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イタい!ウザい!でも主人公にわりと共感しちゃう映画5選

2017.12.20(Wed) | 足立美由紀

いつも元気で、明るく、朗らかに!そんな “愛され人間”でいたいと常々思ってはいるものの、胸の奥底に棲んでいる“アイツ”が邪魔をする~。そんなメンタル駄々っ子、心に飼っていたりしませんか? 今回紹介するのは、順風満帆な人生からちょっと横道にそれてしまった主人公が登場する5作品。イタくて、ウザい。でも、そういうところ自分にもある……。そんな共感必至の人間ドラマをどうぞ。

脳内彼氏とリアル彼氏の間で揺れながら、前のめりに真実の愛を探す『勝手にふるえてろ』
勝手にふるえてろ_poster
小説「インストール」で鮮烈デビューを飾った、芥川賞作家・綿矢りさのベストセラーを原作とする暴走ラブコメディ。本作は今年、東京国際映画祭コンペティション部門で観客賞を受賞。自分勝手で、臆病で、傷つきやすいヒロイン・ヨシカを見事に演じ、コメディエンヌぶりを発揮した松岡茉優は、同祭で新設された、宝石の原石のような輝きを放つ若手俳優に贈られる “東京ジェムストーン賞”に輝いています。

24歳彼氏ナシのOL・ヨシカは、絶滅した動物をネットで調べたり、アンモナイトの化石を博物館から払い下げてもらったり~と、なかなかの“オタク系ソロ充女子”。そんな彼女は「人生初、告られ」て、会社の同僚“二”と付き合い始めるも、10年間ずっと片思いしている中学の同級生“イチ”のことが忘れられなくて。

中学時代の思い出を“召喚”してみるに、どうやらイチもヨシカのことを憎からず思っているハズ。そう思ったヨシカが、イチの想いを確かめるべく企画した同窓会の奇想天外な連絡方法が笑えます。自己完結していた世界から一歩踏み出し、他人との距離感を学んでちょっぴり大人になったヨシカ。脚本も手掛けた大九明子監督は、そんなヨシカの大人への通過儀礼を、毒気まじえてユーモアたっぷりに描き出します。1人で暴走し、1人で空回りして勝手にふるえているヨシカの、切なくて不器用な姿に思わず落涙……。共感間違いなしの痛快エンターテインメントです。

◆『勝手にふるえてろ
12/23(土・祝)、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会
人生を一回リセットするのも悪くない!?『アズミ・ハルコは行方不明』
アズミ・ハルコは行方不明
2008年に「女による女のためのR-18文学賞」(読者賞)を受賞した作家・山内マリコの小説を、『私たちのハァハァ』の松居大悟監督が映画化。行方不明になった女性の顔を模したグラフィティアートがカルチャーとなって拡散していく狂騒感と、彼女が姿を消した経緯を、時間軸を交差させアップテンポにつづった青春ストーリーです。

会社の上司からのセクハラや低い給料にボヤき、友達以上恋人未満の彼氏とすれ違う27歳独身OLの安曇春子(蒼井優)、なんとなくキャバクラで働く20歳の愛菜(高畑充希)、男性を無差別に襲う女子高生軍団。本作は地方都市に住んでいる三世代の女性たちの姿を主軸に、女性が抱える閉塞感と反逆心を生々しく活写しています。ロックバンド・チャットモンチーによるポップな楽曲と、クリエイター・ひらのりょうの刺激的なアニメーションが、停滞感を打破しようとする女心を援護射撃。人生を1回リセットしたい、そんな気分の時にはこのサスペンスフルなガールズ・ムービーをどうぞ。
SNSの“友達”申請は、本当の友達だけ承認しよう『Facebookで大逆転』
Facebookで大逆転
SNSに依存した生活を送る男性の、身勝手なイタズラの顛末をつづるブラックコメディ。 本作は、日本で劇場公開されていない注目作&新作を集めて特集する「未体験ゾーンの映画たち2015」で上映された作品です。

天職だと思っていた駐車取締官をクビになったマイケルは、Facebookをチェックして親友だと思っていたジョエルの誕生会に呼ばれなかったことを知ります。ダブルでショックを受けたマイケルは、同僚のアカウントを乗っ取って自分が死んだとウソの情報を流すのですが。

SNSにアップするため事件をねつ造したり、くだらない投稿ばかりするため周囲からウザがられているマイケル。Facebookに登録されている417人を“友達”だと言い張ったり、葬式まで企画してジョエルが参加してくれるか試したり……。その行動はかなりイタいけれど、自分の葬式に何人来てくれるか指折り数える気持ちを理解できる人も多いのでは?他人の関心を引きたい~、誰かとつながっていたい。自分勝手な行動の裏に隠されたマイケルの孤独が、チクリと胸に刺さります。

「未体験ゾーンの映画たち」は青山シアターで絶賛配信中!
大人になりきれない女性の愛すべき紆余曲折『フランシス・ハ』
フランシスハ
『イカとクジラ』でアカデミー賞(脚本賞)にノミネートされたノア・バームバック監督が、私生活のパートナーであるグレタ・ガーウィグを共同脚本&主演に、モノクロ映像でつづった紆余曲折の人間ドラマ。バームバック監督はホームグラウンドでもあるニューヨークを舞台に、本作に続いて『マイ・ファニー・レディ』(製作)、『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(監督・製作・脚本)を手がけ、大人になりきれない都会暮らしの男女の姿を浮き彫りにしています。

ニューヨーク・ブルックリン。モダンダンサーの研究生だった27歳のフランシス(ガーウィグ)は、ルームシェアをしていたソフィーから突然同居の解消を言い渡されます。彼氏と別れ、夢も絶たれ、家も失った彼女は、転々と知り合いの家を渡り歩くのですが。

ダンサーから事務員への転向を勧められ、強い絆で結ばれていると思っていた親友は結婚し~と、年相応に落ち着くようプレッシャーをかけてくるかのような周囲に反発するフランシス。お金がないのに思いつきでパリへの週末旅行に出かけ、何もせずに帰って来るシークエンスは、「無計画すぎ!」と思わずツッコミを入れたくなるほどダメダメ感が満載です(でも、余裕ぶりたかった気持ちやその場の勢いは痛いほど分かります……)。そんな満身創痍のどん詰まり状態でも、一生懸命に走り続ける彼女の不器用さがたまらなく愛おしい。フランシスの前向きな迷走を、タイトルの謎も含めて丸ごと楽しんで!
話題作に続々出演中の森川葵が、素直になれないヒロインを体現『おんなのこきらい』
おんなのこきらい
新進気鋭のアーティストと映画監督がコラボした音楽&映画の祭典「MOOSIC LAB 2014 」で準グランプリ/観客賞/最優秀女優賞(森川葵)/男優賞(木口健太)の4冠を獲得したガールズ・ムービー。2017年は花戦さ『恋と嘘』『先生! 、、、好きになってもいいですか?』など話題作に出演し、女優業まっしぐらな森川葵が「可愛くなければ意味がない」と信じる“嫌われOL・キリコ”に扮しています。

「キリコちゃんは合コンに行かなくてもモテるでしょ?」と言う同僚の嫌味に、「そうですね、私、可愛いいんで」とニッコリ笑顔で返すキリコ。弱い自分を隠し、強がる態度や言葉が彼女を孤独に陥らせます(しかし登場する男性たちが、結構よろしくない奴らなんです、半分以上は彼らのせいでもある!)。彼女の発言や行動はかなり極端ですが、ちょっとしたミスコミュニケーションがどんどんと人間関係をこじらせていく焦燥感は想像できますよね。さて、本当の自分を理解してもらうことを諦めてしまったキリコの、ネクストステージはいかに!?

「MOOSIC LAB」は青山シアターで好評配信中!

いかがでした?今回紹介した主人公たちに、自分のカケラ、見いだせましたでしょうか。完璧な人間なんていません。誰しもイタくて、ウザい自分を抱えながら、他者と繋がろうともがいているんです。映画に描かれるのは、そんな手探り状態に陥った私たちの葛藤や言葉にしがたい悲痛な想い。主人公たちと一緒に泣いたり、笑ったりしてスッキリした後は、素敵な年末年始をお迎えくださいね。

Writer | 足立美由紀

フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。

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