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祝・初オスカー!ゲイリー・オールドマンの多彩な魅力を堪能する5作品

2018.03.09(Fri) | 上原礼子

「え、初受賞!?」と驚いた方も多いかもしれません。『レオン』『フィフス・エレメント』などの強烈な悪役で知られ、近年は『ダークナイト』三部作や『ハリー・ポッター』シリーズで人気の名優ゲイリー・オールドマンが、ついにアカデミー賞主演男優賞を獲得!
英国の渋オジ俳優の初オスカーを記念して、近年の出演作から彼の多彩な魅力に触れる5作品を選んでみました。

“政界一の嫌われ者”を熱演!『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
ウィンストンチャーチル
ゲイリー・オールドマンが『つぐない』のジョー・ライト監督のもと、念願のオスカー像を手にした本作。同じくオスカーを獲得した辻一弘らの特殊メイクアップチームにより、顔の輪郭から何からまるで違うチャーチル元英国首相になりきりました。これまでも『シド・アンド・ナンシー』のシド・ヴィシャスや『JFK』のオズワルドなど実在の人物を演じ、『ハンニバル』では特殊メイクの役柄を演じてきましたが、本作では毎日午前3時にスタジオ入り、ヘアメイク&衣装着用に4時間以上もかけながら見事チャーチルを務めあげています。

物語は、第2次世界大戦初期、政界で異端児扱いされていたチャーチルが首相に就任する1940年5月10日から始まります。C・ノーラン監督の『ダンケルク』でも描かれたように、フランスでは英仏連合軍がナチスドイツと交戦中でしたが、もはや陥落寸前。当時の政権内では、この際ヒトラーと手を結び、英国本土が危機にさらされる前に和平交渉すべきという意見が大半。ヒトラーは「道理が通じる相手ではない」と訴えてきたチャーチルはますます孤立を深めていくことに……。

その一方で、英国王のスピーチの主人公として知られるジョージ6世(本作ではベン・メンデルソーン)にも謁見しますが、「昼寝をしたいので時間をずらして」と国王にさえ我を通す強情さも。歯に衣着せぬ物言いや、葉巻や酒を手放すことのなかった豪傑ぶりなど、ゲイリーが体現する“人間チャーチル”は必見です。

そんな男が、原題の『Darkest Hour』が語るように歴史の変換点の1つともなった“最悪の時間”をいかに過ごしたのか、ゲイリーの熱演から見つめてみてください。

◆『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
3月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
(c)2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
二重スパイを探す心理戦に挑む!『裏切りのサーカス』
裏切りのサーカス
ゲイリーが初めてアカデミー賞にノミネートされたのが、ジョン・ル・カレのスパイ小説「テインカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映画化した本作。コリン・ファースやベネディクト・カンバーバッチ、トム・ハーディなど人気英国俳優のアンサンブルによる緊迫の心理戦と、スパイたちの悲哀に満ちた裏の顔も見どころです。

物語の舞台は、東西冷戦下のロンドン。英国諜報部<サーカス>を去ることになったジム・スマイリーはソ連の二重スパイ“もぐら”を捜し出すという、極めて危険で困難な任務を請け負うことに。過去の記録や証言を集めながら、容疑者を洗いあげていくスマイリーは、かつて対峙したソ連のスパイ“カーラ”の影にも気づき……。

本作には何度観ても新たな発見があり、ゲイリー演じるスマイリーのラストシーンには、完全には安堵しきれない緊張感も残されます。ゲイリーを主演に続編が始動しているとも伝えられており、楽しみに待ちたいところです。
エルヴィス・プレスリーを物まね!?『ガンズ・アンド・ギャンブラー』
ガンズアンドギャンブラー
少々頭を使った後は、気軽に観られるクライムアクションはいかがでしょう? 『トゥルー・ロマンス』(93)で共演したクリスチャン・スレイターが主演を務め、なんとゲイリーがエルヴィスになりきります!?

ネイティブ・アメリカンの居住地に立つカジノで、有り金すべてを失ったギャンブラー“ジョン・スミス”。翌日、目覚めた彼は、100万ドルもの価値があるネイティブ・アメリカンの仮面を盗んだ犯人として命を狙われます。しかし、怪しいのは、前夜カードゲームに興じていた“エルヴィス物まねコンテスト”の参加者たち。金髪美女の殺し屋や警官までも巻き込み、お宝探しが始まります。

『トゥルー・ロマンス』の主人公はエルヴィス好きという粋なつながり。さらに、本作のように弾けているゲイリーは、嫌いじゃありません。
禁酒法時代のギャングに!『欲望のバージニア』
欲望のバージニア
『ダークナイト ライジング』『裏切りのサーカス』のトム・ハーディや、下記『マン・ダウン』のシャイア・ラブーフ、『猿の惑星:新世紀』のジェイソン・クラークが禁酒法時代に実在した3兄弟を演じるクライムドラマ。

“不死身”と呼ばれ、危険な密造酒ビジネスで名を馳せていたボンデュラント兄弟。ある日、新たに取締役官レイクスが着任し、高額の賄賂を要求するようになり……。

兄弟に関わる人物としてジェシカ・チャステインやミア・ワシコウスカ、デイン・デハーンも出演。極めつけはレイクスを演じるガイ・ピアースで、ひと昔前にゲイリーが演じていたような狂気がたぎる悪役! その中で出番こそ多くありませんが、ゲイリーは“狂犬”と呼ばれるギャングを渋く演じています。
抑えた演技でシャイア・ラブーフの上官に!『マン・ダウン 戦士の約束』
マン・ダウン
イギリスの公開時、1枚しかチケットが売れなかったという不名誉な記録をつくってしまった本作ですが、なかなかどうして、社会問題となっている戦争がもたらす“傷跡”について斬り込んだ佳作ではないかと思います。

米軍の海兵隊員ガブリエル・ドラマーはアフガニスタンでの過酷な任務を終えて帰還。しかし、辿り着いた故郷は、まるで異世界に迷い込んだかのように様変わりし、妻や息子たちの姿も消えていた……。

シャイア・ラブーフが主人公を熱演し、彼が「僕のヒーロー」と公言するゲイリーが上官のペイトン大佐に扮します。『ウィンストン・チャーチル』『裏切りのサーカス』チャイルド44 森に消えた子供たちなどでゲイリーとタッグを組み、受賞スピーチでも名前が挙げられたダグラス・アーバンスキーが製作。近未来SFものかと思いきや、実は壮絶な真実が待ち受けていますよ!

一度見たら忘れられない強烈な悪役のイメージが強かった90年代以降、『ハリ-・ポッター』などではそれを覆すような人気キャラを演じたり、時には宇宙や近未来へも行ったりと、縦横無尽な活躍を見せてきたゲイリー。経験豊かな彼だからこそ、今回、歴史上の人物であるチャーチルを人間味あふれるキャラクターへと昇華させることができたのでしょう。まもなく60歳の誕生日を迎えるゲイリーの、これからにも期待が高まります。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当し、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録を随時更新中。映画を通じて悲嘆を癒やす【映画でグリーフワーク】を試みています。

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