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子役という扱われ方やったけど、大きくなっても頑張ってますから!

2018.02.23(Fri) | 仲谷暢之

子役は大成しないと言われたのは、もしかしたらもう遠い昔かもしれません。
ヒットした映画で注目され、一斉風靡した子役たち、大きくなった今も頑張ってはります。というわけであの可愛らしかった子が、こんな大きならはってこんなんに出てますねんという作品をご紹介。

◆ハーレイ・ジョエル・オスメント 現在29歳/『SEXエド チェリー先生の白熱性教育』
SEXエド
「フォレスト・ガンプ/一期一会」でトムハンクス演じるガンプの息子でデビューし、M・ナイト・シャマラン監督の大ヒット作「シックス・センス」で、主役のブルース・ウィリスに絡む第六感のある少年を演じ、「僕には死んだ人が見えるんだ」の名セリフで一躍天才子役と注目されたハーレイ・ジョエル・オスメント。以後、隠れた名作「ペイ・フォワード/可能の王国」では世界を変えるために善意を人に回すというアイディアを普及させようとする少年。そして元々はスタンリー・キューブリックが作ろうとしていたものの、本人が亡くなったためにスティーブン・スピルバーグ監督が遺志を継いで監督した「A.I.」では、少年型ロボット役で観客を泣かし倒した彼ももう30歳前ですよ。年齢を重ねるにつれ、姿を見る機会が少なくなったオスメントくんが久々に主演したのが「SEXエド チェリー先生の白熱性教育」。

そのぽっちゃり大きくなったお姿はちょっと世間をざわつかせました。確かにオスメントくんなのに何か成長の仕方が違う・・・。でも真ん中に寄った顔つきは正真正銘オスメントくんです。しかし役柄は裏切りませんでした。童貞やのに“性教育”を教えることになった新米先生!なんちゅう役でしょ。とはいえ、もし遊び人を演じてたら、さらにざわついていただろうこと思うと、いい役を掴んだなとセルフプロデュース力に感心します。

オスメントくんが中学生に性教育を施すも教えたことのない分野ゆえ、ついつい行きすぎた指導に熱が入ってしまい、ある親からクレームが来て授業存続の危機に、さらには生徒のお姉ちゃんに恋心を抱くもそれは予期せぬ方向に・・・。いわゆる艶笑学園コメディなんですが、オスメントくんのぽっちゃり童顔、タレ眉が困れば困るほど、見てる自分はついS心に火がついてしまう感じに。これからはぜひ、Mっ気のあるぽっちゃりくんというジャンルでずっといかないかなと思った次第。
ちなみにオープニングタイトルが秀逸です!
◆ダニエル・ラドクリフ 現在28歳/『キル・ユア・ダーリン』
キル・ユア・ダーリン
大阪に住んでると、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」エリアのポスターが毎日のように目に入りまして、あ、今日もダニエル・ラドクリフ、ハリーになっとるな。と確認するのが日課みたいになってます。そう大阪では今だにラドクリフはメガネの魔法使いの子として認識されてます。が、そんな彼ももう28歳なんですね。すっかり大人です。しかも20代でニューヨークなどに不動産を所有し、ミリオネアとしても存在感を発揮しています。一時期、成功した子役あるあるであるアルコールにもどっぷり依存したりしましたが、なんとかそれまでのイメージを脱却しようと、「エクウス」という舞台では全裸を披露してみたり(結局、股間のポッターくんと毛深いなぁという評価に集中)、全く違うジャンルの映画に挑戦して大人役者への階段を昇っており、何をトチ狂ったのか昨年公開された「スイス・アーミー・マン 」ではなんとおならで動く水死体役という字面ではコントみたいな役を演じたりしています(これはこれですっごい変な映画)。さらに未体験ゾーンの映画たち2018で公開された「ジャングル キンズバーグ19日間の奇跡」ではさいとうたかおの名作漫画「サバイバル」のごとく、ボリビアのジャングルに取り残されたバック・パッカー、ヨッシー・ギンズバーグを演じ、魔法も使えず、泥だらけになってました。

そんな彼がポッターの匂いを若干残しつつ耽美を少しかじってくれたのがビート・ジェネレーションを代表する詩人アレン・ギンズバーグのコロンビア大学時代を演じた(奇しくもギンズバーグつながり)「キル・ユア・ダーリン」。悩める詩人、ギンズバーグと友人以上の関係を持つことになるルシアン・カー、そして元彼との複雑な関係を描いた話でしっかりボーイズラブを繰り広げてくれており、ラドクリフがあんなことを!と、好きな人にはたまらない演技をしてくれてます。とはいえ、この映画を見ても大阪に住んでいる限り、ラドクリフくんは今日もハリー・ポッターとなっているので、せっかく耽美に浸っても引き戻されているのが因果です。

ちなみにギンズバーグのお母さん役のジェニファー・ジェイソン・リーはヘイトフル・エイトでも物凄い存在感を出してましたが今作でもしっかり爪痕残しております。さらにそんなに出番は多くないですが、テレビドラマ「クローザー」で一躍注目されたキーラ・セジウィックの怪演も必見です。
◆クロエ・グレース・モレッツ 現在21歳/『アクトレス 女たちの舞台』
アクトレス 女たちの舞台
キック・アスのヒットガールを演じている彼女を見た時は衝撃的でした。あんな可愛い女の子が銃をぶっ放し、おっさんたちにマーシャルアーツ仕込みで殴る蹴るしてしまう少女。そうそうこういうの見たかった感も湧き上がってただただすげ~という高揚感溢れる作品でした。そんな彼女も「キック・アス/ジャスティス・フォーエヴァー」ではちょっと大人になってしまい少女の暴れっぷりを期待していた方たちには物足りなさを抱き、どう成長してしまうんだろうという不安を漂わせましたが、サイキックホラー映画のリブート版「キャリー」で、成長期の女の子の不安定さを自らとシンクロさせて体現、彼女でしか表現できない青春のゆらぎを焼き付けていました。そんな彼女がまるでベティ・デイヴィス主演、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の名作「イヴの総て」を彷彿とさせるのが「アクトレス 女たちの舞台」。ジュリエット・ピノシェ演じる大女優マリアがかつて自分が演じた舞台「マローヤのへび」再演のオファーを受けるんですが、依頼された役は若いヒロイン役ではなく、彼女に翻弄される中年女役。で、その若いヒロイン役を演じるのは、クロエちゃん扮する新進女優のジョアン。
「え、私ヒロイン役ちゃうの?」とキーッとなるマリア。とはいえ、寄る年波には逆らえず、結局中年女役をやることになるのですが・・・。
クロエちゃん、私生活では不倫してるという奔放で大女優にもブイブイ言わす若手女優役を嬉々として演じてます。そのすれっからし感が、もともとちょいハスキーな彼女の声とともにピッタリ。そしてマリア役のジュリエット・ピノシェ、彼女のマネジャー、バレンティン役のクリステン・スチュアートとの女同士の演技合戦も素晴らしいです。ヘンデルのオペラ「セルセ」の中の「オンブラ・マイ・フ」が効果的に使われているのが個人的にはツボでした。
◆エイサ・バターフィールド 現在21歳/『僕と世界の方程式』
僕と世界の方程式
「縞模様のパジャマの少年」では、無垢すぎるゆえに迫害されるユダヤ人少年と友情を育む少年役で泣かせに泣かせ、エマ・トンプソンのナニー(乳母)役が強烈だった「ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ」では、農場で暮らすしっかり者のお兄ちゃんに紛し、マーティン・スコセッシが初の3D作品を監督、映画愛に溢れた内容となった「ヒューゴの不思議な発明」では、主人公で時計台に隠れて暮らす孤児を演じ、クロエ・グレース・モレッツと共演した、エイサ・バターフィールド。黒髪にブルーの瞳が印象的な彼が子役から青年役者としてひと皮向けた作品が「僕と世界の方程式」。

タイトルからすると何やら難しそうなという印象がありますが、素晴らしい青春映画。発達障害を抱えた主人公ネイサンが、尊敬していた父親を亡くしたことでさらに殻に閉じこもるも、ひょんなことから数学に対する才能を見出された彼はやがて国際数学オリンピックの選抜メンバーに選ばれ、台湾での合宿に参加、そこで中国人の女子学生と出会ったことでこれまで自分から少しづつ変わっていくって話。モヤモヤ、イライラ、うまく付き合えない憤りがエイサ・バターフィールドの全身から溢れ出ている様が本当にこの瞬間をよく映像に捉えてくれたって思えるくらい胸にきます。「シェイプ・オブ・ウォーター」でも素晴らしい演技を見せてくれたサリー・ホーキンスが彼を見守る母親として素晴らしい演技を見せてくれています。この母親とのやりとりもいいんですよねぇ(クライマックスは秀逸!)。
そんな彼、「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」ではさらに大人になって青い目を輝かせて不思議な世界に誘ってます。
◆イライジャ・ウッド 現在37歳/『マニアック』
マニアック
平昌オリンピック、フィギュアスケート男子で銀メダルを獲得した宇野昌磨くんを見てると、なぜかふと頭によぎるのはイライジャ・ウッドやった。あの手頃な身長、顔は幼いのに肩幅のはったがっしり感。無造作なパーマ、まっすぐ見据える純粋なる瞳は、そうや!まさに「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでホビットのフロドを演じていたイライジャやないか~いということで、いつか宇野くん、スケートリンクでホビット姿で滑ってくれへんやろか。という期待をしながらイライジャのことを書くのだけど、もう彼も若いなぁ、可愛いなぁと思っていたら37歳になっていたのね。

「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」でゲームしてた目のくりっとした子ども役でデビューした彼、バリー・レビンソン監督の郷愁が詰まった佳作「わが心のボルチモア」の主人公の少年、マコーレー・カルキン少年に命を狙われる少年役を演じた「危険な少年」、「8月のメモワール」「フリッパー」などと子役三昧を経て掴んだのが、前記したピーター・ジャクソン監督が念願だったJ・R・R・トールキン原作「指輪物語」を映画化した「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの、指輪を破壊する宿命を背負った主人公フロド役。20歳になるかならないかの時に演じたこの役が世界的に大ヒットし、一躍注目されたと同時に、役のイメージが強すぎて背も小さいんじゃないかとずっと思われていたそう(身長は168cm・・・外国人にしたら小さいか!)。三部作終了後は「ホビット 思いがけない冒険」にご祝儀的出演を果たし、一応のホビット卒業を果たしたんやけど、やはりホビットイメージをひきづっているものの、どうも彼自身の趣味がアングラなものが好きなようで、「マニアック」という1980年に作られた女性の頭はぎ殺人鬼スプラッター映画のリメイクに主演。
殺人鬼を追う正義の味方ではなく、殺人鬼自身を演じてしまうという黒い快挙に。でも前作と違うところは、闇を抱えた部分の心理描写にイライジャならではのこれまで自身の闇が垣間見れるところ。ゆえにただのスプラッターホラーではないちょっと深いものと殺人鬼なのに同情も感じさせてくれるのが新しい。とはいえ、ど変態を演じたイライジャが吸い込まれるような目で女性を殺める場面は少なからずショックを受けるはず。
『グランドピアノ 狙われた黒鍵』
グランドピアノ 狙われた黒鍵
そして今度はトラウマ抱えた若き天才ピアニストを演じたのが「グランドピアノ 狙われた黒鍵」。スペイン産のサスペンスで脚本はなんとセッション」「ラ・ラ・ランドデイミアン・チャゼル
とりあえずある曲をちゃんと弾かないと何かが起こるという巻き込まれ型のシチュエーションサスペンス。で、アルフレッド・ヒッチコックをやりたかったんだなぁと。例えば「知りすぎていた男」「フレンジー」などをリスペクトしたカメラワークや場面があってニンマリ。
何より、事件に巻き込まれるイライジャ・ウッドの終始困っている顔が最高。この人はやはり試練を与えるといい顔を見せてくれます。あと、ピアニストだけにどこまで本当に弾いているのか分からないけれど、それなりに彼の演奏シーンに痺れます。ストーリーとしては、突っ込みたくなるところもありますが、デイミアン・チャゼルの若き才能と音楽の下地が発揮された脚本と、イライジャ・ウッドの演技者としての充実ぶりが堪能できるサスペンスやと思います。

子どもはいつかは大人になる、今回紹介した5人はそれぞれ自分のポジションを見つけて頑張ってはる方々ばかり、さらにこれからも大人の役者としてたくさんの作品に出るはず。彼らの成長とともに、作品を追っかけていくのも楽しいですよ。

Writer | 仲谷暢之

ライター、関西を中心に映画や演劇、お笑い、料理ネタなどなどいろいろ書いてます。

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