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やたらめったらなバイオレンスに圧倒される映画5選

2018.01.19(Fri) | 足立美由紀

ラブコメ、コメディ、サスペンス……。普段私たちは映画を通じて、さまざまなジャンルの“別世界”に旅をします。時には凄まじい暴力がはびこる映像世界に囚われ、主人公たちと共にショッキングな出来事を目の当たりにすることも。今回紹介するのは、そんな “やたらめったらなバイオレンスに圧倒される”5作品。我を忘れて観終えた後に、いろいろな思いが一気に押し寄せる快感はクセになっちゃうかも!

米史上最大級と言われる暴動を名匠キャスリン・ビグローが完全再現!『デトロイト』
デトロイト
『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞(監督賞)に輝いたキャスリン・ビグロー監督最新作。1967年にアメリカで勃発した「デトロイト暴動」の際に、若者たちが集うモーテルで起きた戦慄の一夜を活写しています。

事件の発端は、デトロイト市警による低所得者居住区にある酒場への強制捜査。不当な圧力に反発したアフリカ系アメリカ人たちの抗議は、軍も出動するほどの暴動に発展します。そんな中、アルジェ・モーテルから警官らに向けて銃撃音が……。駆けつけた警官や軍人は、宿泊客を壁に一列に並ばせ、取り調べを始めるのですが。

実在の映像を交えながら展開される喧噪渦巻く街の様子は、怒号や破壊音が飛び交う暴動の生々しさをリアルに伝えてきます。人種差別に凝り固まった白人警官による執拗な尋問と挑発行動は、そのあまりの卑劣さに観ていて怒りで息苦しくなるほど。しかし異様な緊張感と濃密な暴力の気配が、極限サスペンスとして強烈な魅力を放っています。

これまで容赦のない描写と大胆な演出で、社会的暴力を浮き彫りにしてきたビグロー監督は、徹底的なリサーチでこの惨劇を40分間にわたりつぶさに活写。監督の最高傑作と呼び声の高いパワフルな感動作をどうぞ。

◆『デトロイト
1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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虐待も厭わないCIA分析官の鬼気迫る執念『ゼロ・ダーク・サーティ』
ゼロ・ダーク・サーティ
続いてこちらもビグロー監督作。徹底的なバイオレンスと、国際テロ組織・アルカイダの指導者捜索&暗殺という衝撃的なテーマで、監督を“社会派アクション”の名匠として強烈に印象付けた作品です。『ハート・ロッカー』と最新作『デトロイト』でタッグを組んでいるマーク・ボールが本作でも製作&脚本を担当。主演を務めたジェシカ・チャステインは、本作でCIA分析官マヤを演じて以降、社会派女優として“強い女”を演じ続けています。

世界に衝撃を与えた2001年9月11日「アメリカ同時多発テロ」から二年後。敏腕分析官マヤ(チャスティン)は、多額の費用を投入しながらも遅々として進まないオサマ・ビンラディン捜索のカンフル剤としてパキスタンのCIA支局に派遣されます。恫喝や水攻め、閉所への閉じ込めなど、捕虜に対する虐待は目を背けたくなるほど悲惨で陰湿……。最初はそれらの行為に眉をひそめていたマヤが、同僚を自爆テロで失い、世界各地で起こるテロに直面したことで、虐待も厭わない強硬派のベテランとして成長していく姿にシビれます。

また映画に登場するビンラディンの隠れ家は、家の作りや床のタイル、家具そしてカーペットに至るまで、映像資料を元に本物そっくりに作り上げたとのこと。細部にわたりリアルを追求したビグロー監督が描く、“衝撃の真実”にご注目ください。
不法移民問題に喝!無慈悲で執拗な暴力が席巻する『ノー・エスケープ-自由への国境-』
ノー・エスケープ
昨年日本公開されたバイオレス映画の中でも、“無慈悲&執拗な暴力”が描かれた傑作だと個人的に思っている作品。メキシコを代表する国際派俳優ガエル・ガルシア・ベルナルを主役に、アルフォンソ・キュアロン監督の息子ホナス・キュアロンが監督・脚本・製作を務めたサバイバル・スリラーです。本作の執筆途中の脚本を読み、そのコンセプトに触発されたパパ・キュアロンが、ホナスに脚本を担当させて『ゼロ・グラビティ』を製作したという、いわばアカデミー賞受賞作の原点ともなった作品なのです。

メキシコからアメリカへ不法入国を試みる主人公セイモス(ベルナル)と15名の移民たちは、国境の砂漠を渡る最中、正体不明の襲撃者に次々と銃殺されていきます。水も武器ももたない彼らを執拗に追いかける謎の襲撃者の正体は? 不法移民問題について考えさせられつつも、身を隠す場所のない気温50度の砂漠が行く手を阻む、息もつかせぬ逃走劇に夢中になるはず!
柳楽優弥の眼力に惹きつけられる過激な青春群像劇『ディストラクション・ベイビーズ』
ディストラクション・ベイビーズ
本能の赴くまま、ストリート・ファイトに明け暮れる青年たちを描いた過激な青春群像劇。柳楽優弥、菅田将暉、小松奈々、村上虹郎ら日本映画界を牽引する若手実力派俳優が出演。本作は『イエローキッド』『NINIFUNI』などを手がけ、その才能が海外でも高く評価されている真利子哲也監督の商業デビュー作です。

愛媛県松山市の小さな港町。弟の将太(村上)と2人きりで暮らす芦原奏良(柳楽)は、突然ふらりと町を出て、市内中心部の繁華街で無差別に喧嘩を吹っかける無頼漢のような存在に。柳楽扮する野獣のような闘争本能むきだしの奏良は、力強い眼光とニヤニヤ笑いで異質感がハンパありません! そんな彼に、高校生・北原(菅田)は惹きつけられ、キャバ嬢・那奈(小松)はひたすらおびえて泣きますが、そのどちらも“圧倒的な暴力”というカリスマに対峙した時の、正しい反応なのかも~と妙に納得。荒ぶる魂を内包した奏良が、破壊神のごとく不可侵な存在になっていく衝撃的な作品です。
バイオレンスに手加減なし。新感覚エンタテインメント『アイアムアヒーロー』
アイアムアヒーロー
漫画・花沢健吾の人気コミックを実写化したサバイバルパニック。妄想癖のあるダメ男・英雄(ひでお)が “ヒーロー”になるまでのストーリーを、『デスノート Light up the NEW world』の佐藤信介監督が、緻密な設計と演出で見事なジャパニーズ・ホラーに仕上げています。

謎のウイルス感染が生んだ生命体「ZQN(ゾキュン)」によって、壊滅状態になった日本。パっとしない漫画家アシスタントだった鈴木英雄(大泉洋)と半ZQNの女子高生・比呂美(有村架純)は、危機一髪のところを元看護婦・藪(長澤まさみ)が所属するコミュニティーに助けられます。普通の日常が恐怖の世界へと激変していく中で、次第に人間性を剥ぎ取られていくヒリヒリとした焦燥感がたまりません。世界三大ファンタスティック映画祭を制覇した、いまだかつてない新感覚エンタテインメントをぜひ。

世界的ソフトウェア会社オラクルの創業者ラリー・エリソンの娘ミーガンが、25歳の誕生日プレゼントでもらった20億ドルを元手に設立したという製作プロダクション「アンナプルナ・ピクチャーズ」。“洗練された上質コンテンツを製作する”というコンセプトの通り、今回紹介したゼロ・ダーク・サーティほかザ・マスター、『アメリカン・ハッスル』、20センチュリー・ウーマンなど素晴らしい作品を手がけています。なんとこの5年間で、アカデミー賞ノミネートは32部門! 初めての自社配給作品となった『デトロイト』も期待を裏切らない珠玉作ですのでぜひ映画館へ。

Writer | 足立美由紀

フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。

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