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納得! アカデミー賞主演男優賞受賞作

2017.05.10(Wed) | 清水久美子

毎年、激戦を繰り広げるアカデミー賞の主演男優賞。本年度はケイシー・アフレックが受賞しましたが、『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールド、『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリング、『はじまりへの旅』のヴィゴ・モーテンセン、『フェンス』のデンゼル・ワシントンといった強敵ぞろいでした。その中でアフレックが勝ち抜いた理由とは…? 今回は、見れば納得のアカデミー賞主演男優賞受賞作を紹介します。

ケイシー・アフレックの名演が心を震わせる『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
マンチェスター・バイ・ザ・シー
2016年度、第89回アカデミー賞でケイシー・アフレックが主演男優賞を受賞した珠玉の人間ドラマ。製作を担当したマット・デイモンが主演も務める予定でしたが、スケジュールの都合でアフレックが主役を引き継いだことでも話題を呼びました。

故郷の町マンチェスター・バイ・ザ・シーを離れてボストンで一人で暮らし、便利屋として働いているリー。兄の死をきっかけに故郷に戻ることになった彼は、兄の遺言で甥の後見人に指名されたと知ります。リーにとって、二度と戻らないと思っていたマンチェスター・バイ・ザ・シーで再び暮らすことは、壮絶な過去と向き合わなければならないということ。なぜ彼は誰にも心を開かず孤独に生きてきたのか? リーに起きた悲劇とは…?

心に深い傷を抱えながらも、故郷に戻って過去と向き合う主人公を演じるアフレックの名演技が胸に迫り、見終わった後にしみじみと広がる感動で、私はしばらく席を立つことができませんでした。ケイシー・アフレックのオスカー獲得に納得できる1本です。

◆『マンチェスター・バイ・ザ・シー
5月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド/パルコ
(c) 2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.
マシュー・マコノヒー渾身の一作『ダラス・バイヤーズクラブ』
ダラス・バイヤーズクラブ [Blu-ray]
2013年度、第86回アカデミー賞でマシュー・マコノヒーが主演男優賞を受賞した実話に基づくヒューマンドラマ。マコノヒーは21キロ減量し、エイズに立ち向かう難役に挑みました。

保守的な街・テキサスでロデオと酒と女に明け暮れるロン・ウッドルーフ。ある日、突然倒れたロンは、医師からHIV陽性で、余命30日であると告げられます。“エイズはゲイがかかる病気”という盲目的な偏見が世にはびこり、ロンもそう思っていたため納得できませんでしたが、徹底的にエイズについて調べ始めます。死んでたまるかと憤る彼は、アメリカでは未承認だけれど効果が見込める薬をメキシコから持ち込み、会費制の「ダラス・バイヤーズクラブ」というシステムを作り、患者たちに必要な薬を無料で配ることに。

慈善の心などなく、素行も悪く、ゲイ・コミュニティーに嫌悪感まで持っていたロン。美しいトランスジェンダーのレイヨン(助演男優賞を受賞したジャレッド・レト)の協力を得て、薬を飲む権利を侵害する政府や製薬会社を相手に闘うロンを熱演したマコノヒー渾身の一作です。
ジャン・デュジャルダンの表情演技が素晴らしい!『アーティスト』
アーティスト
2011年度、第84回アカデミー賞でジャン・デュジャルダンが主演男優賞を受賞した感動の白黒・サイレント映画。作品賞や監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)などにも輝いた本作で、デュジャルダンは多彩な表情演技で、サイレントのスターの栄光と挫折を見事に好演しました。

1927年、ハリウッド黄金期。サイレント映画の人気スター、ジョージ・ヴァレンティンは新人女優のペピー(ベレニス・ベジョ)を導き、彼女と惹かれ合っていきます。やがて映画がサイレントからトーキーへと移行する中、サイレントに固執するジョージは忘れ去られていく一方、ペピーはスターの座を駆け上がっていきます…。

セリフがなくても、眉の動きや視線が物語るロマンスに引き込まれ、ジョージの哀愁や、ペピーの一途さ、二人の恋の行方に釘付けになります。デュジャルダンの声のない演技が世界中を魅了したオスカー受賞作です。
コリン・ファースが国王ジョージ6世になり切った『英国王のスピーチ』
英国王のスピーチ
2010年度、第83回アカデミー賞でコリン・ファースが主演男優賞を受賞した、英国史上最も内気な国王ジョージ6世の真実の物語。作品賞を含む4部門を受賞した本作で、ファースは現エリザベス女王の父・ジョージ6世を悩ませた吃音を再現し、自然な演技で観客を魅了しました。

子どもの頃から吃音のために悩み、無口で内気だったジョージ6世。王でありながらも演説が著しく苦手。しかし、ヒトラー率いるナチスドイツとの開戦を目前に不安になる英国民は、王の言葉を待ち望んでいました。世紀のスピーチに挑まなくてはならないジョージ6世は、型破りのセラピスト・ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)の風変わりな治療法を受けるのですが…。

ファース自身が吃音かと思ってしまうくらい、違和感なくジョージ6世になり切っているのが素晴らしいです。ライオネルと友情を育んでいくのも見どころです。

私が「この受賞は納得!」と思った4作を紹介しました。主演男優だけが素晴らしいのではなく、映画自体も感動できる傑作ばかりなので、まだ見ていない作品があれば、ぜひチェックしてみてください。きっと納得できるはず。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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