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平凡な人生なのも悪くないかも…。天才って大変そうな映画5選

2017.11.17(Fri) | 足立美由紀

「もし、誰にも負けない天才的な能力が自分にあったら……」誰しも一度はこんな妄想を抱いたこと、ありますよね。でも、天才ってなかなかシンドそうですよ? 今回はさまざまな試練に直面した天才たちが登場する映画を5本ご紹介します。

非凡な才を天から与えられた少女の幸せとは? 『gifted/ギフテッド』
ギフテッド
数学の才能に恵まれた少女メアリーと叔父フランクの深い絆を、美しいフロリダの風景とともにつむぐファミリー・ドラマ。『(500)日のサマー』でスイート&ビターな青春ラブ・ストーリーをつむいだヒューマンドラマの名手マーク・ウェブが、原点に立ち戻って描いたのは“家族の素晴らしさ”でした。本作は人間の本当の幸せとは何か?と訴えかけてくる、しみじみとした感動作です。

亡くなった姉の娘・メアリー(マッケナ・グレイス)を引き取り、共に暮らす独身男のフランク(クリス・エヴァンス)。彼は小学校の初登校をぐずるメアリーをなだめ、「とにかく、子供らしく!」と注意して送り出します。実はメアリーの母親はかつて歴史的功績を期待された著名な数学者で、その血を継いだ彼女もまた、高度な数学の才能を持つ天才少女だったのです。

自殺した姉の話に耳を傾けることができなかった自分を悔やみ、「娘には“平凡な生活”を」という亡き姉の遺志を貫いてメアリーを普通の学校に通わせるフランク。しかし、彼女の才能を開花させることを主張する祖母(フランク姉弟にとっては因縁の母!)の言葉に、フランクの心は乱れて……。“歴史に名を残す “べきか”平凡な幸せ“か~フランクならずとも考えさせられるテーマですよね。

そんな我々に答えを提示するかのように、ウェブ監督は海辺ではしゃぐメアリーを静かに見守るフランクの姿や夕日をバックにしたシルエットなど、穏やかな時を過ごす2人の素敵な関係を丁寧に映し出します。人間としての豊かな営みと愛情の大切さを、セリフに頼ることなく視覚で訴えかけてくる演出は秀逸。また利発でキュートなメアリーを体いっぱいで表現した、天才子役マッケナ・グレイスのナチュラルな演技も素晴らしい!

その後、祖母はメアリーの親権を求めて裁判を起こすのですが、さて、普通の幸せを望む2人の運命はいかに!?

♦『gifted/ギフテッド
11月23日(木・祝)全国公開
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
世界一の数学者を自認する男の数奇な運命『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密
実在したイギリスの数学者アラン・チューリングが、世界最強の暗号エニグマの解読に挑んだ波乱万丈のドラマ。イギリス政府が50年以上に渡り隠し続けた、戦争終結に貢献した男の数奇な運命を、ベネディクト・カンバーバッチ主演でサンペンスフルに描いています。本作は第87回アカデミー賞で脚色賞を受賞した作品です。

第二次世界大戦下のイギリス。解読不可能と言われていたドイツの暗号エニグマを攻略するため、数学者アラン・チューリング(カンバーバッチ)に白羽の矢が立ちます。極秘任務に就いたチューリングは、クロスワードパズルのチャンピオンなど、集められた国内のさまざまな分野の天才たちと共に、苦心の末に見事解読するのですが。

自らを「世界一の数学者」と称するちょっと変わり者のチューリングを、カンバーバッチがアカデミー賞・主演男優賞ノミネートの名演で体現しています。天才だったが故に軍から重用され、存在することすらも極秘扱いとなったチューリング。心の自由さえ奪われてしまった彼へのむごい仕打ちには、誰しも義憤にかられることでしょう。
“神の一手”を持つ天才チェスプレーヤーの鬼気迫る半生『完全なるチェックメイト』
完全なるチェックメイト
こちらも実在する人物をモチーフにした作品です。伝説の天才チェスプレーヤー、ボビー・フィッシャーの鬼気迫る半生を、米ソ冷戦下の対立構造とともにつむぐ社会派ドラマ。『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック監督が、世界一を決めるチェス頂上決戦を、アメリカとソ連の盤上の代理戦争としてスリリングに描いています。

15歳でチェスのグランドマスターに輝いた天才プレーヤー、ボビー・フィッシャー(トビー・マグワイア)。わがままな物言いと、常人には理解できない奇行でボビーは変人と言われています。そんなボビーが、24年もの間ソ連がタイトルを保持してきたチェスの世界王者決定選に臨むのですが。

興味深いのが、初戦を落としたボビーと、リーブ・シュレイバー扮するソ連の王者ボリス・スパスキーが、それぞれ部屋に仕掛けられた(?)盗聴器を探すシーン。良識を持つ大人に見えたスパスキーですら……と、彼らが負った精神を歪ませるほどのプレッシャーと疑心暗鬼の凄まじさには背筋が寒くなるはず。頂点に君臨し続けるストレスは、常人の想像の及ぶところではないのかもしれません。
天才科学少年の大冒険!『天才スピヴェット』
天才スピヴェット
『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督が、ライフ・ラーセンの「T・S・スピヴェット君 傑作集」を元に、天才科学少年スピヴェットの<アメリカ横断の旅>を瑞々しく描いた冒険ストーリー。スピヴェット家をはじめとする建物&室内のしつらえなど、ジュネ監督の個性がふんだんに発揮されたギミック満載のプロダクション・デザインと、モンタナの美しい大自然が楽しめます。

モンタナの牧場に暮らす風変りな一家の息子スピヴェットは、10歳にして論文がディスカバー誌に掲載されるほどの天才科学少年。ある日スミソニアン博物館から、「発明品が受賞したため、授賞式に出席して欲しい」という連絡を受けるのですが。

実は、一家は銃の事故で亡くなったスピヴェットの双子の弟の死を悲しみ、崩壊寸前。そんな家族の心を察しの良すぎる頭で深読みし、一人小さな胸を痛めるスピヴェットの姿にホロリとさせられます。また、彼が10歳と知った博物館の次長は、良くない考えを持ったようで……。ユーモア満載でほろ苦くて感動的な、アメリカ横断家出旅行の結末は?
『スティーブ・ジョブズ』
スティーブ・ジョブズ
そして最後は、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズを演じたアシュトン・カッチャーの再現率の高さが話題となった伝記ドラマです。今日のiphoneへと続く、天才的なセンスを持った稀代の名プロデューサーの人生は、栄光と挫折の繰り返しでした。

大学を退学し、瞑想や東洋思想にかぶれる変わり者のジョブズは、機会いじりの好きな友人らとともにガレージで家庭用コンピュータの開発を始めます。彼らが設立したアップル・コンピュータが売り出した『Apple II』は大ヒット! 会社は急成長するのですが。

創業当時の仲間であっても、能力の劣る者は冷遇したジョブズ。ドラスティックで妥協を許さない姿勢は軋轢を生み、次第に彼は孤立して……。そんな(女性の扱いも含めて)人格的に残念な人物ながら、類まれなる発想力で起死回生する様には拍手喝采しちゃうはず。

頭脳明晰は結構だけれど、時にはその優秀さが災いして不測の事態に巻き込まれることも。期待され、求められるのは嬉しいことですが、目立ちすぎには要注意! ということで、天才たちの波乱万丈な人生は、ひとまず映画で楽しみましょう。

Writer | 足立美由紀

フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。

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