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オンラインで楽しむフランス映画祭「第8回myFFF」全世界同時開催中!【短編無料】

2018.01.26(Fri) | 春錵かつら

フランス映画の振興を担うユニフランス主催、全世界同時開催のオンライン映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(myFFF)」が今年も開幕。日本未公開の映画たちをいち早く楽しむことができます。
第8回となる今回は、コンペティション部門の短編10本と長編10本の計20作品に加え、カナダ、スイスからの招待作品を配信。配信作にはギョーム・カネが監督・主演を務め、妻のマリオン・コティヤールらが出演した『ロックンロール』、フランソワ・オゾン監督による短編『サマー・ドレス』などがラインナップ。個性溢れる作品が集まったせっかくの機会なので、日本で既に著名となった監督の作品ではなく、日本ではまだそれほど著名ではない新しい才能を知っていただくべく、短編2本、長編3本をピックアップしてご紹介します。

第8回「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」
全世界同時開催中!<期間:1/19~2/19>

☆短編:11作品 期間限定【無料】
☆長編:12作品セットがお得!

死神坊やの将来の夢は……? 『死と父と息子』La Mort, Père & Fils 【短編】
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本作は死神の親子の日常を描いたダークファンタジーです。死神の父親が仕事に出かける間、心優しい息子は守護天使になりたくて父親からこっぴどく叱られる始末。こっそり人間界を訪れて天使のように善意の行いをするも、人間界をさらに混乱させる事態に……。
共同監督を務めたヴィンシュルスは、フランス語圏のマンガ“バンド・デシネ”の作家であり、フランスで大ヒットを記録したアニメ映画『ペルセポリス』で監督も務めた人物。一方ドゥニ・ヴァルゲンヴィッツは、同作で助監督を務めた人物。
全編パペット・アニメーションで描かれた本作。人間を殺しに行くのではなく、死んだ人の魂が抜け出ていくのをチェックするという仕事もなんだか人がよさげ。死神の息子の無邪気さや愛らしさにもほっこりするシュールな一作です。
パーフェクト・ワールドで秩序を乱す、黒いアイツ 『ストローク』La Caressecc 【短編】
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女優であるモルガン・ポランスキーが監督を務めたサイレント・コメディーで、本作が短編2作目になります。父親はあの『戦場のピアニスト(2002)』などで知られる映画監督ロマン・ポランスキー、母親は『赤い航路(1992)』などの女優のエマニュエル・セニエ。
強迫性障害を抱える青年の整然とした規則正しい生活は、朝起きた瞬間から既に始まっています。彼の職業は時計技師。自分が降りてきたロフトの階段の手すりを入念に拭き、手袋で朝食を美しく並べ、シャワー後も指の間まで一本一本きちんと拭きます。彼の秩序を唯一乱す存在……それは彼の家にときどきやってくる金色の瞳の黒猫です。追い払ってもいつの間にか家の前にちょこんと座っている小さな厄介者。
「猫は最高」というたった一言を、洗練された色彩で、時にスリリングに時にハートフルに伝えてくれる9分。
“自立”って、なんて難しく、なんて孤独だ 『ウィリー ナンバー1』Willy 1er 【長編】
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適応障害のある50歳のウィリー。双子の弟ミシェルの死をきっかけに、年老いた両親に施設に入れられそうになったウィリーは、ミシェルと叶えるはずだった夢を一人で叶えるために自立しようと家を出ます。その夢は「コドゥベックに行く。家を持つ。スクーターも買って、友だちも作る。」。
本作は初めて家を出たウィリーが知らない世界で自分の居場所を見つけようと奮闘する様子を描いたヒューマンドラマ。監督を務めたのはリュドヴィック・ブケルマ、ゾラン・ブケルマ、マリエル・ゴティエール、ユーゴ・P・トマの4人。共にいくつかの短編を製作し、本作が初の長編作品となりました。中でもリュドヴィック・ブケルマ、ゾラン・ブケルマは双子の兄弟で、本作の設定に大きく影響しているだろうということが窺えます。
自殺や障害、弱者への嘲笑やいじめ、そして孤独……ともすれば暗く重くなりがちな物語ですがユーモアを織り交ぜ、より多くの観客に受け入れやすく昇華させる監督の手腕が素晴らしく、第69回カンヌ国際映画祭のACID部門で上映されました。
ACID部門とはカンヌ映画祭でここ数年めきめきと存在感を増している、インディペンデント映画普及協会(Association du Cinema Independent pour sa Diffusion)が設置した映画業界では注目の部門です。
主演のダニエル・ヴァネは、実際に適応障害を持っており、演技経験はゼロ。主人公のウィリー、そして双子の弟ミシェルをとても味わい深く演じています。ささやかな暮らしの中、ウィリーがつまづき、立ち止まり、引き返し、たどたどしくも乗り越えた後で手に入れるほのかな友情も良い。作品を見終えた後に思います。自由とは、寂しく、そして尊い。
悪魔はいるのか、いないのか 『森の奥深くで』Dans la Forêt 【長編】
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両親が離婚している幼い兄弟ベンとトムは、1年ぶりに父に会うために二人だけでスウェーデンに向かう。幼いトムは理由は分からないけれど“よくないことがある予感”を抱えています。二人は父親の家で数日を過ごすのですが、その間もトムは不気味なものを目にします。一方、ベンは父親を「パパのふりをした別の誰かだ」と言い、トムを怖がらせます。ですがその言葉は物語が進むにつれ、信憑性を帯びてくるのです。突如、父親は二人を森の奥深くへキャンプに連れて行きますが、どんどん偏執的な面を見せるように。父ではない別の誰かだという疑いを強くしていく兄弟。父親はなぜ、二人を森に連れて行くのか。彼は一体どうするつもりなのか。なぜ徐々に焦燥を見せるのか。謎は深まるばかりです。
監督を務めたのはジル・マルシャン。『ボン・ヴォヤージュ(2003)』『レミング(2005)』といった脚本および、『サイレント・ホスピタル(2003)』『誘惑/セダクション(2009)』などの監督を務めています。
兄弟は時として一台しかないスマホを取りあったり、幼い弟に兄がぶっきらぼうな様子が“普通の男兄弟”という感じで、すごく自然で良いのですが、物語の序盤、トムがベンに「もし悪魔がいたら怖い?」と訊ねるシーンがあります。お兄ちゃんなのに強がったりせず、「そりゃそうさ」と答えるその台詞一言に、兄としての性格の良さが表われているような気がしました。
一見、ただのホラーサスペンスとも映る本作ですが、これは“暗示”の物語。思春期でリアリストの兄ベンの存在があることで、それとは対照的な共感能力の高い寡黙な弟トムの存在がより際立ち、ポエティックなオカルト・ファンタジーの様相を見せるのです。
それは復讐の数字、『1:54』01 :54 【長編】
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本作はSNSが悲劇を助長させる人間ドラマ。父子家庭を送る16歳のティムは、恋愛関係でもある親友フランシスと科学実験に没頭する日々を送っています。二人は学校であるグループから度々嫌がらせを受けていましたが、特にフランシスは執拗ないじめを受け、自分がゲイであることをカミングアウト。いじめられたくないティムはフランシスを裏切ってしまい、いじめがさらに加速したフランシスは自ら命を絶ってしまいます。
ティムは悲しみの内に、いじめのリーダーであるジェフが目指す陸上競技大会で、彼に打ち勝つ決意を固めます。
LGBTをテーマにした作品の中でも本作は、偏見や差別、いじめだけではなく、SNSの脅威やスポコン、親子のドラマや異性との恋愛、クライムドラマ的要素なども取り入れ、非常に複雑なドラマに仕上がっています。
主人公ティムを演じたのは『Mommy/マミー(2014)』でも主演を務めたアントワーヌ・オリヴィエ・パイロン。人生の苦難を短い期間に一手に背負ってしまう主人公を熱演しています。
大切な人の復讐は、手段を選ばず卑怯な手を使うという選択肢もあったのに、彼が選んだのは、あまりにも“真っ当”すぎる手段でした。そこにこそ彼の生来の人間性が表われているのですが、彼を取り巻くあらゆるものがあまりにも無力で、彼を思う私たちは、うちのめされるのです。

ピックアップした5作品に、みなさんの気になる作品はあったでしょうか。
青山シアターでは1月19日(金)~2月19日(月)までの「myFFF」開催中、この5作品を含む全23作品を配信。フランス映画の多様性をいち早く体験するこの機会、ぜひあなたが愛する一作を見つけてみてください。

第8回「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」
全世界同時開催中!<期間:1/19~2/19>
☆長編:12作品セットがお得!
☆短編:11作品 期間限定【無料】
 ●第1弾:1月19日(金)~1月29日(月)
  『死と父と息子』『サマー・ドレス』『ラザール』
 ●第2弾:1月26日(金)~2月5日(月)
  『ノー・ドロウニング』『サマーフィルム』『美味しい美女』
 ●第3弾:2月2日(金)~2月12日(月)
  『ストローク』『脚本家』
 ●第4弾:2月9日(金)~2月19日(月)
  『シャス・ロワイヤル』『皇帝よ、永遠なれ』『永遠に愛して』

Writer | 春錵かつら

映画を主軸にムックや月刊誌、WEBで活動中のフリーライター。 CMのデータ会社にて年間15,000本を超えるCMの編集業務に携わる傍ら、映画のTVCMのコラムを某有名メールマガジンにて連載。 フリーに転身後、大手コンピュータ会社の映画コンテンツのディレクターを務める。料理本、漫画/映画解説本、ペット関連、ビジネス本など、 幅広いジャンルで執筆中。著書に「絶対に見逃すな! 犬の症状これだけは!」など。

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