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スター俳優の魅力引き出す!今観るべき韓国映画の注目作品はコレ!vol.2

2017.06.16(Fri) | 上原礼子

ハリウッドでも縦横無尽の活躍を見せるイ・ビョンホンをはじめ、チョン・ウソン、ファン・ジョンミンら、スター俳優たちの新たな一面を引き出す韓国の次世代監督たち。彼らの作品は、今、韓国社会や政界が抱える問題に躊躇なく踏み込みながらもエンターテイメントとしても高く支持される傑作ぞろい。その底力を痛感する力作ばかりです。

イ・ビョンホン×新鋭監督が権力の腐敗に斬り込む!『インサイダーズ/内部者たち』
インサイダーズ
イ・ビョンホンを主演に迎え、財閥と政治家の癒着のみならず、大手新聞の主幹が彼らを操る策士となるという衝撃のストーリーを描いた問題作。韓国版「半沢直樹」ともいわれた「未生-ミセン」の原作者ユン・テホの未完の同名ウェブ漫画を、新鋭ウ・ミンホ監督が脚本も手がけて映画化。R指定作品としてはウォンビン主演『アジョシ』の記録を破り、韓国映画歴代第1位の大ヒットとなりました。

政治家や財界の大物を陰で動かす策士イ・ガンヒ(ペク・ヨンシク)に雇われ、さまざまな悪事を代行してきたアン・サング(イ・ビョンホン)は、ある日、財閥企業ミレ自動車が大統領候補者へ裏金を送っていた証拠を入手。それを楯にミレ自動車を脅し、さらなる成功を手に入れようとしますが、逆に失墜させられてしまいます。そんな彼に、コネも学歴もなく、実力があっても出世できない検事ウ・ジャンフン(チョ・スンウ)が接触するのですが…。

暴力でのし上がりながらも、どこか憎めない人間味のあるチンピラを演じたイ・ビョンホン。スマートな高級スーツがよく似合うのはもちろんのこと、失墜後の、長髪やさぐれチンピラ姿がとても新鮮。ギラギラとした野心の中に男気と優しさが垣間見えるキャラクターがハマッています。さらに、監視者たち』『ベテランなど韓国映画やドラマで見覚えのある、“悪役”が似合うバイプレイヤーが総出演ともいえるほど、実力派が顔をそろえています。韓国社会の闇を背景にした男たちの騙し合いを、堪能してみてください。
国民的俳優ファン・ジョンミン×注目度NO.1監督『ベテラン』
ベテラン
観客動員数1,340万人超え、歴代3位となる大ヒットを記録した、これぞ痛快! なポリス・アクション。型破りな“ベテラン”熱血刑事vs財閥の御曹司という、日本でいうところの“水戸黄門”的な古典的バトルが現代的な手法で描かれ、爽快なカタルシスをもたらします。監督を務めるのは、『シュリ』ハン・ソッキュ、『チェイサー』ハ・ジョンウ、『猟奇的な彼女』チョン・ジヒョンらスター俳優をそろえたスパイアクション『ベルリンファイル』で知られ、今や韓国映画界を牽引する存在といえるリュ・スンワン。

ソウル警視庁広域捜査隊に所属するソ・ドチョルは、気性は荒いが男気あふれるベテラン刑事。かつて世話になったトラック運転手が、賃金の不払いに抗議するためシンジン物産の本社ビルを訪れた直後、自殺未遂で意識不明となったことを知ったドチョルは、真相究明に乗り出します。その裏には巨大財閥の御曹司、チョ・テオの非道な悪行が絡んでおり…。

卑劣な揉み消し工作や捜査妨害にも決して屈しない、愚直なまでの熱血刑事ドチョルが、財と権力に溺れた巨悪に立ち向かっていく、その真っ直ぐな姿は観る者を熱くさせるはず。スリルあふれるアクション、絶妙な瞬間に訪れるユーモア、そして痛烈な社会風刺、この三拍子がとてもバランスよく、軽妙な芝居もこなす実力派俳優ファン・ジョンミンの活躍に拍手喝采! そして新世代のトップスター、ユ・アインがキャリア初の悪役ながら狂気の財閥御曹司を好演。国際市場で逢いましょうでもジョンミンと組んだオ・ダルスら、個性派ぞろいの警察チームたちも愛さずにはいられません。
ある男の人生から壮絶な現代史を描き出す『国際市場で逢いましょう』
国際市場で逢いましょう
2015年のベテランが韓国映画歴代3位なら、こちらはなんと歴代2位となる動員記録を打ち立てた2014年の作品。TSUNAMI-ツナミ-で注目を集めたユン・ジェギュン監督が、1人の男の人生を通じて朝鮮戦争以降の韓国の歴史をも映し出します。その主人公ドクスを演じるのが、『ベテラン』で熱血刑事、『アシュラ』で強欲な悪徳市長、日本の國村隼が出演した『哭声/コクソン』でも祈祷師を怪演していたカメレオン俳優ファン・ジョンミン。

子どものころ、朝鮮戦争で父と妹と生き別れたドクス。「今からお前が家長だ。家族を守ってくれ。いつか国際市場で逢おう」 それが父と最後に交わした約束となります。以来、釜山の国際市場にある叔母の露店に身を寄せながら、家族を養うため、はるかドイツの鉱山に出稼ぎに行ったり、ベトナム戦争に民間技術者として赴いたりと、文字どおり懸命に生き抜いてきました。時がたち、守り続けたその店も立ち退きを迫られ…。

ファン・ジョンミンは、つらくても笑顔を絶やさず、家族の前ではけっして涙を見せない昔ながらの家長を、圧倒的な存在感で“快演”。現代(ヒュンダイ)自動車の社長や、ソウル五輪のユニフォームを手がけたデザイナー、東方神起のユノが演じて話題を呼んだ人気歌手など、実在の著名人も時折登場しながらふり返る物語は、さながら韓国版『フォレスト・ガンプ』か。あるいは、その郷愁は、日本の『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズなどで描かれてきたものと近しい部分があるかと思います。号泣必至ではありますが、メランコリックに寄りすぎないのは、ファン・ジョンミンと幼なじみ役オ・ダルスとの名コンビが何かと笑わせてくれるからでしょう。
チョン・ウソンが初の悪役×先輩・後輩監督コンビ『監視者たち』
監視者たち
誰もが監視されているに違いない(?)現代において、あの『ボーン』シリーズを思わせるようなスリリングな監視と追跡にハラハラするクライム・アクション。私の頭の中の消しゴム『アシュラ』のチョン・ウソンが初の悪役に。監督は、『ひとまず走れ!』のチョ・ウィソクと『アメノナカノ青空』などの撮影を手がけたキム・ビョンソという、映画学校の先輩、後輩コンビ。チョ・ウィソク監督の次回作は、イ・ビョンホン×カン・ドンウォン×キム・ウビンという豪華キャストの『MASTER/マスター』です。

ずば抜けた記憶力と鋭い洞察力、そして驚異的な集中力を備えた刑事ユンジュ(ハン・ヒョジュ)は、韓国警察特殊犯罪課(SCU)内で凶悪犯の行動監視を専門とする班に配属されます。ベテラン班長のサンジュン(ソル・ギョング)は口が悪く、荒っぽいが人情味にあふれ、抜群の捜査感覚の持ち主。2人はm武装犯罪グループの冷酷なリーダー、ジェームズ(チョン・ウソン)の追跡捜査を通して、徐々に相棒としての絆を深めていくのですが…。

香港映画『天使の眼、野獣の街』のリメイクで、舞台はIT社会の先端都市ともいえるソウル市内。『シルミド』のソル・ギョングと『ビューティー・インサイド』のハン・ヒョジュ、そして人気グループ2PMのジュノらによる監視と追跡のプロ集団が、冷酷無比な武装犯罪グループのリーダー、チョン・ウソンを次第に追い詰めていきます。チョン・ウソンは、無駄のない動きと綿密な計画性で実行犯を操る“影”と呼ばれる存在を演じており、その長身の体躯もあってか、凄みと威圧感がハンパないのです。
若手スター キム・スヒョン×キム・ギドクの愛弟子『シークレット・ミッション』
シークレット・ミッション
韓国映画のスパイアクションとは、南北問題そのもの。本作では、ドラマ「太陽を抱く月」などで知られる若手トップ俳優のひとりキム・スヒョンが、北から南に潜入し、住民の監視を任されたエリートスパイを演じます。彼の人気ぶりは、前回紹介した怪しい彼女で、日本版あやしい彼女の野村周平と同様の役を演じているといえば、イメージがつかめるでしょうか。監督はキム・ギドクのもとで助監督を務めていたチャン・チョスルです。

韓国の田舎町で、毎日、緑のジャージ姿で過ごす町内一のバカ男・ドングとして潜入中のリュファン(キム・スヒョン)。彼は2年もの間、徹底的な観察と緻密な計算の上にドングになりきり、作戦実行命令が下される時を待っています。そんな中、ロックミュージシャン風の同志ヘラン(パク・ギウン)、さらに普通の高校生に扮した同志ヘジン(イ・ヒョヌ)が、同じ町に派遣されてくるのですが…。

やがて3人に下される非情かつ残酷なミッション…。緑ジャージ姿で笑わされ、エリートスパイらしい姿にときめいては、涙を誘われ、何とも盛りだくさん。クライマックスには、コミカルな前半からは想像もつかないほどの展開が待ち受けます。小気味よいアクションシーンもありながら、社会問題も盛り込んでくるところはさすが。キム・ギドクが製作総指揮・脚本を手がけたレッド・ファミリーもまた、北のスパイたちの悲哀をユーモアの中に描き出し、合わせて観ていただくのもオススメ。

昨今の政治情勢もあり、本国では記録的な大ヒット作が続々と生まれていたにもかかわらず、日本では斜陽となっていた韓国映画。とはいえ、アウトローな刑事が活躍するクライム・アクションや、市井の人物から身近な現代史をふり返るヒューマンドラマなどは、もともと日本でもなじみ深いジャンルでもあるはず。才能豊かな新鋭監督たちの台頭、彼らを潔く起用する映画界、層の厚い個性的な俳優たちが巧みに体現するキャラクター、社会風刺も含めた重層的なストーリーなど、このまま見逃してしまうのがもったいないほどの魅力を、韓国映画は秘めていると思うのです。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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