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見逃せない!2017年を代表するミニシアター映画の名作たち[前編]

2017.12.22(Fri) | 松村知恵美

暮れも押し詰まってきた今日この頃。
みなさん、2017年にやり残してきたことはないですか? そして見逃した映画はないですか?見逃した映画がある方は、ぜひ冬休みの時間がある時にでも、ゆっくりとおうちで観たいもの。

青山シアターでは、他のVODサイトでは配信していないような、2017年公開のミニシアター映画の名作もずらりと揃っています。今回から2回にわたり、2017年上半期にミニシアターランキングで上位に入った作品を紹介します。年末年始のお休みにでも、ぜひこれらの作品をご堪能ください!

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各作品画像をクリックで、青山シアター作品詳細ページへ進みます。

◆『わたしは、ダニエル・ブレイク』で無慈悲な英国の福祉制作を描き出す、社会派監督ケン・ローチ
わたしは、ダニエル・ブレイク
2016年の第69回カンヌ国際映画祭で、ケン・ローチ監督に二度目の最高賞パルムドールをもたらした本作。妻を亡くし、自分も心臓病で働けなくなった59歳の元大工のダニエル・ブレイクと、身よりも知り合いもいない新しい土地で二人の子どもを育てるシングルマザーのケイティを通し、英国社会の弱者の現実を描いています。彼らは役所で公的な援助を受けようとするものの、窓口で追い返されたり煩雑な手続きに心を折られたり。ダニエル・ブレイクを演じるスキンヘッドのデイヴ・ジョーンズは、いかにもワーキングクラスと思えるイカつい見た目ながら、根の優しさとユーモアを感じさせる素晴らしい演技を見せてくれます。ケイティたちを無私の心で支え、役所の心無い仕打ちに憤る彼の姿に、英国人が持つ芯の強さをうかがい知ることができます。
『ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生』
ヴァーサス・ケンローチ
このケン・ローチ監督にとって、80歳を迎えた2016年は記念すべき年でした。1966年にBBCのテレビドラマ「キャシー・カム・ホーム」でデビューして50周年。さらにこの年に制作した『わたしは、ダニエル・ブレイク』は50作目の監督作。この特別な年に作られたドキュメンタリー映画『ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生』も、現在、青山シアターで配信中です。監督自身や関係者たちにインタビューを重ねた本作では、時にCMの監督を手掛けたり、俳優として作品に出演したり、さまざまな手段で食いつなぎながら自身のポリシーに沿った作品を作り続けてきたケン・ローチのルーツやキャリアをうかがい知ることができます。『麦の穂をゆらす風』に出演しているキリアン・マーフィーもケン・ローチについて語っています。
◆強烈な色彩とストーリーが強い印象を残すニコラス・ウィンディング・レフン監督作『ネオン・デーモン』
ネオン・デーモン
16歳でロサンゼルスにやってきた美少女・ジェシーがモデルの世界に足を踏み入れたことから始まる驚愕の物語を、ニコラス・ウィンディング・レフン監督がコントラストの強い色彩で描いた本作。天然の美しさでモデルとして一気に売れっ子になっていくジェシーと、美しさを求めて整形を繰り返してもどこかパッとしないモデルたち。美という絶対的な価値観に溺れ、それ以外の感覚をなくしていく女たちの物語はなんとも強烈で、強烈だからこそ惹きつけられてしまいます。エル・ファニングの小悪魔のような美しさと、冒頭から見せる耽美で強烈な死のイメージが強く印象に残る一作です。レフンらしい強烈なネオンの色彩と、カンヌのサウンドトラック賞を受賞したクリフ・マルティネスが手がけたEDMに酔いしれてください。
『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』
マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン
このニコラス・ウィンディング・レフン、2011年の映画。ドライヴでブレイクしたデンマーク出身の映画監督です。『ドライヴ』が世界的な成功を収めた後、2013年にオンリー・ゴッドを監督しました。タイで撮影されたフランス・デンマーク合作の『オンリー・ゴッド』、実はかなりの“迷作”として話題になりました。この『オンリー・ゴッド』撮影中のレフン監督の姿が、『マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン』というドキュメンタリー映画になっています。このドキュメンタリーの監督を務めたのは、レフン監督はの妻であるリヴ・コーフィックセン。家族である妻の持つカメラの前で、レフン監督は驚くほどに赤裸々に弱音を吐き、八つ当たりまでしています。天才と呼ばれた男の産みの苦しみを驚くほどストレートに映し出したこのドキュメンタリー、一見の価値のある作品です。
◆若くして才能を花開かせたアンファン・テリブル(恐るべき子ども)グザヴィエ・ドラン監督作『たかが世界の終わり』
たかが世界の終わり
2016年の第69回カンヌ国際映画祭で、ケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』とパルムドールを争い、グランプリを受賞した映画『たかが世界の終わり』(ザヴィエ・ドラン監督)。12年もの長い間、実家を離れていた青年の帰還と、そのことから巻き起こる家族の葛藤を描いています。20代にしてカンヌの常連でもあるドラン監督の第6作目となった本作は、登場人物たちの顔のアップやバックショットなどを多用し、どうしても理解しあえない“家族”の姿を生々しく描き出します。この作品には、ギャスパー・ウリエル、ナタリー・バイ、ヴァンサン・カッセルにマリオン・コティヤール、そしてレア・セドゥなど、フランスを代表する名優たちが顔を揃えています。この豪華キャストの演技の応酬を見られるだけでも、映画ファンにはたまらないはず。
『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』
グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル
2009年に初監督作マイ・マザーが第62回カンヌ国際映画祭・監督週間部門に出品され、華麗なるデビューを飾ったグザヴィエ・ドラン監督。このドラン監督の軌跡を、自身の語りや友人、スタッフ、出演俳優たちのインタビューによって明らかにしたのが、ドキュメンタリー映画『グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル』です。脚本や映像、音楽に至るまで、すべてにこだわるドラン監督の映画への思いが、本人の口から饒舌に語られています。タイトルにある“バウンド・トゥ・インポッシブル”とは、コクトーの言葉で「不可能に挑み続けて」という意味。ドラン監督の体にタトゥーで刻まれているそうです。不可能に挑み続け、映画の可能性を広げ続けているおそるべき才能の片鱗を知ることができる、ファン必見のドキュメンタリーです。

特徴的な作風やスタイルを持ち、こだわりをもって映画を作り続ける、映画界の鬼才たち。観客を選ぶ可能性もある彼らの作品は、やっぱりミニシアターのスクリーンが似合います。作品だけではなく、監督としての生き方も強烈な彼らの人生は、ドキュメンタリー映画で見てもやっぱり面白いものです。この強烈な作品、そして監督としてのあり方を、ぜひじっくり味わってみてください。

見逃せない!2017年を代表するミニシアター映画の名作たち[後編]

Writer | 松村知恵美

家と映画館(試写室)と取材先と酒場を往復する毎日を送る映画ライター、WEBディレクター。2001年から約8年、映画情報サイトの編集者をやってました。2009年に独立し、フリーランスに。ライターとしての仕事の他、Webディレクションなど、もろもろお仕事させていただいています。

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