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父との関係から新たな人生へと踏み出す映画4選

2017.06.21(Wed) | 小林未亜

たとえ一緒に暮らしていても、意外と家族のこと、わからなかったりしませんか? 特に父親って謎。だから、改めて向き合うと、知らない面や自覚していなかった自分と似ている点が見えて、戸惑ったり、距離が縮まったり。
今回は、そんな父との関係や絆をテーマにした映画4本を紹介。人生を前向きに生きるヒントが見つかるかも?

神出鬼没な、父のようで父でない人 『ありがとう、トニ・エルドマン』
ありがとう、トニ・エルドマン
かみ合わない父と娘の関係を、独特のユーモアを盛り込んで描いたヒューマンコメディが6/24(土)から公開。アカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ40以上の賞に輝き、またジャック・ニコルソンが手を挙げハリウッド・リメイクも決定した話題作。

悪ふざけが好きな父・ヴィンフリートと、海外で忙しく働く娘・イネス。あれ、では“トニ・エルドマン”って誰?それは、長髪のカツラと出っ歯の入れ歯をして、別人になりすました父である。

仕事に追われる様子を心配した父が、娘をサプライズ訪問。戸惑う娘とぎくしゃくしながら数日間を過ごし、父はドイツへ帰って行く。……と安心したのもつかの間、トニ・エルドマンの登場。職場やパーティ会場に前触れなく現れては、ドイツ大使だとか適当な肩書を名乗り、笑えない冗談をまき散らすという、娘にとっては何の苦行だ…と思うような展開に。

ただでさえ重要な案件を抱え余裕のないイネスは、余計な心配事を増やす父の行動にイライラ。しかし強引なペースに巻き込まれるうちに、知らず知らず自分自身を解放していくイネスの姿は、追われるように日々を過ごす人たちに、立ち止まって考える時間を与えてくれる。

◆『ありがとう、トニ・エルドマン
配給:ビターズ・エンド
6月24日(土)より、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!
© Komplizen Film
娘“ポテトチップ”を思う父の愛に涙… 『パパが遺した物語』
パパが遺した物語
父と娘の絆を描いた感動作といえばこちら。
自らが起こした交通事故によって妻を亡くした小説家のジェイクは、長期入院を経て、一人娘のケイティと2人で暮らし始める。しかし、事故の後遺症による発作に苦しみ、新作も酷評され、さらには妻の姉夫婦から娘の養育権を巡る訴えを起こされてしまう。追い詰められる中、娘との生活を守るため、彼は自分と娘についての物語を執筆する。

過去の出来事が少しずつ明らかになると同時に描かれるのが、人を愛せないでいる25年後のケイティが、父の結んだ縁で恋をし、新たな一歩を踏み出そうとする姿。ジェイクと“ポテトチップ”ことケイティの愛ある日々を見ていると、大人になったケイティの幸せを願わずにいられなくなるはず。それにしても、幼いケイティとジェイクがカーペンターズの名曲「Close to You」を歌うシーンが最高すぎる。
75歳のカミングアウト、新たな人生の始まり 『人生はビギナーズ』
人生はビギナーズ
残り2作は父と息子の物語。こちらの「人生はビギナーズ」は、監督であるマイク・ミルズが、自身の体験を基に描いた作品。

「母さんを愛したが、これからはその方面を究めてみたい」。母の死から半年後、75歳の父がゲイだと告白。そのカミングアウトをきっかけに、父はファッションを変え、若い恋人を作り、ガンで亡くなる最期の時まで新たな人生を謳歌した。一方、女性との関係を続けられない独身の息子・オリヴァーは、38歳で初恋のような恋に落ちるが…。

「たとえキリンが現れても、ずっと欲しいと夢見ていたライオンを1人で待つ」「うまくいくと思えなくて、うまくいかないようにしてしまう」。そんな臆病なオリヴァーに、父は自らの人生を見せることで教える。何歳からでも新たな人生は始められる、ダメになってもやり直せる、とにかく試してみる。前向きなメッセージが胸にしみる。
誰もが経験する悲しみをほっこり描いた 『モヒカン故郷に帰る』
モヒカン故郷に帰る
最後は、「南極料理人」横道世之介」「滝を見にいくなどの沖田修一監督が手掛けたホームドラマ。

モヒカン頭のバンドマン・永吉は、結婚報告をするため、妊娠した恋人を連れて瀬戸内海に浮かぶ故郷・戸鼻島へ。7年ぶりに帰った実家で待っていたのは、矢沢永吉を愛する父、カープ狂の母、帰省していた弟。親子喧嘩やら宴会やらでひとしきり騒いだ矢先、父が末期ガンと判明し、家族に動揺が広がる。

「最近知ったんだけど、やっぱ親って死ぬんだな」と、離れていた7年という時間の分だけ、どこか他人事のような永吉。それでも、顔を突き合わせて言い合ったり笑い合ったりしていくうちに、永吉も家族のために行動を起こしていくように。誰もが避けられない親の死を、ただ悲しみだけで描くのではなく、くすりと笑って泣ける、そんな世界観に何だかほっとする。

子供から大人へと成長する段階のどこかで、「親も自分と同じ人間なんだなぁ。親にも青春があって、人生があるんだよなぁ」なんて当たり前のことを、ハッと気付く瞬間、ありますよね?こういう、父や母がテーマの映画を見ると、そのことに改めて思い当たります。

Writer | 小林未亜

編集プロダクションに勤務し、情報誌やWEBの編集・取材・原稿執筆をしています。かつて勤めていた映画館が2つともクローズしてしまったのが悲しく、休日はなるべく映画館へ。この仕事をしていても「衝撃の結末!」などのあおりに弱い

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