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懐かしくてイタすぎる…“あの頃”を思い出す珠玉の青春映画5選

2017.04.21(Fri) | 上原礼子

桜の花が咲くころは、新しい出会いや別れとともに、年月の流れの早さが身に染みる季節。そんなときには、初々しい“あの頃”の気持ちを思い起こさせてくれる青春映画で心機一転しませんか。最近はいわゆる“胸キュン”映画が続々と公開されていますが、大人になった今だからこそ味わえる、懐かしくも、ちょっぴりイタい部分を突いてくる青春映画を今回はご紹介します。

迷走&暴走する17歳がイタい!? 『スウィート17モンスター』
スイート17
『トゥルー・グリット』で当時14歳にしてアカデミー賞にノミネートされ、現在ではシンガーとしても活躍する若手女優ヘイリー・スタインフェルドが主演。イケメンで人気者、何でもできる兄ダリアンと何かと比べられて育った17歳のネイディーン。たった1人の親友クリスタだけが味方だと思っていたのに、彼女がつき合い始めた相手は、なんとそのアニキ…。歴史教師のブルーナーに不平をぶちまけるも、彼女はますます迷走していくことに!

17歳って、こんなにも危なっかしいものだったんだと、“あの頃”のイタさを思い出させてくれる良作。自分の中にある、大キライでグダグダした部分を“モンスター”と呼ぶなら、17歳とは日々、モンスターとの闘いなのです。実は根っこに深い悲しみを抱えている、そんな主人公を演じるヘイリーは、泣いたり、笑ったり、マシンガントークで怒りを爆発させたり、イケメンに恋したりと大忙し。同世代のみならず、大人世代からも多くの共感を集めた本作で、ヘイリーはゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネートされました。

監督・脚本を務めたのは、ウェス・アンダーソンやキャメロン・クロウを見出した名プロデューサー、ジェームズ・L・ブルックスが発掘した新鋭ケリー・フレモン・クレイグ。さらに、教師役のウディ・ハレルソンや母親役のキーラ・セジウィックといったベテラン、『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』主演のブレイク・ジェンナーやM.ナイト・シャマランの新作『スプリット』のヘイリー・ルー・リチャードソンら若手注目キャストとの共演も見どころ。青春映画の傑作として、本作もお気に入りの1本となることでしょう。

◆『スウィート17モンスター
4月22日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国公開
はみ出し者の恋と友情がイタい!? 『ウォールフラワー』
ウォールフラワー
注目の若手キャストが一堂に会するのは、青春映画の醍醐味。本作では、実写版『美女と野獣』も控えるエマ・ワトソンに、三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船のローガン・ラーマン、少年は残酷な弓を射るのエズラ・ミラーという3人の若手実力派が共演。国語教師役で90年代の人気作『クルーレス』に出演していたポール・ラッドの姿も。

ある過去を持つ16歳のチャーリーは高校に進学しますが、まったく自分に自信が持てません。ランチタイムも、パーティでも、“壁際に咲く花”のように1人きりでぽつん。そんな彼が、パトリックとサムという“はみ出し者”でもキラキラとした輝きを放つ兄妹と出会ったことで、彼らと友達になっていくのですが…。

「ライ麦畑でつかまえて」の再来といわれたベストセラー青春小説を、原作者スティーブン・チョボスキー自らがメガホンをとって映画化。思春期のこんがらがった友情と恋、説明のつかない感情の揺れがよく現れた、すばらしき青春群像であり、チャーリーをはじめとする秘密を抱えた“はみ出し者”たちの再生の物語でもあります。印象的なシーンがいくつかある中、エマとエズラで披露するダンス、そして『ロッキー・ホラー・ショー』を再現する劇中舞台はとりわけ最高。さらに、青春映画史に残る屈指の名シーンといえるのが、トンネルのシーン! 今となっては感じることのできない(?)“あの頃”特有の刹那と無限を、デヴィッド・ボウイの名曲「HEROS」が後押しします。
スクールカーストの崩壊がイタい!? 『桐島、部活やめるってよ』
桐島、部活やめるってよ
豪華キャストによる青春群像劇、その日本代表といえば、こちら。神木隆之介に橋本愛、東出昌大、松岡茉優、山本美月ら、現在活躍中の若手俳優がずらり。朝井リョウの原作を見事に映画化させたのは、今年美しい星の公開も控えている吉田大八監督です。

舞台は、地方の公立高校。バレー部のキャプテンで人気者の桐島が突然「部活をやめる」と言い出し、それによって右往左往する者、我関せずと、とことん我が道をゆく者たちが交錯していきます。

初めて“スクールカースト”(学校内の序列)なる言葉を耳にしたときには驚いたものですが、自身をふり返れば、思い当たる節がありまくりで納得。一映画ファンからすれば、いわばその底辺とされている、神木くん演じる前田涼也らオタクだらけの映画部が愛おしいこと。まっすぐな情熱が眩しいほど。そんな前田に対し、東出くん演じる、すべてを手にしているはずの完璧イケメン・菊池宏樹が屋上で放つひと言にはグッときます。
フツーになれないアサシン女子高生がイタい!? 『ベアリー・リーサル』
ベアリー・リーサル
ヘイリー・スタインフェルドが2015年に出演した、青春アクション・コメディ。『ミーン・ガールズ』×『キングスマン』のような青春モノとアサシン・アクションの双方を気軽に楽しめます。ヘイリーは、本作でも絶妙なかわいらしさと微妙なイタさを体現しています。

幼いころから暗殺者養成学校の鬼教官ハードマンのもと、厳しい訓練を受けてきた“優等生”のメーガン。あるとき、スゴ腕の美女暗殺者ビクトリアの捕獲任務に成功したものの、仲間とはぐれてしまいます。しかし、ごく普通の生活を夢見ていたメーガンは、これはチャンスとばかりに自分の死を偽装、カナダの交換留学生としてアメリカの高校に編入することに。そんな矢先、ビクトリアが脱走し…。

メーガンがまず、憧れの高校生活のために予習したのは、『ミーン・ガールズ』や『ブレックファスト・クラブ』『チアーズ』『クルーレス』と、いずれも青春映画の傑作ばかりなのですが、かなり(?)時代錯誤。フツーを目指すのにまったくフツーじゃない彼女の高校生活と、対照的な2人の男子との三角関係などの定番要素が楽しいうえ、鬼教官役にサミュエル・L・ジャクソン、美女暗殺者にジェシカ・アルバ、ライバルの訓練生に「ゲーム・オブ・スローンズ」のソフィア・ターナー、ホームステイ先の同級生にTV映画「ディセンダント」のダヴ・キャメロンと脇を固めるキャストも見逃せません。
届かぬ想いがイタい!? 『シング・ストリート 未来へのうた』
シング・ストリート 未来へのうた
青春映画には、時代性を映し出す音楽の存在は欠かせません。上述のヘイリーも出演していたはじまりのうたのジョン・カーニーが手がけた本作は、監督の自伝的要素を盛り込んだ80年代のアイルランド・ダブリンが舞台。

1985年、大不況下のダブリン。父親の失業のため、公立の荒れた学校に転校させられた主人公のコナー。両親はけんかが絶えず、家庭は崩壊寸前。学校では早速いじめの洗礼を受ける中、偶然出会った自称モデルの女の子を振り向かせるため、彼はバンドを結成、ストリートでMVのゲリラ撮影を重ねていくのですが…。

デュラン・デュランをはじめとする当時のヒットソング、大好きな彼女を思ってつくる曲、家族を思ってつくる曲が、懐かしくて、青くさくて胸がいっぱいに。心の中のもやもやを表現するべく、一心に音楽に打ち込んでいる姿は、『桐島』の前田たちとも重なるまっすぐさ。オリジナルのバンド曲の中でも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にオマージュを捧げたかのようなパーティシーンの「ドライヴ・イット・ライク・ユー・ストール・イット」には、特に鼻の奥がツンとします。

思えば、ラ・ラ・ランドでオスカーを手にしたエマ・ストーンも、「緋文字」をモチーフにした青春コメディ『小悪魔はなぜモテる?!』がきっかけで注目を集めるようになりました。後に大化けするかもしれない若手俳優の思いがけない発掘はもちろん、彼らが等身大の姿で見せる思春期の葛藤や成長は、懐かしいイタさとともに、今の自分を俯瞰させる不思議なカタルシスを秘めています。親が留守中のホームパーティや卒業シーズンのプロム、導いてくれる師との出会い、放課後にこそ起こる事件など、おなじみのシーンが満載の青春映画で、心の洗濯をしてみませんか?

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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