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「人生は一度きりやからやっぱり思いっきり謳歌したいよね映画6選」

2018.07.18(Wed) | 仲谷暢之

ソクラテスの言葉に「簡単すぎる人生に生きる価値などない」というのがあります。
人生が長くなればなるほどいろんなことが起こります。簡単ではないからこそそれをいかに受け止め解決して歩んでいくか。だからこそ様々な人生が・・・。
今回はそんな世界のあらゆる人間の人生にスポットを当てた映画を紹介したいと思います。

日本での、ある人生『嫌われ松子の一生』
嫌われ松子
 山田宗樹の小説の映画化。下妻物語で注目され、この作品がきっかけで後に告白」「渇き。と話題作を発表している中島哲也が監督し大ヒットした。
人生挫折中の川尻笙は、父親から会ったこともない叔母、松子が河原で殺されていたと聞き、ひょんなことから彼女の人生を振り返っていくという話。
もう12年前の作品にも関わらずそのポップさ、瑞々しさは失われず今も毒々しいまでの輝きを放っていることにびっくり。

 教師として平凡で充実の毎日を送るも生徒の窃盗の罪を被ったことがきっかけで、ひたすら堕ちていく人生を歩む松子。ある意味、昔の日活ロマンポルノの定番的設定でもあり、はるか昔、溝口健二監督の名作「西鶴一代女」のこれまたひたすら堕ちていく田中絹代演じるお春にも通じるキャラクター。
ただ、この作品では堕ちいく様を陰々滅々と悲惨に描くのではなく、アニメなどを駆使したミュージカルシーンでポップに描いているのがミソ。これを見て思い出したのはアメリカの人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」出身のコメディアン、スティーブ・マーティンが主演した「ペニーズ・フロム・ヘブン」のようだなと。

 世界大恐慌の時代を舞台にサラリーマンの暗い現実を描いた物語で、この中で主人公たちが悲惨な場面になると、それこそフレッド・アステアやビング・クロスビーの音源を使い、とびっきりのミュージカルシーンになる。まさに現実逃避とはこのことと知らしめてくれるんですが、きっと監督もリスペクト受けたんだろうなと。
今でこそエピソードとして笑えるかもしれないけれど、撮影の時、松子を演じた中谷美紀は監督に追い詰められ逃亡を図ったこともあったそうで、まさに彼女の人生の、当時の精神的な悲惨さも、ポップさの裏にしっかり染み込んでいるのもなんとも味わい深いです。
ロンドンでの、ある人生『新しい人生のはじめかた』
新しい人生のはじめかた
 ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンというアメリカ、イギリスを代表する名俳優が肩の力を抜きつつもがっつり演技合戦を繰り広げ、またこれが見せてくれる侘しさを味わってきた男女の人生のその先を描いた物語。

 ニューヨーク在住のベテランのCM作曲家ハーヴェイ。とはいえ、今や若手にその座を奪われるかもという崖っぷちの男。そんな彼が離婚して離れて暮らす娘の結婚のためにロンドンへやってきたもののCM曲のプレゼンの件でイライラが・・・。そんな時に空港でアンケート調査する中年女性ケイトに声をかけられつい八つ当たり。しまったと思いつつホテルに着けば一人だけ隔離状態だし、食事会に行けば席を離されポッツーン。追い討ちはヴァージンロードの介添えは義父に頼んだと娘に言われ離婚してしまったことの疎外感にただただ絶望。結局、翌日の結婚式はいたたまれずプレゼンのあるニューヨークへ戻ることに。が、渋滞に巻き込まれ搭乗できずにはい、人生終わった!チーンのガックシ状態。そんな時、酒でも煽ろうと立ち寄った空港のバーでケイトと再会。最初はぎこちない二人でしたが互いの悲惨話で意気投合。

 ケイトはケイトで仕事と彼女に依存する母の相手の毎日。友人が気を利かせてブラインドデートをセッティングするも、あぁもう~~~!てな展開があり、ハーヴェイ同様ガックシ状態だったので、一旦は話せてスッキリした~と別れたもののすぐ会って、なんと娘の披露宴に同行してもらうことに。さて、そこから二人はどうなるんでありましょうかって感じですが、正直割とベタです。とはいえ、これが役者の力量で見せてくれるんですねぇ。ちょっと演じるには年齢設定的に無理があるかなと思ったりしますが最後はちゃんと納得。しかも背の高いエマ・トンプソンと背の低いダスティン・ホフマンの身長を生かしたネタもあってニンマリしてしまいます。これ舞台にしてもいいなぁって思ったりして。

 それにしてもエマ・トンプソンの姿を見てると、友人の女子バレーボール選手が泣きながら松任谷由実さんの背の高い女子の恋愛歌「5cmの向こう岸」を歌ってたことが頭に浮かんでました。ま、彼女も今は幸せ掴んでますが。
オランダでの、ある人生『人生はマラソンだ!』
人生はマラソンだ!
 よくマラソンは人生に例えられます。実際、マラソンに挑戦した人たちは以後の人生観が変わったとも言います。そしてもう一回走れと言われたらごめんと言いつつも、結局またエントリーして走ってしまうとも。それだけマラソンの42.195kmには人生同様、艱難辛苦が味わうことでの何かが見つかるんだろうなぁと思ってしまいます。え?自分は?というとすんません 、フルマラソンは走ったことありません。自分の人生で精一杯です。マラソンで人生の疑似体験をしようという余裕はありません。でも人生とマラソンに関する映画は積極的見ようと思います。で、見ました。「人生はマラソンだ!」という直球なタイトルの作品。

 オランダにある自動車修理工場が舞台。仲間たちとのんびり仕事をしてきた経営者ギーアでしたが税金を滞納しており、すでに工場が差し押さえられていることが発覚。さて、どないしたらええんや!考えてぇやと、あーだこーだと話してたときに、一番若い従業員、ユースが昔、マラソンランナーでスポンサーつけてました~とわかった事から、俺たちもそうしよう!それで税金払えるやんという安易な方法におっさんたちは答えを見出します。が、そらひと筋縄ではいきませんが、ユースがコーチとなって、半年後に開催される地元のロッテルダムマラソンに向けて特訓開始しますが、それぞれ従業員は問題を抱えており・・・。さて、無事にポンコツおっさんたちは完走できるのでしょうかって話ですが、従業員のポンコツっぷりがいいです。そのポンコツで思い出しましたが20年ほど前の作品ですが、鉄工所を解雇された失業おっさんたちが再起をかけて男性ストリッパーになるという、のちにミュージカルにもなった「フルモンティ」という映画がありましたが、あちらのおっさんたちのアグレッシブさに比べるとオランダというお国柄か、どこかのんびりとしていて、あまり殺伐さは感じられません。とはいえ、売春が合法だったり、移民問題などオランダならではの闇も露呈するわけで、それがマラソンに挑戦することによってどう解決していくかというのも見どころです。オランダ映画をなかなか見る機会がないですが、マラソンという身近なスポーツをフィルターとして見るのもいいです。そしてきっとマラソンを人生と重ねてしまいがちであるということが再確認できると思います。
アルゼンチンでの、ある人生『人生スイッチ』
人生スイッチ
 公開当時、アルゼンチンでの国内歴代興収1位という記録を打ち立てた最悪人生オムニバス映画がこれ。日本での公開時、「R-1ぐらんぷり」2連覇優勝者、なだぎ武くんと大阪でトークイベントをやったのですが二人して興奮したこと覚えてます。その時はオムニバス映画の面白さとアルゼンチンという陽のイメージがある国の人たちが一回キレるとヤバいということ、そして6話それぞれの語り口のうまさにびっくりしたという話をしたのですが、改めて見るとやはり語り口の饒舌さに感心しました。

 オープニングを飾るのは、仕事の依頼を受けて指定されたファッションモデルが乗った飛行機。徐々に自分も含めて同機の乗客たちが“ある人物”と何らかの関わりがあったことがわかるとある恐ろしいことが待ちかまえていた「おかえし」は映画の掴みにふさわしいオチ(映画の中の人物にすれば最悪やけど)で次はどんな話を見せてくれるんやろうかとワクワクさせてくれます。
 2本目は郊外のレストランで働くウェイトレス。そこへ親の仇である高利貸しの男がやってくる。調理担当のおばちゃんに打ち明けると注文した料理に毒を入れたらええねんと。そこまでは・・・と躊躇するもあまりにも傲慢な振る舞いにとうとうエライことに・・・。おばちゃん怒らせたらどこの国でも怖いわぁという話。3本目はスティーブン・スピルバーグ監督の出世作「激突!」を思い起こさせる、田舎町で車を走らせる男がトロトロ運転の車を追い越し、田舎者呼ばわりの捨て台詞を吐いたことで地獄巡りをすることになる「エンスト」(ちょっとタイトルに違和感あるけど)。4本目はアカデミー賞外国賞を受賞した「瞳の奥の秘密」で主演を務めたリカルド・ダリンがビル爆破解体職人を演じ、駐車禁止区域じゃないのにレッカー移動された男が陸運局の態度、さらに家庭のいざこざなどから、ついにとんでもない方法で人生の起死回生を狙うという「ヒーローになるために」。お上にタテ突くのはいかんと言われますが、これを見たらちょっとスカッとします。そして5本目はひき逃げした息子を助けるために、アリバイや身代わりを考えた金持ちのおとんが手痛いしっぺ返しを受ける「愚息」。
 最後を飾るのは新郎の浮気相手が結婚式に参列してるのを知った新婦がラテンアメリカならでは!?のトゥマッチな復讐を果たす「HAPPY WEDDING」で、どれもが過ぎるほど個性的で、見た人はどれがお気に入りかってのを話したくなる珠玉の6本。

 今から30年前!に日本でも森田芳光監督総指揮の「バカヤロー!私、怒ってます」という怒り爆発オムニバスがありましたが(この中の二話目「遠くてフラれるなんて」は中島哲也監督作品)、こちらは我慢して我慢してついに堪忍袋の緒が切れたって展開やったのですが、「人生スイッチ」はタイトル通りどこでそのスイッチが押されるのかわからないところが予測不能でたまりません。ちなみに製作にボルベール〈帰郷〉バッド・エディケーションのスペインを代表するペドロ・アルモドバル監督が名を連ねていますが、いかにも彼が好きそうな話ばかりで、この映画に関わるのも合点がいきます。
テヘランでの、ある人生『人生タクシー』
人生タクシー
 新年に飾るための金魚を買うための大事なお金を落として様々な人とプチ冒険をすることになる少女を描いた「白い風船」やサッカーを観戦するこのできない女性たちが男装してスタジアムに潜り込んだ少女たちを描いた「オフサイド・ガールズ」、反体制的活動を行ったということで逮捕され懲役を与えられ、さらに20年間映画製作を禁止された監督自身が軟禁生活の中で作ったドキュメンタリー「これは映画ではない」など、困難の中においても映画作りに情熱を傾けるイランの名匠、ジャファル・パナヒ監督がタクシーの運転手となり車載カメラでお客さんを撮影したドキュメンタリー。

 イラン・テヘランに住む市井の人々が次々とタクシーに乗車。その人たちとの会話を通して人生が浮かび上がり、今のイランをも浮かび上がらせ、知ることができるという内容でこれがとてつもなく面白い。
 関西および、西日本の人は覚えているだろうか毎日放送で80年代に放送されていたバラエティ番組「突然ガバチョ!」。この中で「つるべタクシー」というコーナーがあり、笑福亭鶴瓶がタクシー運転手に扮し、ゲストを乗車させ、タクシーに乗っている設定で会話を繰り広げるというものでした。それがつい、パナヒ監督の人懐っこさも相まって脳裏に浮かびどうしてもパナヒタクシーというタイトルの方が親しみやすいなぁと思ってしましました。

 でもって、車載カメラに記録された映像に登場する人々の人生は様々。男女乗り合うととんでもないことが露見したり(なんか落語みたい)、海賊版DVDを売る男が乗ってきてこの男がパナヒ監督のことを知っていて、のちにちゃっかり便乗したり、事故に遭う夫婦を目撃したり、金魚をなんとかして時間までにある場所に運ばないといけないという老婦人たちがいたり(このやりとりは絶妙!)、学校で映画を撮ることになった姪っ子を乗せたり(超生意気で可愛い)、強盗にあってとんでもないどんでん返しがあったりと本当にこれがドキュメンタリー?と思えるほど様々な人たちの人生模様がタクシーという狭い空間の中で繰り広げられます。一期一会という言葉がありますが、たまたま監督の車に乗ったことでそこに記録された人の人生はこの映画で語り継がれることになるというは不思議だなぁと見終わったぁとしみじみと感じます。
カナダでの、ある人生『人生、ブラボー!』
人生、ブラボー!
 原題の「Starbuck」はあのコーヒーショップチェーンではなく、世界中で20万頭以上の子供がいるカナダの超優良品種の種牛だそうで、主人公のダヴィッドは19歳の時にアルバイトで精子提供した時に、偽名としてこの名前を使ったことからの映画のタイトルになっています。でもってそのダヴィッドが42歳になった現在、533人もの子どもが生まれていたことが、ある日突然発覚!なぜかというとそのうちの142人が原告となって父親を知りたい!という裁判を起こしたから。匿名契約書にサインしたのにどういうこっちゃ!と怒るダヴィッドを尻目に友人の弁護士は大規模訴訟を絶対勝ってみせると張り切っている。実はダヴィッド自身、借金まみれでニッチもサッチもいかなくてもし負けたらえらいことに。さらに妊娠したと言われた恋人にも見放されている最中だけに余計にこの裁判は困る。でも、つい見てしまったプロフィールリストの中に自分が応援しているサッカーチームのスター選手がいたことからダヴィッドも、あれ?俺、まんざらでもないんちゃうかなと、次々とプロフィールをチェックしてはその自分の子どもという人物をチェックし、ついには訪ねるまでに。で、何気なくまるでガーディアン・エンジェルよろしく、そっと助けたりしていく。この場面が実に素晴らしくて、主役のパトリック・ユアールのキャラクターもあって人間味溢れていて、ついにんまりしてしまう。そして登場するダヴィッドの子どもたちがまさに人生の縮図!人間曼荼羅!ヤク中だったり、プールの監視員だったり、役者目指している子だったり、ストリートミュージシャンだったり、重度の障害者だったり。その子たちとの交流から彼に父性が芽生えてくるのは当然の成り行き。でも、でも・・・。裁判は始まったものの胸中は複雑なりなダヴィッド。さて彼と子どもたちとの裁判の行方は?

 人と人とのつながりが結果うわ~って高揚感マックスなインスタ映えラストを迎えます。これはぜひ見て味わって欲しいです。ちなみに今作、「人生、サイコー!」というタイトルでヴィンス・ボーンやクリス・プラットの出演でハリウッドリメイクされているのでこちらも要チェックかも。

僕の座右の銘は「Always look on the bright side of life」。イギリスのコントグループ、モンティパイソンが映画「ライフ・オブ・ブライアン」のエンディング曲のタイトル。日本語訳では「人生の明るいとこ見て生きよう」という意味。
ロンドンオリンピックの閉会式でも使われた曲ですが、人生で嫌な目にあった時でも不満言うてもしゃあないから口笛でも吹いたらええねん。ほんならなんかええようになるよって内容の歌詞。自身なんか辛い目に遭遇した時、この言葉を思い出して口笛吹いたりしています。でもって、今回紹介した6本の作品にも口笛捧げたいと思います。
「ヒュ、ヒューヒュヒュヒュ、ヒューヒュヒュヒュヒュヒュ、ヒュヒュ、ヒュ、ヒュヒュヒュヒュヒュ」(←文字では伝わらないけど)

Writer | 仲谷暢之

ライター、関西を中心に映画や演劇、お笑い、料理ネタなどなどいろいろ書いてます。

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