にとって「わたしは、ダニエル・ブレイク」がその一作になりそう。とりあえず、いまだに思い出し泣きが止まらない!

Writer | 小林未亜

編集プロダクションに勤務し、情報誌やWEBの編集・取材・原稿執筆をしています。かつて勤めていた映画館が2つともクローズしてしまったのが悲しく、休日はなるべく映画館へ。この仕事をしていても「衝撃の結末!」などのあおりに弱い

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