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役者・池松壮亮の魅力に溺れる!『夜空はいつでも最高密度の青空だ』&4選

2018.01.31(Wed) | 斎藤香

映画界で若手実力派として必ず名前があがる池松壮亮。10才のときに舞台「ライオンキング」でデビューし、ハリウッド映画『ラストサムライ』でトム・クルーズと共演するなど、子役時代から実力派でした。大学卒業後、本格的に役者業に邁進。ドラマ、映画と多くの作品で活躍しています。そんな池松壮亮の出演作の中から5本をピックアップ!いろんな池松壮亮が見られる映画を集めて見ました。

最果タヒの世界の住人になりきった池松壮亮を堪能『映画 夜空はいつでも最高密度の青空だ』
夜空はいつでも最高密度の青色だ
最果タヒの現代詩を『舟を編む』の石井裕也監督が映画化。自分をリアルに見せない、盛って見せることに必死の現代の若者と逆行するように生きる若者たちを切り取った青春映画です。

昼間は看護婦、夜はガールズバーで働く美香(石橋静河)と日雇いで働く青年の慎二(池松壮亮)が出会います。その後、偶然再会した二人。美香は彼に「東京には1,000万人も人がいるのに、どうでもいい奇跡だね」と語りかけます。以来、希望もなく日々をやり過ごしているかに見える二人に少しだけ心に変化が訪れるのですが。

現代詩の映画化という難題にチャレンジした石井裕也監督が、彼のフィルターを通して最果タヒの世界を描いています。これは一種のコラボと言えるのでしょう。この映画でスクリーンデビューした石橋静河の世の中をナナメに見ている視線、やるせない日常に必死に光を灯そうとしている慎二の先輩の智也(松田龍平)、今いる世界を受け入れて生きる慎二……。彼らを演じる役者の生々しさが印象深い。池松くんの静かで熱い芝居を堪能してください。
池松壮亮×菅田将暉という夢のような共演が見られる青春映画!『セトウツミ』
セトウツミ
関西の男子高校生ふたりが、川べりの公園でおしゃべりするだけの物語。此元和津也原作漫画の映画化で、池松壮亮は、クールな優等生風のメガネ男子を演じています。

高校2年生の内海(池松壮亮)と瀬戸(菅田将暉)は、毎日、放課後に川べりの公園でおしゃべりをしています。話題はなりゆきまかせですが、二人が話し出すとまるで漫才! マクドナルドのポテトの長さの話だけで間が持つのだから「あ・うん」の呼吸は凄いです。その二人の視界に入ってくるのが、女子の樫村(中条あやみ)。二人の会話はときどき樫村をはさみつつも、先輩、家族、猫、将来のことまで果てしなく広がっていき、映画には映らない家族関係や学校での様子が見えて来るのです。

関西出身の菅田将暉はともかく、福岡出身の池松くんも関西弁を駆使して地元の男子高校生感を出しています。いかにも塾とか行ってそう。何が起こるわけではないのに永遠に見ていたくなる青春映画の快作です。
乱交パーティでの人間関係の滑稽さを描いた怪作『愛の渦』
愛の渦
三浦大輔監督が自身の戯曲を映画化。マンションの一室で繰り広げられる乱交パーティに集まる男女の人間模様を描いた作品で、池松壮亮は無口な青年のニートを演じています。

乱交パーティが開催されるあるマンションの一室に次々と男女が集まって来ます。ニート(池松壮亮)、女子大生(門脇麦)、フリーター(新井浩文)サラリーマン(滝藤賢一)などが裸にバスタオルを巻いて、次々と部屋へ。おそるおそる声をかけて挨拶をし、打ち解けたところでセックスへとなだれ込みます。そして終わると次の人に声をかけて……と繰り返していくのですが、そのうちに相手の取りあいや言い争いになっていくのです。

どんな激しい性の世界が……と思ったら、完全なる人間ドラマ。確かにセックスシーンはありますが、これがとても滑稽なのですよ。エロを見るというより、こういう場に集まった人たちがどんな会話をし、相手を決めていくのか。会話と行動に興味が集中します。池松くんは無口なニート。孤独で味気ない毎日を、乱交パーティで出会った女子大生が変えてくれるかもしれないとちょっと期待しますが……。最後は痛烈! 見応えあります。
愛嬌ある次男坊を演じる池松壮亮がとても可愛い『ぼくたちの家族』
ぼくたちの家族
早見和真の同名小説を石井裕也監督が映画化。余命を伝えられた母と父と息子二人が。明らかになる家族の真実を乗り越えて絆を結んでいく姿を描いたホームドラマ。池松壮亮は次男の俊平を好演しています。

脳腫瘍で余命1週間と言われた玲子(原田美枝子)。夫(長塚京三)と長男の浩介(妻夫木聡)は沈んでしまいますが、次男の俊平(池松壮亮)は冷静でノホホン。でも彼なりのやり方で母の為に行動をおこしていくのです。しかし、父の事業が傾いていること、母に借金があることが明らかになり、夫と息子たちは頭を悩ませます。玲子の死と家族のピンチを彼らは乗り越えることができるのでしょうか。

生真面目でメンタルが弱そうな長男に比べて、要領がよく愛されボーイの俊平は、玲子の死の宣告にどんよりする父と兄をなんとか立ち上がらせようと陽気に振舞います。彼なりの方法で母を喜ばせようとする姿がかわいい。愛嬌たっぷりの青年ぶりは『夜空はいつでも最高密度の青空だ』とは対極にある池松くんのほんわか明るい魅力を堪能できます。
宮沢りえが演じるヒロインを翻弄する大学生を熱演『紙の月』
紙の月
角田光代の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化。池松壮亮は、ヒロインを翻弄する大学生役です。

銀行の契約社員として働く梨花(宮沢りえ)は、銀行の営業として、取引相手である裕福な平林老人の家でセクハラを受けそうになります。それを助けたのが孫の光太(池松壮亮)。その後、梨花はちょっとした出来心で取引相手から預かったお金を着服します。夫との気持ちのすれ違いによる孤独が手伝って、再会した光太と不倫関係になり、彼との逢瀬に大金を投入。彼女の着服は癖になり金額が倍増していくのです。

お金で幸せを手に入れようと必死の梨花。罪悪感がゼロの彼女の本質が空恐ろしい。そして、その怖さを知ったからこそ、貢がれた光太は彼女に冷たくなり邪険に扱うようになるのです。最初は好青年だった光太が、梨花との関係が深くなるにつれて暗く変わっていくのは、若さと怖さゆえでしょう。グラデーションのように役に変化を与えていく池松くんの演技力が堪能できる作品です。

どれもこれも見応えたっぷりの傑作ばかり。池松壮亮を知りたい人はもちろん、大ファンという人は、ぜひもう一度見て、彼の魅力を再認識してください。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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