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最新作『美しい星』公開!『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督作4選

2017.05.19(Fri) | 清水久美子

2012年の『桐島、部活やめるってよ』で、第36回日本アカデミー賞・最優秀監督賞と最優秀作品賞を受賞した吉田大八監督。『桐島、部活やめるってよ』を見た時、その面白さに感動し、この映画が高い評価を受けたことがとても嬉しかったです。5月26日に公開される吉田監督の最新作『美しい星』からも、また新たな衝撃を受けました。今回は、『美しい星』をはじめ、吉田大八監督作4本を紹介します。

三島由紀夫×吉田監督ワールド『美しい星』
美しい星
1962年に三島由紀夫が発表した異色の“SF”小説を原作に、舞台を現代に置き換えて大胆な脚色で映画化。吉田監督は、学生時代にこの小説を読んで以来、映画化を切望してきたそうです。

お天気キャスターの父・重一郎(リリー・フランキー)、心に虚しさを抱える主婦の母・伊余子(中嶋朋子)、フリーターの長男・一雄(亀梨和也)、女子大生の長女・暁子(橋本愛)。この平凡な大杉家で、母以外の3人がある日突然、宇宙人として覚醒。火星人であることに目覚めた重一郎は、“美しい星・地球”を救う使命にかられ、地球温暖化の深刻さを訴え始めます。水星人の一雄、金星人の暁子も行動を起こし始めますが…。

重一郎たちは、なぜ宇宙人として目覚めたのか? 重一郎の“火星人のポーズ”がコミカルで、笑ったり混乱したりしながらも、三島作品が吉田監督ワールドの中で予測不可能に展開していく本作にどんどん引き込まれます。

◆『美しい星
2017年5月26日全国ロードショー
(C)2017「美しい星」製作委員会
ヒロインの表情が素晴らしい『紙の月』
紙の月
直木賞作家・角田光代の長編小説の映画化。こちらも大胆な脚色で、吉田監督ならではの秀逸な作品に仕上がっています。

1994年、バブル崩壊直後。夫と二人暮らしの主婦・梅澤梨花(宮沢りえ)は、銀行の契約社員として外回りの仕事に就きます。顧客から信頼され、上司からの評価も高い梨花。そんな何不自由なく見える暮らしの中、梨花は年下の大学生・光太(池松壮亮)と出会い不倫の関係に。ある時、悪気なく顧客の預金から1万円を借り、すぐに戻せば問題ないと考えた梨花は、段々と金銭感覚に歪みが生じ、やがて彼女の横領行為は暴走し始めます。

吉田監督は徹底した細やかな演出で梨花の表情を映し出し、道を踏み外しているはずなのに、思わず応援してしまいたくなる魅力的なヒロインを描出しています。
若手俳優たちの演技が圧巻『桐島、部活やめるってよ』
桐島、部活やめるってよ
直木賞作家・朝井リョウのデビュー作の映画化。日本アカデミー賞に輝いたことに納得するとともに、有名俳優の出演大作じゃなくても受賞した嬉しいサプライズをもたらしてくれた傑作です。

校内の“スター”桐島がバレーボール部を退部。桐島の彼女・梨沙(山本美月)や、親友・宏樹(東出昌大)さえも部活をやめた理由を知らず、彼の退部によって大きな波紋が広がっていきます。桐島と同様に学校内ヒエラルキーの“上”に属する生徒たちがいる一方、 映画部の前田(神木隆之介)は“下”に属していましたが、桐島と直接的に関係はないものの、彼にまで影響が及んでいきます。

吉田監督は、600人規模のワークショップ形式でオーディションを行い、キャスティングしたそうです。本作に出演したフレッシュな俳優たちの大勢が現在活躍中なのは、吉田監督が魅力を引き出したことも理由の一つではないでしょうか。
吉田監督の頭を離れない?『クヒオ大佐』
クヒオ大佐<廉価版> [DVD]
実在の結婚詐欺師を題材にした吉田和正の「結婚詐欺師 クヒオ大佐」を原作に、堺雅人主演で映画化。吉田監督は現在上演中(2017年5月19日~6月11日)の舞台「クヒオ大佐の妻」も演出し、『紙の月』の宮沢りえと再びタッグを組んでいることでも話題です。

父はカメハメハ大王の末裔、母はエリザベス女王の妹の夫のいとこだというジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐。米軍特殊部隊のジェットパイロットであると、流暢な日本語で数々の武勇伝を語る彼は、次から次へと女性を騙している結婚詐欺師でした。弁当屋を営む永野しのぶ(松雪泰子)、博物館の学芸員・浅岡春(満島ひかり)、銀座のNo.1ホステス・須藤未知子(中村優子)らに目をつけ、クヒオは嘘を並べていきます。

吉田監督は舞台「クヒオ大佐の妻」の上演を前に「一生かけてクヒオ大佐のことを考え続けていこうと思っている」とコメント。それほど監督の心をとらえた、滑稽だけれどなぜか憎めないクヒオの映画は必見です。

コメディの中に切なさがあったり、良い人間じゃなくても思わず共感してしまったり、見れば見るほど入り込んでしまう吉田監督ワールド。まだ足を踏み入れたことがない人は、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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