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真実はどこにある? 大いなる秘密を暴く者たちの映画5選

2018.02.16(Fri) | 足立美由紀

これまで『シンドラーのリスト』をはじめとする、崇高な志と不屈の魂を持ったリーダー役を演じることが多かった実力派俳優リーアム・ニーソン。しかし『96時間』でアクション俳優として新境地をひらいた彼は、65歳になった今でも体をはったスタントで私たちを魅了してくれます。そこで今回は、これから公開されるFBI副長官役のザ・シークレットマン、サスペンスアクショントレイン・ミッションの2作品で、奇しくも “真実を明らかにする男”を熱演したニーソンにちなみ、大いなる秘密を暴く者たちの映画を5作品紹介します。

アメリカ史上最大の政治スキャンダルを暴く『ザ・シークレットマン』
ザ・シークレットマンposter
リチャード・ニクソン大統領が退任に追い込まれた、アメリカ史上最大の政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」。タイム誌やワシントンポスト紙に機密情報をリークし続けた内部告発者“ディープ・スロート”の正体は、30年もの間謎とされてきました。しかし2005年に、かつてFBI副長官だったマーク・フェルトがその人物であったことを告白。本作はマークの著書をベースに、徹底なリサーチで再現された衝撃の実話です。

そもそものきっかけは、ウォーターゲート・ホテルに本部を構える民主党に、盗聴器をしかけようとした賊が逮捕された事件でした。アメリカ警察組織の頂点に立つFBIで副長官を務めるマーク・フェルト(リーアム・ニーソン)は、度重なる捜査妨害を受けたことからニクソン政権の関与を確信します。その隠蔽工作に加担することを強要されたマークの、深い葛藤と苦悩をニーソンが渋く熱演。国家の最高権力機関が行った不法行為や政治腐敗を見過ごすことなく、キャリアも人生も犠牲にして正義を貫いた姿には胸が熱くなります。

また監督のピーター・ランデズマンは、揺るぎない信念を持つマークが生きた1970年代を活写するために、映像に硬質な色調処理を施し格調高く表現。絵画のような青みがかった美しい映像が、憂いを帯びたマークの横顔をより一層気高く映し出します。

◆『ザ・シークレットマン
2月24日(土)より新宿バルト9ほか全国公開
©2017 Felt Film Holdings.LLC
配給:クロックワークス
福山雅治×二階堂ふみが写真週刊誌でスキャンダルを暴く!『SCOOP!』
SCOOP!
福山雅治が芸能スキャンダルを追うパパラッチ、二階堂ふみが写真週刊誌の新人記者に扮した刺激的ドラマ。1985年に製作された原田眞人監督・脚本『盗写 1/250秒』を、『モテキ』の大根仁監督がスキャンダラスでスリリングな現代劇に。本作で覚せい剤中毒の情報屋役を怪演したリリー・フランキーは、日本アカデミー賞(優秀助演男優賞)、ブルーリボン賞(助演男優賞)を受賞しています。

写真週刊誌「SCOOP!」に配属された新人記者・行川野火(二階堂)は、かつてスクープを連発していたという伝説的カメラマン・都城静(福山)とコンビを組むことに。最初は酒と女にだらしがない中年パパラッチである静に反発するも、数々の独占スクープをものにする手腕に脱帽。いまいち乗り気でなかった報道~そして静への認識も変わってきて……。

芸能人や国会議員の密会現場を撮影するための秘策や熱意には、あ然とするやら、感心するやら……。近年、現実世界でも過熱ぎみのスキャンダル報道の裏側に隠れた、記者魂の一端を垣間見せられた気がします。大根監督はそんな現代の芸能事情を投影しつつも、原作への目配せをふんだんに盛り込んで、秘密を暴く記者たちの“業”と“愛”を疾走感たっぷりに描いています。
認知症の老人による復讐の旅が暴き出す、驚愕の結末は?『手紙は憶えている』
手紙は覚えている
『クロエ』のアトム・エゴヤン監督による復讐のドラマ。最愛の妻ルースの死後、90歳のゼヴ(クリスファー・プラマー)は、家族を殺したナチスのドイツ兵を探す旅に出ます。情報提供者は、ホロコースト(絶滅政策)の拠点となったアウシュヴィッツ強制収容所で共に生き延びた友人マックス(マーティン・ランドー)。認知症を抱えたゼヴのためマックスがしたためた手紙に導かれ、ユダヤ人の名を語りアメリカに潜伏する容疑者たちを探す心理サスペンスには、知らず知らずのうちに引き込まれてしまうはず。

目が覚めると何もかも忘れてしまうゼヴ。その度にルースを探し、手紙を読んで使命を心に刻みつけます。しかしパスポートの更新を忘れていたり、ホテルのフロントから部屋までの道順が覚えられなかったりと、かなり危なっかしい! その反面、意識がはっきりしている時は、機転を利かせて危機を回避したり、ピアノを披露したり~と、なかなかダンディなおじいちゃまなんです。ゼヴを演じたクリスファー・プラマーが、この意識が揺らぐ認知症高齢者を完璧に体現。彼の復讐の旅があぶり出す悲痛な真実が、あまりにショッキングで……。
世界的企業のコンプライアンス欠如をセールスマンが告発『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』
汚れたミルク
1990年代にパキスタンで実際に起きた事件をテーマに、『ノーマンズ・ランド』のダニス・タノビッチ監督がつむいだ社会派ドラマ。主人公のアヤン(イムラン・ハシュミ)は、世界的企業の販売員として働いていますが、自分が病院に納品していた乳児用粉ミルクが貧困層の子供たちに深刻な被害を与えていることを知り驚愕します。不衛生な水を使用したミルクを飲むことで下痢を引き起こし、栄養失調で多くの命が奪われていたのです。

医師に多額の金品をバラ巻いて患者に粉ミルクを使わせるようゴリ押ししたり、発展途上国での使用を指導する立場にありながら企業責任を全うしようとしなかったり~と、いろいろとコンプライアンスに問題がありそうな会社に勤めていたアヤン。しかし命の危険すら感じさせるパワーを持った巨大企業を相手に、勝ち目のない戦いをしかける主人公の無謀さにはハラハラさせられっぱなしなんです!

本作は一介のセールスマンだったアヤンの告発の行く末をつづるドラマであるとともに、この巨大企業の名前をさりげなく登場させるなど“狙った”演出で、映画そのものが告発ムービーとなっている点でも高く評価された作品です。
検事長フリッツ・バウアーがナチス戦犯の居所を暴く!『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』
アイヒマンを追え
ドイツ・アカデミー賞で、6冠に輝いたサスペンスドラマ。ナチスドイツで600万人ものユダヤ人を強制収容所に送ったとされる最重要戦犯アドルフ・アイヒマン。海外に潜伏していたアイヒマンは、イスラエルの諜報特務庁モサドにより拘束され、エルサレムの法廷で裁かれます。本作はこの歴史的大作戦を裏で導いた、ドイツの州検事長フリッツ・バウアーに光をあてた実録ドラマです。

ナチス戦犯を裁くため心血をそそぐバウアー(ブルクハルト・クラウスナー)は、アイヒマンがアルゼンチンにいるという目撃情報を手に入れるものの、仲間うちであるはずの連邦情報局や検察庁内部に潜むナチス残党の妨害を懸念して、モサドに情報を提供します。国家反逆罪を覚悟でアイヒマンを捕らえようとするバウアーと、それを阻止するため監視を続けるナチス残党たち。ユダヤ人である彼が、復讐ではなく正義のために戦う不屈の執念に圧倒されます。政治色の強いお堅い作品かと思いきや、バウアーと腹心の部下との関係や、バウアー自身が抱える大いなる秘密の行方にも夢中にさせられるはず!

秘密を暴く者たちの映画、いかがだったでしょうか。秘密とサスペンスはとても相性がいいですよね。
3月30日(金)から公開されるトレイン・ミッションは、ニーソンがフライト・ゲームほか3作でタッグを組んだジャウム・コレット=セラ監督によるサスペンスアクションです。
走行中の電車内を舞台に謎と罠がリアルタイムに進行する本作で、ニーソンは100人の乗客からたった一人を探し出すという高額の依頼を受けるリストラ男を演じています。次第に明らかになる真実への謎解きも見ごたえ十分ですが、ガラスをぶち破るわ、手すりバーで頭を強打するわ~の、身体を張ったニーソンのアクションも必見です!

Writer | 足立美由紀

フリーライター&エディター。某インターネットプロバイダで映画情報サイトを立ち上げた後、フリーランスへ。現在は各種情報誌&劇場用映画情報誌などの紙媒体、ネット情報サービスほかにて映画レビューや俳優・監督のインタビュー記事を執筆。時には映画パンフレットのお手伝いも!試写室と自宅を往復する毎日です。

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