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アーティストたちの謎の私生活を覗き見できる映画5選

2018.06.27(Wed) | 斎藤香

アーティストの中には天才と呼ばれる人も多く存在します。凡人にはわからない天才の頭の中と私生活。謎が多いからこそ知りたくなりますよね。そこで各分野の天才たちを描いた映画作品をピックアップしました。

天才監督の恋人が語る彼の素顔『グッバイ・ゴダール!』
グッバイゴダール
19才の女子大生と映画監督ジャン=リュック・ゴダールとの恋物語を通して、男性としてのゴダールを描いたミシェル・アザナヴィシウス監督作。

1960年代のパリ。アンヌ(ステイシー・マーティン)は、天才映画監督ジャン=リュック・ゴダール(ルイ・ガレル)と出逢い、彼の新作『中国女』に主演することになります。普通の女子大生だった彼女が、ゴダール映画の主演女優となり、やがて妻に……。しかし、蜜月の日々もつかの間、革命の波が押し寄せ、彼は労働者たちと機動隊に石を投げるなど、革命に傾倒していきます。そして、二人の間に微妙なズレが生じて来るのです。

恋人の目から見たゴダールの姿は、映画監督としてではなく男としてのゴダール。女性目線で見ると、どうしようもなく面倒くさい男! 自分の思想が絶対で人の意見に耳を貸さず、足並みを揃えようとしない。この強烈な自我は、映画監督として必要かもしれませんが、恋人や夫にするにはかなりの覚悟が必要。男としてのゴダールの姿とともに、アーティストの恋人としての苦労も垣間見られる作品です。

◆『グッバイ・ゴダール!』7.13(金)公開
(C) LES COMPAGNONS DU CINÉMA – LA CLASSE AMÉRICAINE – STUDIOCANAL – FRANCE 3.
イギリスとフランスの巨匠が出会う奇跡の映画『ヒッチコック/トリュフォー』
ヒッチコック
フランスの巨匠フランソワ・トリュフォーが憧れの映画監督アルフレッド・ヒッチコックにインタビューした映像、資料、作品から構成された映画ファン必見!奇跡のドキュメンタリーです。

1962年、トリュフォーはヒッチコックに手紙を送り、ロングインタビューが実現します。1週間にわたるインタビューの中で、ヒッチコックは自作について、撮影手法など語りつくします。ヒッチコックの話を聞くトリュフォーの真剣な眼差しは、映画少年そのもの! 映画を愛し、映画で人を楽しませることに常に渾身の力を振り絞っている二人の巨匠の映画魂を、ドキュメンタリーから受け止めることができます。

ほか、ヒッチコックの作品を愛して止まない世界の映画監督たち、マーティン・スコセッシ、デビッド・フィンチャー、黒沢清などがヒッチコック愛を語る映像も挿入されています。この映画を見たあと、ヒッチコックへのインタビューをまとめた映画解説書『定本 映画術 ヒッチコック/トリュフォー』を読むと、より深く、二人の巨匠について知ることができるでしょう。
異色の写真家の不思議な体験『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』
毛皮のエロス
20世紀の伝説の写真家ダイアン・アーバスのキャリアの起点となった出来事を綴った物語。ニコール・キッドマンがダイアンを演じています。

ダイアン(ニコール・キッドマン)は、夫の写真家アラン(タイ・バーレル)と二人の娘とともに幸せに暮らしていました。ある日、隣に風変りな男が引っ越してきます。夏なのにコート姿で顔を隠したその男の名前はライオネル(ロバート・ダウニーJr.)。彼に興味を抱いたダイアンは、やがて彼の秘密を知り、異形の世界へと入り込んでいくのです。

ダイアン・アーバスが選ぶ被写体は特殊で、両性具有者、身体障害者、服装倒錯者、小人など。なぜ彼女はそのような被写体を選んだのか? その理由がこの映画には含まれていますが、リアルな実体験からは引き離し、異質なファンタジーとして描いています。ダイアンの写真の生々しさからは一線を画していますが、彼女を知る上で欠かせない映画と言えるでしょう。
アート夫婦のスキャンダルを映画化『ビッグ・アイズ』
ビッグアイズ
60年代「ビッグ・アイズ」という絵で、大ブームを巻き起こした画家ウォルター・キーン。しかしそれは彼の作品ではなく、妻が描いたものだった!という実際にあった大スキャンダルの映画化作品です。

似顔絵を描いて生計を立てていたシングルマザーのマーガレット(エイミー・アダムス)は、ウォルター(クリストフ・ヴァルツ)と出逢い、結婚。細々と生活を営んでいましたが、ある日、彼女の描いた絵「ビック・アイズ」が大ブレイク。しかし、ウォルターは自分の作品だと世間に偽りの公表をしてしまうのです。

口の上手い夫に言いくるめられてゴースト画家になってしまったマーガレット。手柄を横取りして得意満面のウォルターは腹立たしい夫ですが「ビッグ・アイズ」の成功は、マーガレットの絵を上手く時流に乗せたウォルターのプロデュース能力によるところも大きいのです。妻をスター画家に仕立てていれば問題なかったのに、何もかも自分の手柄にしようとしたウォルターのドス黒さが致命的……。芸術家の裏側を描いた映画ですが、スキャンダルの裏側というワイドショー的な視点もあり、実に面白いです。
異端のヴァイオリニストの劇的人生『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』
パガニーニ
19世紀、クラシック界で大暴れしたヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニを人気ヴァイオリニストのデヴィッド・ギャレットが演じて話題になった伝記映画です。

クラシック界の常識を打ち破る演奏が認められず、不遇の時代を送っていたヴァイオリニストのニコロ・パガニーニ(デヴィッド・ギャレット)。しかし、彼の才能に目を付けたウルバーニ(ジャレッド・ハリス)の手腕で、パガニーニは人気演奏家になります。その彼を指揮者ワトソン(クリスチャン・マッケイ)がロンドンに招待。やがてパガニーニは、ワトソンの娘シャーロット(アンドレア・デック)の歌声と美しさに惹かれていくのです。

パガニーニを演じるデヴィッド・ギャレットは、クラシック界のイケメンロッカーのようなルックスで、ひとりだけ時代が違うような気もするのですが、異質な存在だったパガニーニですから、これで良いのでしょう。パガニーニが乗り移ったかのようなデヴィッドの超絶早弾き演奏はこの映画のハイライト。特に最後の登場シーンは「キタ~!」と叫びたくなるほどかっこいい。ヴァイオリン早弾きテクは現代の早弾きギタリストに通じるものがあり、ロックファンも必見です。

映画監督、写真家、画家、音楽家など、実在したアーティストたちの私生活や素顔は本当に面白い。素顔が個性的だからこそ、世に出る人になったのだというのがよくわかります。ぜひ映画でアーティストたちの創造の裏側を見てください。

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

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