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モフモフは人のためならず!? 日本からフランス、北欧まで猫映画5選

2017.10.20(Fri) | 上原礼子

実話から生まれたベストセラーが原作の『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(イギリス)が、ロングランヒットとなっています。さらに、動物写真家・岩合光昭氏による人気番組「世界ネコ歩き」の劇場版が10月21日から全国公開され、11月には全米で大ヒットしたドキュメンタリー『猫が教えてくれたこと』も日本上陸。また、CMや動画、SNSなどからもスター猫が次々登場しており、その経済効果は「ネコノミクス」なんて呼ばれたりも。世は空前の猫ブーム⁉︎ 深まる秋に、ぬくぬくでモフモフ、ツンデレな魅力いっぱいの猫たちが登場する映画をご紹介します。

『先生と迷い猫』 スター三毛猫が単独主演!?
先生と迷い猫
『沈黙ーサイレンスー』が国内外で絶賛されたイッセー尾形が演じる元校長先生。その堅物さと偏屈さから近所では浮いた存在で、訪ねてくるのは亡き妻(もたいまさこ)がかわいがっていた野良の三毛・ミイぐらい。猫が苦手な先生がいくら追い払っても、気づけばミイは毎日、仏壇の前に座っています。

しかし、ある日から姿が見えなくなったミイ。先生が心配になり探し始めると、自分以外にもミイを探している人たちがいることを知ります。共に猫探しをするなかで、先生の凝り固まっていた“ある頑固な心”がほぐされていき…。

実際にあった地域猫捜索の模様を記したノンフィクションを原案に映画化。「ミイ」「タマ子」「そら」「ちひろ」と、かわいがってくれるお店や人によって異なる名前で呼ばれる1匹の野良猫を演じるのは、NHK朝ドラ「あまちゃん」に出演していた三毛猫のドロップ。通常、こうした“猫映画”にはそっくりな代役が何匹かいるものですが、ドロップは全編にわたり1匹で“主演”を演じきりました!

愛猫家のみならず、愛猫との別れを経験した方や、身近な愛猫家を亡くした人にとっても“あるある”が詰まったこの映画。モデルとなったのは、地域猫です。町ぐるみで「飼い主のいない猫」にエサをやり、糞を片づけ、避妊・去勢手術を施すなど、猫と共生していく地域づくりの取り組みが今、各地で行われています。「猫ブーム」といいながら、殺処分される猫が年間4万5000匹(2016年度・環境省)という日本で、そうした猫たちを少しでも減らしていこうという動きがモデルになっています。
『レンタネコ』 茶トラ、三毛、白黒など総勢17匹登場
レンタネコ
「レンタ〜ネコ、ネコ、ネコ。寂しいヒトに、猫、貸します」。拡声器でそんな呼び込みをしながら土手を歩く、主人公のサヨコ(市川実日子)。幼いころから、なぜか猫に(だけ)好かれるサヨコは、祖母が残した平屋の日本家屋で猫たちと暮らしながら、心寂しい現代人のために“レンタネコ屋”を営んでいます。

猫を借りたいと願い出るのは、夫と愛猫に先立たれた老齢のご婦人(草村礼子)、単身赴任の中年サラリーマン(光石研)、お客の来ないレンタカー屋の受付嬢(山田真歩)、サヨコの中学時代の同級生で今は怪しい稼業の男(田中圭)。彼らが猫を通じて心の“穴ぼこ”を埋めていく一方、相手もいないのに「結婚したい」「新婚旅行はハワイ」などと叶わぬ(?)目標を掲げていたサヨコにも少しずつ変化が訪れ……。

メガホンをとったかもめ食堂『彼らが本気で編むときは、』の荻上直子監督は、大の猫好きで知られ、作品にもよく猫が登場しますが、この映画の猫たちはとりわけ、あるがままを撮ってもらった様子。おそらく、レンタ猫たちには「人間の心を癒してやろう」などというつもりは毛頭なく、ただそこに居るだけ。そんな猫たちを、愛情たっぷりに撮り上げたことが画面の端々からうかがえます。猫と都会の片隅のスローライフも相性抜群で、主演の市川実日子の醸し出す空気感がまた実に猫と近しく、“荻上ワールド+猫”をゆったりした心で楽しめます。
『世界から猫が消えたなら』 2代にわたるサバトラ
世界から猫が消えたなら
君の名は。をはじめ、数々のヒット作を手がけた映画プロデューサー・川村元気による、100万部突破のベストセラー初小説を映画化。愛猫キャベツとふたりぐらし、30歳の郵便配達員が主人公(佐藤健)。母(原田美枝子)を病気で亡くしてから、実家の父(奥田瑛二)とは疎遠になっています。

その主人公の余命があとわずかと分かった日、彼の目の前に彼そっくりの姿をした“悪魔”が現れ、大切なものと引き換えに1日の命を猶予するというのです。電話、映画、時計…そして猫。大切なものが失われていく世界で、主人公は別れた恋人(宮崎あおい)や映画マニアの親友(濱田岳)とのかけがえのない思い出までも失い、やがて亡き母が残した手紙を見つけるのですが……。

「世界から猫が消えたなら?」「いや、それは困る!」そんな愛猫家の思いを代弁するかのような、とあるセリフが印象的です。まさに私自身も日々思っていることで、しみじみと納得。もちろん、映画も消えてしまったら困ります! チャップリンの『ライムライト』、ウォン・カーウァイの『ブエノスアイレス』など、さまざまな年代の名作の登場は見逃せません。また、名画座をはじめとするレトロな建物や路面電車など、函館の風景もファンタジックな映画にひと役買っています。
『幸せなひとりぼっち』 北欧のモフモフ&ふわふわ猫
幸せなひとりぼっち
北欧スウェーデンからは、偏屈じいさんとにぎやかな隣人たち、そして1匹のふわふわ野良猫が織りなすヒューマンドラマを。世界30か国300万部の大ベストセラー小説を映画化し、第89回アカデミー賞2部門にノミネート。2年前、世界中が『スター・ウォーズ』新作に沸いていたころ、本国では5人に1人が見たほどの記録的大ヒットとなりました。

愛する妻を亡くし、43年も務めた鉄道工場を突然リストラされたオーヴェ。早く妻のもとに逝こうと、さまざまな方法を使うも、なかなか実行できません。しかも、そんなときでも近隣の風紀を守るための見回りを欠かせないオーヴェは、新しく引っ越してきた一家も放っておけず、何かと世話を焼くように。

いつも不機嫌そうなのに、なぜか彼の回りには人が集まってきます。ときには、ノルウェージャンフォレストキャットらしき野良の美猫までも。そのうち妻の枕で眠るようになる、青い瞳のモフモフの“居候”は、彼の見回りにもさりげなく付いてきてくれます。ひとりぼっちのようでいて、実はたくさんの愛に囲まれていたオーヴェ。何気にわたしは、ダニエル・ブレイクに相通じるテーマも、多くの共感を得た理由でしょう。
『カミーユ、恋はふたたび』 茶色の美猫アメショー
カミーユ、恋はふたたび
こちらのパリ在住のカミーユは、お酒と愛猫だけが人生の慰めの40歳。仕事もパッとせず、25年も連れ添った夫からは離婚を言い渡されてしまいます。失意のカミーユは心機一転、パーティーで大はしゃぎしますが、酔っ払って転倒。気がつけば…16歳の学生時代にタイムスリップ!

中年の姿のままなのに、なんと周りには10代に見えている様子!? 違和感を覚えながらも、今は亡き大好きな両親や、個性的な友人たちと2度目の青春を謳歌するカミーユ。やがて、恐れていた夫との出会いが訪れ……。

喉をゴロゴロと鳴らしながら、主人公カミーユの愚痴の聞き役となるのが、美人猫(たぶんメス)のアメリカンショートヘア。学生時代にも“彼女”は居てくれます。酸いも甘いも経験した大人の自分のままで、猫とともに“若かりしころに戻る“という究極の夢を実現させたカミーユ。彼女が下した決断も、だからこそのものでした。ネーナの「ロックバルーンは99」やカトリーナ&ザ・ウェイヴスの「ウォーキング・オン・サンシャイン」などのヒット曲が、鮮やかでポップな80年代に連れていってくれます。

猫って、何気ない日常を映し出すヒューマンドラマとも、ファンタジーとも好相性。時には『ハリーとトント』のように名バディになったり、『ゴッドファーザー』のように大物に好かれたり。猫はただ居るだけ、なのに絵になります。このほかにも、『猫侍』『ねこタクシー』『猫なんか呼んでもこない』といった日本映画、ルドルフとイッパイアッテナ『パリ猫ディノの夜』『猫の恩返し』などアニメーションなども実にたくさん。映画も、猫も、人間にとっての“心の栄養”だからなのでしょう。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当し、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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