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2つの国にまたがる人間ドラマ。国境を舞台にした映画5選

2017.12.15(Fri) | 清水久美子

島国・日本で暮らす私たちは、海を渡らないと外国へは行けないので、“国境”というものにあまりなじみがないのですが、陸続きの2つの国の境目で起きる出来事を描いた映画には、ドラマチックな展開が盛り込まれているものが多いなと思います。今回は、そういった作品を見ることで“国境”を意識し、そこで起きる人間ドラマに思いを馳せる映画5本を紹介します。

国境を越えたら銃撃される!『ノー・エスケープ 自由への国境』
ノー・エスケープ
メキシコからアメリカに渡ろうとする人々が、国境で正体不明の襲撃者に襲われるサバイバル・スリラー。

様々な事情を抱え、メキシコからアメリカへの不法入国を試みる一団。荒れ果てた砂漠を歩き、有刺鉄線で区切られた国境をくぐってアメリカに入ったところ、突然どこからか銃弾が襲いかかります。身を隠す場所もない摂氏50度の砂漠で、不法入国者の一人であるモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、息子に会うために命懸けの行動に出るのですが…。

不法移民を監視して銃を向ける、国境付近で暮らすアメリカ人のサムを、人気海外ドラマ「ウォーキング・デッド」でも狂気に満ちた役を演じて話題のジェフリー・ディーン・モーガンが怪演。トランプ米大統領によるアメリカとメキシコの国境に壁を建設するといった発言に驚愕しましたが、不法入国者を殺す使命に駆られるサムというキャラクターがリアルに感じられ、背筋が凍りつきました。最も恐ろしい国境映画です。
国境で出会った言葉の通じない子供同士の交流『ボーダレス ぼくの船の国境線』
ボーダレス
イランとイラクの国境沿いの立入禁止区域で、紛争が起きているさなか、たくましく生きる少年が遭遇した出来事を描くイラン発のヒューマンドラマ。

国境付近の川に放置された船に密かに住みつき、獲った魚や、貝で作ったアクセサリーを売って、一人で暮らしている少年(アリレザ・バレディ)がいました。ある日、国境の反対側から少年と同じくらいの年齢の少年兵(ゼイナブ・ナセルポァ)が船に乗り込んできて、少年の生活を乱します。文句を言っても言葉が通じず、銃を持った少年兵も反論しますが、お互いに何を言っているか分かりません。そんな折、船の外で爆撃音が鳴り響いた後、少年は少年兵が船内で赤ん坊を抱きながら泣いているのを見つけるのですが…。

1980年代のイラン・イラク戦争後も紛争が続く中東で、孤独な子供が直面する厳しい現実を描いている本作。登場人物や彼らの家族に何があったのかといった背景は語られず、少年たちの境遇を想像しつつ、彼らの言葉を越えた交流に心を鷲づかみにされる一作です。
犯罪者の国境越えを阻止しようと立ち上がる老保安官『ラストスタンド』
ラストスタンド
アメリカからメキシコに逃亡を試みる犯罪者を、国境付近の小さな町の保安官たちが必死に食い止めようと奮闘するクライム・アクション。アーノルド・シュワルツェネッガーの、カリフォルニア州知事退任後の主演復帰作。

ある事情から心に傷を抱え、第一線を退いた元ロス市警の敏腕刑事オーウェンズ(シュワルツェネッガー)は、逃走中の麻薬王率いる凶悪集団が、時速400キロ出る最新鋭の車を操り、自分が保安官を務める小さな町を通過してメキシコ国境に向かっているという連絡を受けます。FBIの応援は間に合いそうになく、満足な武器もそろわない中、オーウェンズは素人同然の4人の仲間と“最後の砦(ラストスタンド)”になることを決意します。

体を張って、凶悪犯の国境越えを阻止しようとする老保安官に扮するシュワルツェネッガーが最高にカッコいいです! スピード感あふれる国境映画として楽しめます。
国境の町で巻き起こる麻薬戦争『ボーダーライン』
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アメリカとメキシコの国境付近を拠点とする麻薬組織の撲滅任務を描く、臨場感満点のサスペンス・アクション。『ブレードランナー 2049』『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作です。

巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを撲滅させる極秘任務を行う特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、特別捜査官グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)の指示の下、謎のコロンビア人アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境の町フアレスで麻薬捜査をすることに。危険な町フアレスで、合法的とは思えない手段がまかり通るのを目の当たりにしたケイトは、善悪の境界が分からなくなっていきます。

男ばかりの捜査現場で、常軌を逸した極秘任務に就き、仲間の動きさえ把握できずに葛藤するヒロインに扮するエミリー・ブラントの熱演に引き込まれます。“国境麻薬戦争”をリアルに描いた秀作映画です。
韓国と北朝鮮の国境・板門店で起きた射殺事件の真相は…?『JSA』
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朝鮮半島の南北軍事境界線上にある地区・板門店。その周囲、南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(Joint Security Area=JSA)で起こった射殺事件の真相を描くサスペンス映画。

射殺事件の陳述書には、南北で全く異なる報告が記されていました。両国家の合意のもと、中立国監督委員会が捜査をすることになり、韓国系スイス人である女性将校ソフィー(イ・ヨンエ)が派遣されます。ソフィーは事件の当事者である韓国軍兵士スヒョク(イ・ビョンホン)、朝鮮人民軍兵士ギョンピル(ソン・ガンホ)らに話を聞くうち、徐々に真相に迫っていくのですが…。

韓国の名俳優たちの豪華共演が見どころ。想像もつかない“真実”が明らかにされていく傑作ミステリーに息をのみます。

最近(2017年11月)、板門店で韓国側へ越境・亡命しようとした北朝鮮兵士が銃撃された事件がありました。もともと同じ国だったのに北と南に分けられ、板門店は緊迫した境界区域となってしまいました。そこで起きた出来事を描いた本作は、分断の現実を知ることができる人間ドラマとなっています。

手に汗握る“国境映画”を5本紹介しました。もちろん平和に渡れる国境もたくさんありますが、映画になるようなドラマが生まれるのは危険が伴う国境なんですね。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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