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リュミエール兄弟の秘蔵作品が4Kで蘇る!映画愛溢れる珠玉のドキュメンタリー『リュミエール!』

2017.10.27(Fri) | 仲谷暢之

10月28日(土曜日)より全国順次公開されるのが『リュミエール!』。
「発明の父」がエジソンなら、ルイ&オーギュスト・リュミエール兄弟は「映画の父」だ。
1895年、世界で初めてパリの劇場において、彼らが発明した“シネマトグラフ”で撮影された映画が有料で上映されたことから称されている。
その時公開されたのは「工場の出口」と「水を撒かれた散水夫」など。どれもが約50秒と短く、フィルムでいうと幅35mm、全長は17mほど。だけどそこに収められた映像は、今観ると興味深く、120年前が記録されている貴重なもの。そして今作は1895年から1905年までに作られた1422本の中から選りすぐりの108本が収められ立川志らく氏の軽快なナレーションとともに11章のテーマに分けられ観ることができる。

リュミエール!メイン_縦
 物心ついた時から祖父母の影響で映画を好きだった自分にとって、いつか映画を撮ることは夢だった。それが叶ったのは高校生の時。映画研究部に入部した時にその夢は叶った。初めての学園祭で上映する映画を作ることになったのだ。当時はまだ8mmフィルム(もう知らない人多いやろなぁ)を使い、部にあったカメラを借り、先輩に教えを請い、同級生に協力してもらい、8ミリ映画の撮り方というガイド本を買って、脚本的なものを書き、放課後を使って撮影した。内容は女子高生が自分の意思とは裏腹に突然テレポーテーションしてしまうというものでそしてゾンビたちの中に現れ、噛まれ、ゾンビになったけどテレポーテーションをし続けるって話だった。
 クラスの人気者、桐島がクラブをやめる事をきっかけに同級生たちのリアルな軋みが生まれる話だった桐島、部活やめるってよの中で、重要なキャラクターとなる神木隆之介扮する映画部の前田たちを見ると、あの時の、それこそ夏、みんなで手探りで映画を作っていた甘酸っぱさが甦って心にむず痒さが走り、涙がこぼれた。そして撮影したフィルムが現像されている間のドキドキ、そして現像から戻ってきて、編集前のネガを映写機で映した感激と興奮も同時に思い出した。
 きっとそれと同じ気持ちはリュミエール兄弟、そして彼らの家族、さらに世界中に派遣されて撮影してきたカメラマンたちさらにさらにあったはず。
リュミエール!工場の出口
 今作のオープニングを飾るのは、世界で初めて有料上映された「工場の出口」。リュミエール家の経営する工場から帰宅する社員たちを映しているのだけど、このシチュエーションがバージョン違いがあるのを知って、ただ記録として映しているのではなく、ちゃんと映画として作ろうとしているのがわかったのが面白い。さらに「水を撒かれた散水夫」もフィルムの本数や劣化のために何度かリメイクされ世界中に送られていったのも興味深く、映画という娯楽が瞬く間に広がっていったことがわかる。そしてソフト供給のために世界中にリュミエール兄弟がカメラマンたちを派遣したのも納得だ。
 彼らはそれぞれに工夫を凝らし、思いもよらない絵を切り取り今見ても素晴らしい1本50秒の作品を作り上げた。
リュミエール!ポスター
 個人的には「働く女」という川で洗濯する女性、それを見ている男性、さらに馬車で移動する人という奇しくも三分割に分かれて描かれる秀逸な構図の作品や、シャモニーの氷河を登山する人たちのグラフィカルな絵、大型船の進水式、コンコルド広場と噴水、クレモ曲芸団たちの凝縮された技の数々など今観ても感嘆してしまう作品に見惚れてしまった。これらをリアルタイムで観た人の興奮はいかほどだったか。きっとセンス・オブ・ワンダーだったと信じてやまない。
 でもこれ、今なら無くなってしまったけれど、6秒で表現したvineであり、今も人気のツイッターやインスタグラム、YouTubeではないだろうか。もちろん機材の進化や供給する側、需要する側のやりとりは早くなったけれど、世界の個人レベルの映像を喜怒哀楽、一喜一憂できるのは一緒に違いない。
 そういう意味では原点を知る上で、さらに映像を、絵を、写真を趣味としていたり学んでいたりする人は、映画の父たちが残してくれた素晴らしい遺産がこの「リュミエール!」をぜひ観て欲しい。さらに言うなら映画の父たちの作品からの延長戦から何かしらのリスペクトを受けているはずの、みずみずしい才能たちが集まったぴあフィルムフェスティバルの作品たちも併せて見ると新たなる発見があると思う。

Writer | 仲谷暢之

ライター、関西を中心に映画や演劇、お笑い、料理ネタなどなどいろいろ書いてます。

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