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フランス映画祭特集!新作&過去の名作映画コレクション

2017.06.22(Thu) | 斎藤香

6月22日から開催される「フランス映画祭2017」。この映画祭からは数々のヒット作が生まれ、今回の上映作品も素晴らしいラインナップ! そこで、今年のフランス映画祭で上映される映画&過去に話題になった映画など、関連作品をピックアップしました。

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本年度フランス映画祭の超話題作 『エル ELLE』
エル ELLE
主演のイザペル・ユペールが『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン監督と初めて組んだ衝撃的な作品。主演のユペールは本作でアカデミー賞主演女優賞候補になりました。

ある日、ミシェル(イザベル・ユペール)は、自宅に押し入った男に襲われます。しかし、彼女は警察に届けず、自力で犯人捜しを開始。事件後も彼女のもとに不気味なメールが届いたり、自宅に侵入した形跡があったりしますが、犯人捜しをしているうちに明らかになっていったのは、ミシェル自身の恐ろしい人格だったのです。

「こんなヒロイン見たことない!」と思うかもしれません。自分が襲われても動じず、淡々と日常に戻っていくミシェル。恐怖、動揺、屈辱はないのだろうか……と思ったら、犯人捜しのプロセスで明らかになっていく彼女の素顔。これが凄かった! いじわるで狡猾で変態。そしてときどき良き母になるという、実に複雑な人物だったのです。
ミシェルを演じたイザベル・ユペールは、この難役を見事にモノにしています。一度見たら忘れられないモンスターのようなヒロイン。ユペールの名演は一見の価値ありです。

◆『エル ELLE
8月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ ほか 全国ロードショー
(C)2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP
世界チャンピオンを目指すスポ根フランス映画 『タイピスト!』
タイピスト!
タイピングの世界チャンピオンを目指すヒロインと彼女の上司が二人三脚で頑張る姿に恋を織り交ぜて描く、恋愛&スポ根映画。2013年のフランス映画祭で観客賞を受賞した作品です。

1950年代。秘書に憧れて面接を受けにきたローズ(デボラ・フランソワ)ですが、特技はタイプの早打ちだけ。そんな仕事ができない彼女に上司のルイ(ロマン・デュリス)は、タイピング大会での優勝を命令します。「クビになりたくない!」と、彼女は懸命に早打ちの練習をしますが……。

スポ根映画は数々ありますが、タイピングのスポ根映画は珍しいでしょう。仕事はできないけど、根性は人一倍あったローズ。彼女は、タイピングのコンテストで優勝し、「自分だってできる!」ということを証明したかったのかもしれません。
またスポ根系映画なのにファッションが素敵なところやルイとの恋愛も注目。ラブシーンはけっこう生々しくてちょっとビックリです。
パン屋のオジサンの妄想ラブ 『ボヴァリー夫人とパン屋』
ボヴァリー夫人とパン屋
フランスの田舎町を舞台に、パン屋の主人が隣に越してきた美人妻に翻弄される様を描く中年オジサンの片思い映画。2015年のフランス映画祭で上映されて好評を博した作品です。

マルタン(ファブリス・ルキーニ)は妻と小さなパン屋を営んでいますが、少々退屈な毎日。唯一の楽しみは読書で、特に「ボヴァリー夫人」がお気に入りです。そんなある日、隣に夫婦が越してきました。なんと苗字はボヴァリーで、奥さんはとても美人。マルタンは小説「ボヴァリー夫人」の生涯を彼女に重ねあわせてしまい……。

パン屋の店主マルタンが勝手に妄想を膨らませていく様がおかしい。またボヴァリー夫人が奔放な女性で若い男と浮気したりするものだから、「このままだと小説のボヴァリー夫人のような運命に」とマルタンはヤキモキしちゃうんですね。小説と現実の境目がなくなっていく彼の暴走ぶりが、この映画のポイント。後半の展開は意外で「え~!」と思ったりしますが、ラストシーンのオチにはニヤっとさせられます。
人生の幕を下ろす時を決めるのは自分 『92歳のパリジェンヌ』
92歳のパリジェンヌ
尊厳死を選択したジョスパン仏元首相の母のことを綴った「最後の教え」をベースにした家族映画。2016年のフランス映画祭で観客賞を受賞しました。

かつては活動家として積極的に社会運動に関わり、自由な恋愛を謳歌してきたマドレーヌ(マルト・ヴィラロンガ)も今や92歳。彼女は誕生日、祝いの席で「私は2カ月後に逝きます」と宣言。息子は大反対、娘(サンドリーヌ・ボネール)も納得できませんでしたが、自分の人生を全うし、自ら幕引きをしたいという母の気持ちに心が揺れ動き……。

90歳を超えると、自分でできることが少なくなり、家族の世話になることが増えてくる。このまま弱っていくのなら「病で寝たきりになる前に人生の幕を下ろしたい」というマドレーヌの気持ち、わかります。でも子供たちが反対する気持ちもわかる……。それだけに辛い決断です。
尊厳死については様々な意見がありますが、ある意味、本人にとっては幸福な幕引きとも言えるかも……。親子の関係、親を看取るということについて考えさせられる作品です。
フランス映画祭団長ドヌーヴの代表作 『シェルブールの雨傘』
シェルブールの雨傘
「フランス映画祭2017」の団長カトリーヌ・ドヌーヴの出世作といえばコレ『シェルブールの雨傘』です。若い恋人同士が戦争で引き裂かれていく悲恋を完全ミュージカルで描いたラブストーリー。

ジュヌビエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)とギィ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)は将来を誓い合った恋人同士。しかし、ギィに召集令状が届きます。その晩、二人は結ばれますが彼は戦争へ。ジュヌビエーヴはギィの子を妊娠します。しかし、お金持ちのカサール(マルク・ミシェル)に求婚され、彼女は寂しさからそのプロポーズを受けてしまうのです。

ジュヌビエーヴとギィの関係は悲恋に見えますが、あのまま結婚していて果たして二人は幸福になれたかどうか……。結婚前に二人は身を焦がすような素敵な恋をして、それが美しい思い出になるのなら、それもヨシみたいな。ギィはちょっとかわいそうでしたが、今も昔も女の方がしたたかなのです。
ドヌーブは息をのむほど美しく、ファッションやインテリアなど美術も素敵。ガーリー感満載のフレンチミュージカルの傑作。必見です。

5作品を振り返るだけでも、フランス映画の奥深さがよくわかります。こんなにバラエティに富んだ作品が揃っているんですから。そしてやはりフランス映画といえば女優ですね。主演女優全員が本当に美しく魅力的!
2017年のフランス映画祭も歴史に残る作品の上映があるかもしれませんよ。過去作のおさらいをしてぜひ映画祭へ足を運んでくださいね。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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