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「世界が認めた!」が大げさじゃない、カンヌ国際映画祭受賞作4選!

2017.05.17(Wed) | 宇咲英人

毎年5月に開催されるカンヌ国際映画祭。世界屈指の映画祭だけに、その受賞作は映画史上に燦然と輝く傑作揃い。グランプリとなるパルムドール受賞作品から、個性際立つ審査員特別グランプリ受賞作品、そしてストーリーの良さが魅力の脚本賞受賞作品の中から“カンヌテイスト“がわかるオススメの4本をご紹介!

不変の名作は、恋愛の不変の強さと脆さを描く『シェルブールの雨傘』
シェルブールの雨傘
1957年、フランスの港町シェルブール。20歳の自動車整備工ギィは、17歳の傘屋の娘ジュヌヴィエーヴと付き合っていた。折しもアルジェリア戦争中のフランス。ギィは2年間の兵役に。悲しみに暮れるジュヌヴィエーヴの前に、宝石商のローラン・カサールが現れ、結婚を申し込む。最初は気のないジュヌヴィエーヴだったが、ローランの誠実な人柄に心惹かれていく…。

第17回カンヌ国際映画祭のグランプリ、パルムドール受賞作。ミッシェル・ルグランの音楽が印象的なミュージカル映画であり、主演のカトリーヌ・ドヌーヴはこの作品で世界的スターとなった。美しい色彩感覚、すべてのセリフが歌うように話されている技法など、随所に実験的な試みが施されている。

ストーリー構成が第一部「旅立ち」、第二部「不在」、第三部「帰還」と分かれてるのも面白い。主人公ギィが兵役に行き、その間、そして戻ってから、という流れだが、若い二人だからこその恋愛感情の強さと脆さが、移ろいゆく時と共に描かれていく。恋愛のファンタジーのような要素と普遍的なリアリティを見せつける、誰もが共感せざるをえない一本。
ロードムービーの巨匠が満を辞して放った本領発揮作『パリ、テキサス』
パリ、テキサス
ウォルトのもとに、4年前に行方不明となっていた兄トラヴィスが、テキサスの砂漠で見つかったと連絡が入る。ウォルトはトラヴィスを彼の息子、ハンターがいるロスアンゼルスに連れて帰ことに。ロスアンゼルスに帰ってくるも、トラヴィスはどこか心ここに在らず。やがてトラヴィスはハンターを連れて元妻を探すため、ヒューストンへ旅立つ決心をする。

1984年、第37回カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作。監督はヴィム・ヴェンダース。ロードムービーに定評があり、70年代の彼の代表作「都会のアリス」「まわり道」「さすらい」の3作品はロードムービー三部作と言われている。本作は約10年の時を経て舞台をアメリカに移した、監督の本領発揮と言える作品。

兄弟がテキサスからロスアンゼルスまで、そして父子がロスアンゼルスからヒューストンまでと2つのロードムービーで構成される本作。兄弟の旅では、兄であるトラヴィスが理解しがたい変人にしか見えないのに、そのトラヴィスが息子と旅するパートでは、むしろ理解し得る正直な人物へ変貌していく姿が面白い。
タイトルだけでも泣けてしまいそうな『少年と自転車』
少年と自転車
11歳の少年シリルは父親に捨てられ、施設に預けられる。が、シリルはその事実を受け入れられず、父親が引っ越し先を言い忘れ、たまたま施設に預けられたと思い込む。父親がお金に困って、シリルの自転車を売ったことも、「盗まれたんだ!」と言い放つ。なんとなく本当のことに気づいているのに…。父親を探している途中、その自転車が縁で、里親となったサマンサの家で週末を過ごすことに。サマンサは一緒に父親探しを手伝ったり、チンピラと付き合うようになったシリルに手を焼くが、愛情を持ってシリルと向き合って行く。

2011年、第64回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞。監督のダルデンヌ兄弟は、この作品で5作品連続でカンヌ受賞となった。育児放棄や貧困と少年犯罪など、昨今の社会問題をテーマに取り入れつつ、少年の感情の機微を抽出。世界的に高い評価も納得の良作。

シリルは愛嬌がなく、ほとんど笑わない。それゆえ、少年のひたむきさ、プライド、心の中の葛藤が、むしろ溢れ出てくる。おしゃべりじゃないだけに、頑張って発した言葉が刺さる。社会的なリアリティもよくできていて、性格のいい子がなぜ少年犯罪に手を染めていくか、納得してしまうほど。
女性の逞しさ、美しさ、大らかさに酔う『ボルベール〈帰郷〉』
ボルベール
スペインはマドリードで夫と娘、3人で暮らすライムンダ。火事で亡くなった両親のお墓掃除のため、ライムンダと妹のソレ、ライムンダの娘パウラの3人で帰郷する。故郷では、高齢の伯母が一人暮らしをしており、心配するライムンダは一緒に暮らそうと提案するも断られる。マドリードに戻ったある日、パウラの身に不幸な出来事が起きる。そして、故郷では死んだはずの母親の目撃情報が…。

2006年、第59回カンヌ国際映画祭にて主演のペネロペ・クルスほか6名が女優賞を獲得。また、脚本賞も受賞している。本作はペドロ・アルモドバル監督による『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続く女性賛歌三部作と位置付けられている。

まず目を引くのは、原色の色彩の美しさ。女性の服装や花束、部屋のインテリア、町の風景など、どのカットもカラフル。そんな現実のような、夢の中のような世界に悲喜交々の女性たちが登場する。ペネロペ・クルス演じる主人公ライムンダの逞しさは見ていて痛快。なかなかのトラブルでも、グイグイ行動に移していく。もっと他に方法あるのでは?と思ってしまう箇所もあるが、迷いなく進む姿にユーモアと小気味よさを感じられる快作。

ハリウッド映画と違って、生き様や心の内側を描写した作品が好まれるカンヌ映画祭。映画はもちろんエンターテイメントですが、観た後に深い余韻を残す作品たちもやっぱり映画の魅力。今回、ご紹介したカンヌ映画祭受賞作品はほんの一部。人生で一番衝撃を受けた作品、と言える一本を探したいなら、まずはここから探すのが早道かもしれません。

Writer | 宇咲英人

ファッション誌、タウン誌、旅行雑誌、映画雑誌編集を経て、WEBディレクターとして映画コンテンツを手がけています。男っぽい映画が好き。

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