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強烈な存在感を放つ女優・安藤サクラの神演技を見る!

2018.05.30(Wed) | 斎藤香

出演作を重ねるごとに、存在感と演技力で見る者の心をわしづかみにする女優・安藤サクラ。そこで彼女の素晴らしい演技を堪能できる5作品をご紹介します。

カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』
万引き家族
第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督作『万引き家族』。本作で6人家族の生活をまわしていく“お母さん”的な役割を担っている信代を演じているのが、安藤さんです。

東京の片隅の長屋で暮らす5人家族。生活の糧は祖母(樹木希林)の年金と信代のパート代。足りないものは治(リリー・フランキー)が盗みを働いて補っています。軽犯罪を繰り返す彼らですが、家族はいつも笑顔で笑いが絶えません。ある日、治が少女を連れて帰って来ました。少女(佐々木みゆ)の家庭に問題があると知った信代たちは、彼女を家族の一員に加えますが、その後、家族がバラバラになる事件が起こり……。

信代は一家の中心人物、太陽のような存在です。屈託のない笑顔、ユーモア、一見ガサツに見えるけど思いやり溢れるキャラクターです。でも、彼女の笑顔の裏には秘められた過去があり、たくさん傷ついてきた女性でもあるのです。そんな複雑な背景を背負った女性の内面をグラデーションのように徐々に表していく安藤さんの巧さ! 是枝監督の大傑作の中で、安藤さんはひときわ美しい光りを放っています。

◆『万引き家族』6月8日(金)公開
<6月2日(土)・3日(日) 先行上映決定!>
(C) 2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.
日本アカデミー賞主演女優賞受賞作『百円の恋』
百円の恋
「第一回松田優作賞」を受賞した足立紳の脚本を映画化。安藤さんはオーディションを受けてヒロインに選ばれ、本作で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞。「安藤サクラは凄い!」と大絶賛された作品です。

一子(安藤サクラ)は、自宅引きこもりの自堕落な日々を送っているアラサー女性。姉妹喧嘩がきっかけで自立することになった彼女は、100円ショップでバイトしながら生計を立てることにします。店にときどきやってくるボクサー(新井浩文)に心惹かれ、いつしか彼と付き合うようになりますが、その恋は失恋で終わってしまいました。傷心の彼女は、元彼がやっていたボクシングにのめり込んでいき、悔しさや寂しさをボクシングにぶつけて闘うようになるのです。

自堕落時代はポッチャリした体型で動きもノロかった一子ですが、ボクシングに燃えるようになってからは、体がどんどん絞られ、腹筋が割れるほどに。安藤さんは、この役のために10日間で肉体改造をしたそうです。一子の生き様が後半の試合のシーンで爆発しており、それはまさに魂の演技! 彼女の代表作のひとつといっても過言ではないでしょう。
超ユニークなコラムニスト役で笑いを巻き起こす『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』
奥田民生に
安藤さんは主演だけではなく助演女優としても数々の映画で活躍。『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』では主人公の編集者(妻夫木聡)を振り回すコラムニスト役を怪演しています。

雑誌編集者コーロキ(妻夫木聡)は、奥田民生的な人生に憧れている熱狂的ファン。その彼が恋に落ちたのは、人気ブランドのプレス担当あかり(水原希子)。寝ても覚めても彼女のことが忘れられないコーロキですが、彼の雑誌で連載を持っているコラムニスト美上ゆう(安藤サクラ)の原稿が遅く、彼女に振り回されっぱなし。あかりとデートの約束をしても、「ゆうの猫が失踪した!」と、探しまわるハメになってしまうのです。

猫屋敷で執筆をする漫画コラムニスト・美上ゆうは、本作のコメディリリーフ的なポジション。才能あるけど面倒くさい性格で、この面倒くささがおもしろい! 彼女が出て来ると、どうやってコーロキを振り回すかな……とスクリーンに釘づけになります。「こういう人いるかも」と思わせるいい塩梅の変人さで、この役を嬉々として演じる安藤さんに注目です。
姉・安藤桃子監督の映画でヒロインを演じた『0.5ミリ』
0.5ミリ
安藤さんが、姉の安藤桃子監督&脚本の作品に主演として迎えられて熱演した作品。おしかけ介護士をときには優しく、ときにはワイルドに演じています。

優秀な介護士として働いてきたサワ(安藤サクラ)ですが、お客さんの要望で泊まりの介護についた日、アクシデントで火事を起こして仕事を失ってしまいます。その日から彼女は、困っていたり、悪さしたりしている老人を見つけると、その心を掴み、住み込み介護士になるのです。

火事の一件以降、職を失った彼女は、フリーランスの介護士として問題を起こした老人たちを助けながら、食と住という報酬を得られるように事を進めていきます。この設定がユニーク。人懐っこくて、おじいちゃんたちの懐に入るのがうまいサワ。ずうずうしさ、フットワークの軽さなどを加えて、キャラクターの長所も短所も魅力的に見せてしまう安藤さんの本領が発揮された作品です。
安藤サクラを狂気の熱演が忘れられない!『愛のむきだし』
愛のむきだし
まだ知る人ぞ知る存在だった安藤サクラを満島ひかりと共に世に知らしめたのが園子温監督作『愛のむきだし』。安藤さんは、新興宗教の教祖の部下コイケを演じ、モンスター級の熱演を見せています。

クリスチャンのユウ(西島隆弘)は父のカトリックの教えに忠実な優等生でしたが、父に認められたいあまり、盗撮などおかしな行動に走り始めます。その最中に出会ったのがユーコ(満島ひかり)。ユウは彼女に強く惹かれていきます。一方、新興宗教の幹部のひとりコイケ(安藤サクラ)は二人を宗教に取り込もうと狙っていたのです。

いつも真っ白な衣装で鳥と行動を共にしているコイケ。非現実的な雰囲気をまとい、狂った笑顔を見せるサイコな女役は夢に出て来そうなほど強烈です。人の心を壊していきながら自分も壊れていく役をものすごい熱量で演じた安藤さん。満島ひかりとの演技バトルは見応えあります。

良い役者は、演技力で作品を傑作に押し上げるパワーがあります。安藤さんはまさにソレ!演技力への安心感と、何かやってくれるという期待と興奮が常にあるのです。「役を演じる」と言うより「役を生きる」女優。これほど役に血を通わせるのが上手い人はいません。上記5作品はどれもこれも安藤さんの魅力に満ちた作品ばかり。いずれも必見です。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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