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一度ハマればクセになる!? 個性的なミュージカル&音楽映画

2017.05.05(Fri) | 上原礼子

『美女と野獣』や『ラ・ラ・ランド』、アニメの『SING/シング』『モアナと伝説の海』など、今年はどれを見ようか迷ってしまうほど、ミュージカル映画や音楽がカギとなる映画が目白押し。しかも、エマ・ワトソンにエマ・ストーン、ライアン・ゴズリングなどなど、「あの人気俳優がこんなに歌が上手かったなんて!」と驚かされることもしばしば。今、改めてミュージカル映画や音楽映画への熱が高まる中、“王道”とはひと味違う、刺激的で不思議な魅力を秘めた個性豊かな作品をピックアップ。一度ハマれば、クセになること間違いなし!?

マイケル・ファスベンダーが被り物でバンド!? 『FRANK フランク』
FRANK フランク
それでも夜は明けるから『X-MEN』シリーズまで幅広い作品で活躍し、今年、初来日も果たしたマイケル・ファスベンダーが主演。米・映画サイトの「世界で最もハンサムな顔100人」第1位にも選ばれたことのある彼が、奇妙な被り物をかぶって前衛的なバンドのフロントマンに!?

微妙な表情をたたえる張りぼてのお面を被ったフランク(ファスベンダー)、テルミンを奏でるクララ(マギー・ギレンホール)ら屈指の奇人が集まるバンドに、ひょんなことから加入した“凡人”ジョン(ドーナル・グリーソン)。お面は決して脱がないものの型破りな音楽的才能を持つフランクに、ジョンは心酔していきますが、ある動画をきっかけにバンドはインディーズ音楽フェス「SXSW」に出演することに! しかし、想定外の出来事が続発し、フランクは情緒不安定になってしまい…。

ルームで世界を泣かせたレニー・アブラハムソン監督が、同様の被り物でカルト的人気を誇った英国のコメディアン、フランク・サイドボトムことクリス・シーヴィーと、ダニエル・ジョンストン、キャプテン・ビーフハートといった個性的なミュージシャンをモデルに、シュールでほろ苦く、おかしみあふれるバンド映画を作り上げました。キャストたちは実際に歌い、楽器を演奏しており、ファスベンダーも美顔は封印ながら美声を披露します。
歌って踊れる人気司会者がオペラ!? 『ワン チャンス』
ワン チャンス
はじまりのうた『イントゥ・ザ・ウッズ』などに出演する俳優ジェームズ・コーデンが、あのポール・ポッツに扮した伝記音楽映画。監督は『プラダを着た悪魔』のデヴィッド・フランケル。2007年、英国のオーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で、地味な身なりのケータイ販売員が、オペラ「トゥーランドット」の名曲「誰も寝てはならぬ」を歌い上げたとき、審査員たちは困惑の表情から歓喜と興奮へ。会場からは失笑が消え、拍手や歓声が鳴りやまず、涙をぬぐう人さえも…。

そんな一大センセーションを巻き起こしたオペラ歌手ポール・ポッツを、覚えている方も多いでしょう。彼とぽっちゃり具合が似ている主演のコーデンといえば、先日、米タイム誌の「世界で最も影響力ある100人」にも選ばれた人気司会者でもあり、特にアデルやレディー・ガガら豪華ゲストと車中カラオケに興じる企画「カープール・カラオケ」はYouTubeで大人気。ラ・ラ・ランドの“オーディション”パロディもしています。彼の親しみやすいキャラにより、奇跡のような波乱に満ちた実話をユーモアたっぷりにふり返ることができます。コーデン自身はトニー賞受賞者で歌も激ウマなのですが、劇中のオペラ歌唱シーンはポッツ本人が吹替えています。
『トレスポ』製作陣でミュージカル!? 『サンシャイン/歌声が響く街』
サンシャイン
『トレインスポッティング』の製作スタッフが再結集して人気ミュージカルを映画化、英国で大ヒットとなりました。舞台はスコットランドの地方都市リース。入隊していた息子デイヴィーが帰還し、お祝いムードのなかでロブとジーン夫婦の銀婚式パーティが盛大に行われますが、なんとロブに24歳になる隠し子がいることが発覚。さらに、デイヴィーの親友アリーからプロポーズされた娘リズは、結婚よりも憧れのフロリダで働く夢を選びます。恋人との新生活を始めたデイヴィーも、誰かと人生を共にすることはそう甘くないと思い知り…。

バラバラになった家族の再生の物語が、スコットランドの兄弟ディオ「プロクレイマーズ」のアルバム「Sunshine on Leith」に乗せて描かれます。「ABBA」の楽曲で構成された『マンマ・ミーア!』を彷彿とさせますが、こちらはアフガン従軍という現実が色濃い。とはいえ、ケン・ローチ監督『天使の分け前』などでも使用された「I'm Gonna Be (500Miles)」で迎える大団円は、爽快な感動をもたらしてくれます。デイヴィー役は、ヴィゴ・モーテンセン主演『はじまりへの旅』で長男役を好演する注目俳優ジョージ・マッケイです。
キュートな恋のこじらせバンド!? 『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール
本作の舞台はスコットランド・グラスゴー。拒食症で入院中の少女イヴは、1人で曲づくりをしています。ある日、病院を抜け出して向かったライブハウスで、アコースティック・ギターを抱えたジェームズと出会い、さらに友人のキャシーを紹介されます。イヴは自らの病いへの葛藤を歌に乗せ、そんなイヴに恋をするジェームズ。天真爛漫なキャシーも交え、2人の少女と1人の少年は曲作りをしたり、カヌーで出かけたり、“ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール”というバンドでライブをすることになるのですが…。

ポップバンド「ベル&セバスチャン」のスチュアート・マードックが、2009年に発表した同名ソロアルバムから生み出した初監督作。ジェームズ役は昨夏、フジロックにも参戦した「Years&Years」のオリー・アレクサンデルで、メガネ男子でよりナイーブな印象に。『レジェンド/狂気の美学』の若手女優エミリー・ブラウニング、海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目されたハンナ・マリーもアンニュイな歌声を披露します。彼女たちのポップでキュートな70’Sテイストのファッションが中和してくれますが、切なさとほろ苦さを含む青春ミュージカルです。
アボリジニの女性たちがソウルグループ結成!? 『ソウルガールズ』
ソウルガールズ
アボリジニの女性ボーカルグループの知られざる実話を描き、本国オーストラリアで大ヒットした音楽コメディ・ドラマ。自分の母親がかつてボーカルグループ「サファイアズ」の一員だったことを知った息子が、その実話を戯曲にして舞台化。これが人気を博して映画となりました。60年代後半、“同化政策”を行うオーストラリアで、歌手を夢見ていた3人姉妹といとこは、自称ミュージシャンのダメ男・デイヴに才能を見込まれ、戦時下のベトナムで慰問巡業に繰り出します。彼女たちのソウルフルな歌声で巡業は盛況となりますが、やがて戦火の最前線にも出向くことに…。

当初はカントリーを歌っていた彼女たちに、デイヴは「君たちはソウルミュージックを歌うべきだ」と、『ラ・ラ・ランド』のセブさながらに熱弁をふるいます。双方とも“喪失”を歌ってはいるけれども、ソウルはその先に希望を取り戻そうと闘うために歌うのだ、と語る言葉が印象的。サム&デイヴの「Soul Man」、ジャクソン5の「Who’s Loving You」、ウィルソン・ピケットの「Land Of A 1000 Dances」など、彼女たちの力強い歌声は、アボリジニに対する差別に斬り込み、戦争という現実を突きつけながら、自分は何者かということをも考えさせてくれます。

このほか、女子力パワーとアカペラブームが融合した青春ミュージカル・コメディ『ピッチ・パーフェクト』シリーズなどもおすすめ。これらには総じて、クライマックスに集大成的なライブシーンが用意されており、それぞれに見事な着地点を示してくれるので、鑑賞後のカタルシスはまた格別です。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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