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この男たち、危険!人間の狂気に震える映画4選

2017.04.05(Wed) | 小林未亜

誰の心も狂気へと振り切ってしまう可能性をはらんでいて、それを止めるブレーキがあるか、きちんと作動しているかが別れ道なんじゃないでしょうか。今回は、そんなブレーキが効かないと知ってか知らずか、狂気へとアクセルを踏みまくっている男たちが登場する映画4作をご紹介。「危険な男が好き」なんてのんきに言っていられなくなる、危険すぎる男たちの狂気にゾクッとしてください。

こんなお隣りさんはイヤだ!『クリーピー 偽りの隣人』
クリーピー
今回紹介する4作品のなかで、個人的に一番不気味なのが本作の西野さん。ある事件で警察をやめた犯罪心理学者・高倉が、妻・康子と共に引っ越した新居の隣人がこの男。当たり障りのないご近所付き合い程度に接しているつもりが、妙なところで引っかかったり突っかかったり、どうにも薄気味悪い。元刑事の勘から徹底して「信用できない」と感じる高倉に対し、当初は「感じ悪い。変人」と言っていた康子の方は次第に様子がおかしくなっていく。そんな折、西野の娘が衝撃の言葉を口にする…「あの人、お父さんじゃないです。全然知らない人です」。そして、高倉が刑事・野上と共に調べていた6年前の一家失踪事件とも不可解な関係が見えてくる。

登場時から、説明しづらいけれど「何か気持ち悪い」西野が、次第にその怪しさをはっきりとさせていき、後半一気に明らかになる正体に驚愕。そんな西野を演じるのが、日本を代表する“怪優”香川照之。恐ろしいのにどこか面白く、それがまた恐ろしい…そんな強烈キャラを見事に体現し、観る者を最高に気味の悪い(クリーピー)世界に誘う。新居のご近所問題はただでさえドキドキするのに、こんな人がお隣さんだったら…と考えると身の毛も総立ち!引っ越しを考えている人は、見たら考え直しちゃうレベルです。
こんな父親はイヤだ!『渇き。』
渇き。
こちらの主人公・藤島も、「クリーピー 偽りの隣人」の高倉と同じように、ある事件で警察をやめた男。元妻から高校生の娘・加奈子が失踪したと聞かされ、交友関係や行動をたどって自力で探し始めるうちに、優等生だと思っていた娘の恐ろしい本性を知ってしまう。

小松菜奈演じる加奈子の、「死んじゃえばいい」「狂ってる」「悪魔」「ゴミ」と罵られるほどの“バケモノぶり”がすさまじいけれど、「あんたの血を引いた正真正銘のゴミ」と言われるように、役所広司演じる父親も相当に狂っている。むしろ、加奈子の行動や家族の破綻の原因もこの男。不倫男や元妻への仕打ち、加奈子を探すためのなりふり構わない行動には、ハラハラとさせられます。

ちなみに、本作にはそんな“ヤバイ”男たちがぞろぞろ。現役刑事の浅井(妻夫木聡)や愛川(オダギリジョー)といった実力派の面々から、加奈子に翻弄されるいじめられっこ(清水尋也)や不良の松永(高杉真宙)といった若手俳優まで、日本の俳優の怪演見本市のよう!
こんな息子はイヤだ!『少年は残酷な弓を射る』
少年は残酷な弓を射る
続いては「渇き。」とはまた違った親子の話。くたびれた様子の中年女性が、好奇の目にさらされ、道行く人に突然殴られ「地獄で腐り果てろ、クソ女」とまで罵られ、家を赤いペンキで汚され……と、何やら苦境に陥っている。それがなぜかはすぐには分からず、現在と過去の映像が交錯しながら、徐々に“何があったのか”が明らかになっていく。そうして見えてくるのが、その女性・エヴァと息子・ケヴィンの関係性。

著名な冒険家&作家であったエヴァは、予期せぬ妊娠への戸惑いをぬぐえないままケヴィンを出産し、エヴァの深層心理をすべて感受しているかのように、ケヴィンはエヴァにとことん反抗。赤ちゃんの時にはひたすら泣き続け、少し大きくなると「耳が聞こえないのかも」と思うほど言うことを聞かずにただにらみつけ、さらに大きくなるとより計算高く母を追い詰める。そして美しく賢い息子へと成長したケヴィンは、エヴァからすべてを奪うある決定的な事件を起こしてしまう…。

自分の子供がケヴィンのようだったらどうしよう…と、子育てへの恐怖と不安で身震いがしてくる本作。かなり気持ちを揺さぶられるので、心に余裕たっぷりな時の鑑賞がオススメです!
こんな上司はイヤだ!『ナイトクローラー』
ナイトクローラー
最後に紹介するのは、本物の狂気を宿しちゃったんじゃないかと不安になるくらい、ジェイク・ギレンホールが圧巻の「ナイトクローラー」。

学歴もコネもなく、金網やマンホールを売って生計を立てている主人公・ルー。ある日通りかかった事故現場で、報道スクープ専門の映像パパラッチ、通称“ナイトクローラー”という職業の存在を知り、その世界に足を踏み入れる。「勤勉で志は高く粘り強い人間だ」と言う自己アピールに嘘はなく、求められている仕事をこなすために努力を惜しまない。また自信にあふれ、脅迫ともいえる交渉術を駆使し、この世界で見事にのし上がっていく。しかし、この男に決定的に欠けていたのが道徳感と倫理感。高く売れる“刺激的な画”のために、一般の感覚を持つ者なら踏みとどまる線を、軽快に飛び越える。

端的に言って、ルーは最低野郎。ナイトクローラーになって早々に部下を雇うのだけど、これこそ究極のブラック!(見て確かめてほしい!) ただ、ルーは確かにひどいけれど、見ていてどこかワクワクしてしまっている自分に気づいた時が、一番恐ろしいかも。

自分の身近には絶対にいてほしくないけれど、作品として見るには「危険な男」はやっぱり魅力的。現実では体験できない“刺激”がもらえるのも映画の醍醐味ですからね。ただ、一気に見ると胸焼けしそうになるのでご注意を。

Writer | 小林未亜

編集プロダクションに勤務し、情報誌やWEBの編集・取材・原稿執筆をしています。かつて勤めていた映画館が2つともクローズしてしまったのが悲しく、休日はなるべく映画館へ。この仕事をしていても「衝撃の結末!」などのあおりに弱い

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