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肉体が放つ美しい芸術!バレエの世界を映し出したドキュメンタリー映画5選

2017.12.01(Fri) | 斎藤香

毎年のように公開されるバレエのドキュメンタリー。バレエ団の裏側、バレリーナの人生、振付師の挑戦など内容はさまざまですが、どの作品も芸術のために生きる姿を映し出した作品ばかりです。その美しさと、ときどき垣間見られる闇の世界をお楽しみください。

フランスで大ヒットした芸術の殿堂のドキュメンタリー『新世紀、パリ・オペラ座』
新世紀、パリ・オペラ座
バレエ関連のドキュメンタリーで人気があるパリ・オペラ座。『パリ・オペラ座 夢の継ぐ者たち』『パリ・オペラ座のすべて』。そういえばアニメ映画『フェリシーと夢のトウシューズ』もオペラ座が登場しました。バレリーナを目指す人やバレエファンにとって、パリ・オペラ座は夢の舞台なのですね。そのオペラ座映画の新作が『新世紀、パリ・オペラ座』。

本作はバレエだけでなく、オペラにもスポットをあてています。新作オペラの舞台裏に密着をし、新人オペラ歌手が育成されていく様子も見せていきます。バレエ関連では、オペラ座バレエ団芸術監督でもあったミルピエ氏の降板劇も取り上げ、オペラ座の裏側で起こった数々の出来事を追いかけていくのです。「歴史の継承だけでなく、フレッシュな風も取り入れたい。どうしたらいいのか、変わるべきか否か」と悩むスタッフたち。意外にもコミカルな一面もあり、フランスで大ヒットしたのもうなずけるドキュメンタリーです。

◆『新世紀、パリ・オペラ座
フランスでオペラ座のドキュメンタリー映画史上No.1記録樹立!
12月9日(土)公開
天才振付師が伝統と格式のバレエ団に挑む『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』
ミルピエ
映画『ブラック・スワン』の振付を担当したのが縁で主演女優のナタリー・ポートマンと結婚した天才振付師バンジャマン・ミルピエ。2014年に史上最年少でオペラ座バレエ団芸術監督の就任した彼が、新作バレエに取り組んだ日々を追いかけたのが本作です。

オペラ座がミルピエをバレエ団の芸術監督に呼んだのは、革新的な新しい何かをもたらしてくれると考えたからだと思います。彼は、階級に捉われないダンサーの人選をし、衣裳や音楽もこれまでもオペラ座の人選とは違い、彼なりにオペラ座に新しい風を吹かせようと精力的に動きます。それには、新しい芸術が生まれる瞬間に立ち会うような興奮がありますが、オペラ座とミルピエの間の歯車が微妙にかみ合わなくなっていくのです。伝統VS革新のせめぎあいが見られるドキュメンタリー、ミルピエの孤軍奮闘ぶりは必見です。
世界一の「白鳥」を踊るバレリーナの人生『ロパートキナ 孤高の白鳥』
ロパートキナ
2017年6月に引退を発表したロバートキナ。「ロシアの至宝」と呼ばれる天才バレリーナの生き様とバレエをたっぷり堪能できるのがウリヤーナ・ロパートキナのドキュメンタリーです。

格調高いロシアのマリインスキー・バレエ団のプリンシパルであるロパートキナの幼少時代から現代までを綴った映画です。彼女の少女時代の画像、バレリーナとして成熟していく様を本人のインタビューと関係者の取材で浮き彫りしていきます。長くトップダンサーとして踊り続けていたロパートキナはその極意を「名声は忘れること」と語ります。そのシンプルなポリシーが、エレガントなトップダンサーの彼女を支えていたのです。彼女の生き様も素敵なのですが、もっと感動するのがロパートキナの演目の数々。シロウト目にも、その凄さは伝わります! 「瀕死の白鳥」を踊るロパートキナの美しさは必見。彼女の凄さはバレエ鑑賞歴のない人も惹きこむ力を持っているのです。
ダンサーを目指す少年少女の頑張りに拍手!『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』
ファースト・ポジション
日本では「ローザンヌ国際バレエコンクール」が有名ですが、この映画に登場する「ユース・アメリカ・グランプリ」も世界的に有名。このグランプリで入賞すればバレリーナとしての未来が約束されるからです。このコンクールに挑む6人の少年少女を追いかけたのがこのドキュメンタリーです。

バレリーナとしての英才教育を受けるミコとジュールズの姉弟。バレエにすべてを懸けるミコと違って、ジュールズのゆる~いレッスンぶりが笑いを誘います。また内戦で親を亡くしたミケーレや南米コロンビア出身で親の期待を背負うのジョアンなど、経済的に恵まれているとは言えないながらも、家族や周囲の人々の協力を得て、バレエで恩返ししようとする姿など感動的。コンクールの裏側は、常に喜びと悔しさがいっぱい。ダンサーの数だけドラマがある!まさに青春ドキュメンタリーの秀作です。
世界的なバレエ団のスキャンダルに驚愕『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台』
NoImage
世界的に有名なボリショイ・バレエ団の芸術監督が硫酸を浴びて失明の危機に!そんなスキャンダルが発覚して揺れるバレエ団の再生までの道を追いかけた作品です。

2013年1月、ボリショイ・バレエ団の芸術監督セルゲイ・フィーリンが何者かに襲われ顔に硫酸を浴びてしまう。犯人は同バレエ団の男性ダンサー。世界に報道された大スキャンダルにバレエ団は揺れます。フィーリンをかばう者もいれば、彼をよく思わない者も……。完全に閉ざされていた世界を覗き見るような下世話な興味をかきたてられます。芸術監督もダンサーも自己顕示欲の塊ゆえに、このようなぶつかりあいがあるわけですが、純粋にバレエを愛し、ボリショイ・バレエで踊ることに喜びを感じていたダンサーにとっては迷惑子の上ない事件で、とても気の毒……。バレエの演目を堪能する映画ではなく、バレエ団の内幕を暴く刺激的なドキュメンタリーと言えるでしょう。

バレエの映画といっても美しいだけではありません。バレエの世界は表向きが究極の美だけに、その裏側の苦労やドロドロの世界は、とてもドラマチックで映画的に見える。だからこそバレエ映画はおもしろい! 芸術ドキュメンタリーが好きな方にオススメです。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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