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『ナイスガイズ!』に『バッドガイズ!!』最強!へっぽこ?バディムービーで笑い泣き

2017.09.06(Wed) | 上原礼子

“バディムービー”との言葉もあるように、いつの世も私たちを魅了してやまないのが、性格も境遇もまるで違う2人組が、いざとなったら2倍どころか、何倍もの魅力を発揮し、活躍する映画の数々。どんな事件やトラブルもスカッと解決…してくれればよいのですが、最近はそうもいかないバディも多いよう。そんな肩の力を抜いて楽しめる、イマドキのバディムービーに迫りました。

ライアン・ゴズリングがラッセル・クロウと“ラ・ラ・ランド”!?『ナイスガイズ!』
ナイスガイズ!
ライアン・ゴズリングが、エマ・ストーンとダンスを踊る40年ほど前のLAで、ラッセル・クロウとコンビを組む痛快アクション・エンターテインメント。ライアンは小ずるくてだらしのない、飲んだくれの私立探偵を演じます。一方、ラッセルは腕っぷしでトラブルを解決する示談屋に。とにかく笑える2人が大活躍します。

舞台は1977年のLA。13歳の娘ホリー(アンガーリー・ライス)と2人暮らしの、しがない私立探偵マーチは示談屋ヒーリーに半ば強引に相棒にされ、失踪した少女アメリア(マーガレット・クアリー)の捜索をすることに。やがて、とある1本のポルノ映画にまつわる連続不審死事件に繋がり、彼らは怪しげな暗殺者たち(マット・ボマーとか)に追われ、巨大な陰謀に巻き込まれ……。

ライアンが、これほどまでの三枚目キャラで体を張る姿は新鮮で、また、このおじさん凸凹コンビをしっかり者のマーチの娘ホリーが何かと助け、いい働きを見せます。バツイチのヒーリーともすっかり仲良しになるところもキュート。軽妙にテンポよく物語は進みますが、謎解きもある上、今の日本にも通じるかのような闇の深さも描かれ、意外と深い面も。監督は『キスキス,バンバンーL.A.的殺人事件』『アイアンマン3』のシェーン・ブラック、製作にはジョエル・シルヴァーと、伝説のバディムービー『リーサル・ウェポン』シリーズを生み出したコンビがタッグ。新たに、「続きが観たくなる」2人を生み出しています。
“悪徳刑事”のアレクサンダー・スカルスガルド×マイケル・ペーニャ『バッドガイズ!!』
バッドガイズ
ナイスなガイズがいれば、バッドなガイズもいます。『ターザン:REBORN』の北欧美男子アレクサンダー・スカルスガルドと、『アントマン』の“おしゃべり相棒”マイケル・ペーニャが超バッドな刑事コンビに。Fワードや問題発言を連発、悪人たちからドラッグもくすねる彼らは、とにかくやることなすことが度を超していますが、なぜか見放すことができせん。

酒とカントリー音楽をこよなく愛する警官のテリーは、博識で皮肉屋な相棒のボブと100万ドルの強盗計画をかぎつけ、独自のやり方で捜査を開始。しかし、バックに裏社会のドンである英国貴族(テオ・ジェームズ)が潜んでいたことで事態は思わぬ方向に。エスカレートする暴力と追跡劇の行く末は!?

194cmの長身で筋肉美でも知られるアレクサンダー演じるテリーは終始、酩酊しており、一方、ペーニャ演じるボブは妻と2人の子を溺愛していますが、口が悪い。とはいえ、この凸凹コンビは、悪に反撃する術を持たない子どもや女性にはとことん優しいのがツボなのです。過去のヒーロー大作とは打って変わったキャラクターに変貌した2人は、クセになりそう。そんな彼らを、失笑と苦笑とともにご堪能ください。監督・脚本は、アイルランドの田舎町を舞台に地元警官とFBI捜査官の凸凹コンビを描いた『ザ・ガード 西部の相棒』で注目されたジョン・マイケル・マクドナー。本作も“その後”を知りたくなる2人です。
“アウトロー”イドリス・エルバד騙し屋”リチャード・マッデン『フレンチ・ラン』
フレンチ・ラン
こちらのバディは、アウトローなCIA捜査官と流れもののスリ。『スター・トレック BEYOND』などのアクションから人間ドラマまでこなせるイドリス・エルバが、とにかく強いCIA捜査官に。一方、人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」や『シンデレラ』で知られるリチャード・マッデンは王子キャラから一転、現代劇でスリという意表をつく役回りに注目です。

パリ、革命記念日前夜に発生した爆弾テロの容疑者にされてしまったスリの若者マイケル。CIAきっての無法者、ブライアー捜査官は、いち早くマイケルを確保し、抜群のスリテクニックをもつ彼を引き連れて真犯人を探すためパリの街を奔走! やはり、その裏にも陰謀が隠されていて…。

“CIAとスリ”による前代未聞のコンビは、無双の虎と、その虎ににらまれた子犬のような力関係が笑いを誘う場面も。とはいえ、マイケルもやられっぱなしではなく、活躍の場も用意されています。テンポのよいアクションではありますが、テロの背景がとても今日的。脚本には、ジャレッド・レト&浅野忠信共演の『The Outsider』(原題)や新たな『ボーン』シリーズを手がけるといわれるアンドリュー・ボールドウィンも参加しています。
“ダメ大人”松田龍平と“しっかり者”おいっ子の珍道中『ぼくのおじさん』
ぼくのおじさん
凸凹コンビといえば、ダメな大人としっかり者の子どものコンビも、ヒュー・グラント×ニコラス・ホルトの『アバウト・ア・ボーイ』や上記の『ナイスガイズ!』など傑作バディモノの定番といえます。本作ではビンボー、ケチ、ヘ理屈ばかりの“インテリぼんくら”なおじさんを松田龍平が好演。『3月のライオン』などに出演する名子役の大西利空と絶妙なやりとりを見せます。

原作は芥川賞作家・北杜夫が自らをモデルに、兄(精神科医・斎藤茂太)の家に居候していた頃の体験を膨らませて執筆した児童文学。あるとき、家に居候している“おじさん”を題材に、宿題の作文を書くことにしたぼく。おじさんは大学の非常勤講師で哲学を週に1コマ教えているだけで、毎日ゴロゴロ。そんなおじさんもハワイの日系4世の美女にひと目惚れするのですが…。

松田龍平と山下敦弘監督で贈る心をホッと和ませてくれるホームコメディにして、凸凹コンビが織りなすロードムービー。最新作『散歩する侵略者』では侵略者に体を乗っ取られた男を演じている松田さんですが、おそらく彼にしかできないゆる~い演技は、もはや癒しの一種です。
メリル&ヒュー、芸術への愛と夢が結びつけた運命共同体『マダム・フローレンス!夢見るふたり』
マダム・フローレンス!夢見るふたり
メリル・ストリープが実在したNYの“歌姫”フローレンス・フォスター・ジェンキンスを演じ、自身が持つオスカー最多ノミネート記録を20回に更新した作品。その“夫”シンクレアをヒュー・グラント、彼らが雇うピアノ伴奏者を海外ドラマ「ビッグバン・セオリー」のサイモン・ヘルバーグが演じています。このバディ+1人の関係性が、本作をいっそう心温まるものにしています。

自身の歌唱力に気づいていないマダム・フローレンス。夫のシンクレアがマスコミや批評家を買収し、信奉者だけを集めた小さなリサイタルを開いては献身的に立ち回っていました。しかしある日、フローレンスが世界的権威あるカーネギーホールで歌うと言い出したから大変! 持病を抱えながらも音楽に生きる彼女の命がけの挑戦に、シンクレアも一緒に夢をみることを決めますが…。

メリルはオンチで知られる歌姫を演じるにあたり、まず、きちんとオペラをマスターしてから、少しずつ音を外していく訓練をしたといわれますが、ヒューもまた、すばらしい演技を披露します。愉快でチャーミング、もちろん女性も大好き。でも、妻と、彼女が愛する音楽・芸術を愛しております。チャールストンを踊るシーンもあり、『ラブ・アクチュアリー』以来の衝撃がここに!? 何より、この映画からは運命共同体となった夫婦の愛はもちろん、芸術への愛、ニューヨークという街への愛など、さまざまな愛を感じることができます。

見ているだけで楽しい、名(迷)コンビたち。あなたのお気に入りバディはいたでしょうか? 個人的には『ナイスガイズ!』の2人のその後がとても気になるので、続編を熱望しております!

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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