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日本映画界、最高の演技派のひとり、満島ひかりの演技に震える厳選5作品

2018.02.14(Wed) | 斎藤香

若手女優の中でもトップクラスの演技派として映画人人気の高い満島ひかりさん。今回は彼女の様々な表情が楽しめる作品をピックアップ。凄味ある演技を見てください。

園子温監督作での名演でブレイク!『愛のむきだし』
愛のむきだし
満島ひかりの存在を世に知らしめた映画として有名な園子温監督の『愛のむきだし』。この映画で彼女が演じるのは、父親から虐待を受けて育ったヨーコ役です。

神父の父(渡部篤郎)と二人暮らしのユウ(西島秀俊)のもとに、父目当てのカオリ(渡辺真紀子)という女が転がり込んできます。彼女には別れた男の連れ子のヨーコ(満島ひかり)がいました。ユウはヨーコに一目惚れ。しかし、ユウのことを新興宗教信者のコイケ(安藤サクラ)が狙っていたのです。

登場人物たちが愛や性をむきだしにしていくすさまじい描写の中、ヨーコは本音で生きるカオリには心を許し、愛をぶつけてくるユウにも心惹かれていきます。しかし、その気持ちをコイケにぶち壊されてしまうのです。コイケから逃れ、狂ったユウを正気に戻そうと躍起になるヨーコの姿が壮絶!ここまで振り切った演技を見せたら、もう怖い物ないだろうとさえ思える、満島ひかりの代表作と言えるでしょう。
性悪女子大生演技が、上手すぎてムカつく『悪人』
悪人
吉田修一の同名小説の映画化。満島さんは前半で被害者となる女子大生を演じていますが、これがもう身勝手な女で。満島マジックにより、原作以上の嫌な女に見えるのです。

学歴もなく友人もいない非社交的な祐一(妻夫木聡)は出会い系で知り合った女子大生の佳乃(満島ひかり)と待ち合わせ。しかし、彼女は憧れの圭吾(岡田将生)を見かけると、祐一を無視して彼の車に乗ってしまいます。怒った祐一は圭吾の車を追跡しますが、佳乃は突然、車から投げ出されてしまうのです。

友人と食事をする登場シーンから自慢話ばかりで感じが悪く、約束を破って好きな男の車に乗ったあげく、しつこくして嫌われてしまう佳乃。自分の行いが悪いのに、助けようとする祐一にやつあたりという、どこまでも最悪な女を演じる満島さん。上手いから本当に腹立たしいのです。出演シーンは長くありませんが、強烈な印象を残す名演を見せています。
奄美で純愛を貫く先生を熱演『海辺の生と死』
海辺の生と死
作家・島尾敏雄と島尾ミホをモデルに、男女の出会いを描いた愛の物語。舞台となる奄美群島・加計呂麻島がとても美しい作品です。

奄美のカゲロウ島(加計呂麻島)で国民学校教員として働くトエ(満島ひかり)は、海軍特攻隊の朔中尉(永山絢斗)と出会います。軍歌よりも島唄を好む中尉にトエは惹かれていき、中尉もトエに好意を抱きます。しかし、特攻隊が出撃する日が決まるのです。

戦争を背景に二人の純愛がゆっくりと実っていく姿を描いています。スロウな島の生活と同じスピードだからこそ、ジンジン胸に染み渡るのです。トエ先生は子供と同じくらいピュアで朔中尉に見せる表情がとても可愛い。『愛のむきだし』もある意味ピュアな女でしたが、見せ方が彼女とは対極にあり、そのふり幅の広さに驚かされ、女優・満島ひかりの底力を感じる作品になっています。
衝撃にラストに繋がる語りの名演技を見せる『愚行録』
愚行録
貫井徳郎の同名小説の映画化で、満島ひかりが演じるのは育児放棄の疑いで逮捕された女性、光子。彼女の心を壊してしまったのは何なのかを追求したミステリー映画です。

週刊誌の記者である田中(妻夫木聡)は、エリート夫婦殺人事件の真相を取材しようと動き出します。しかし、意外にも被害者一家のいびつな裏の顔が明らかに。一方、田中は妹の光子の身も案じていました。なぜなら光子は育児放棄で逮捕されていたからです。

エリート夫婦殺人と光子の育児放棄。まったく別だと思っていたエピソードが意外な繫がりを見せていくのです。光子の過去と現在を演じた満島ひかりは、一生懸命生きてきた女性が、様々な出来事で傷つけられて転落していく様を見せてくれます。しかしラスト、可哀想と思ったあとにゾっとする事実が明らかに。覚悟して見てください。
情の深さとプライドに泣かされる『駆込み女と駆出し男』
駆込み女と駆出し男
江戸時代後期を舞台に、夫との離縁を決意して駆け込み寺にやってくる女性たちと彼女たちに関わる人物を描いた時代劇。満島さんは駆け込み女の一人、お吟を演じています。

まだ女性から離縁を切りだせない時代に、離縁を求める女性たちの駆け込み寺になっていた東慶寺。しかし、寺に入る前に御用宿で身元調査があるのです。居候の信次郎(大泉洋)は、三代目柏屋源兵衛(樹木希林)の助手として、駆け込んで来たじょご(戸田恵理香)とお吟(満島ひかり)の身元調査を始めるのですが。

逃げてきた女たちと追いかけてきた男たちとの追跡のスリルに加え、源兵衛と信次郎の軽妙なトークが楽しいエンタメ時代劇。その中でドラマチックな展開を見せるのがお吟のエピソード。映画の序盤、問屋を切り盛りする女将姿は貫禄あってかっこいいのですが、そんな彼女が離縁を決意した理由が泣かせる……。前半から後半にかけてのお吟の変化は見事です。

5作品すべて見応えがあり、甲乙つけがたい! それもすべて満島ひかりが出演することで作品クォリティを上げているのではないかと思います。ぜひ5作品制覇して女優・満島ひかりを堪能してください。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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