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妖精?小悪魔?変幻自在の美少女、エル・ファニングの天性の演技を見る映画5選

2018.07.25(Wed) | 谷直美

天才子役の姉、ダコタ・ファニングの後ろをついて歩くようにして映画界に足を踏み入れたエル・ファニングのスクリーンデビューはなんと2才。子役から若手演技派女優へ進化をとげ、近年はまさに引っ張りだこ状態で注目作への出演が相次いでいます。多作な彼女のキャリアの特徴は、質の高いアート作品への出演が豊富なこと。
多くの一流監督に愛される映画界の若きミューズは、20才にしてすでに長い経験とキャリアを持つベテラン俳優でもあるのです。
そんなエル・ファニングの魅力を堪能できる5作品を出演順にご紹介します!

内面に葛藤を抱えた少女を繊細に演じた『ジンジャーの朝』(2012)
ジンジャーの朝
原爆直後の広島の記録映像というインパクトの強い出だしから始まる本作は、イギリス人女性監督サリー・ポッター自身の青春時代を投影した自伝的要素の強い作品。

核戦争の不安にさらされた1960年代のイギリス社会。灰色の空気感と緊張をはらんだ時代の中で思春期から大人へと成長していく主人公ジンジャーをエル・ファニングが演じています。

ジンジャーは、積極的な親友ローザとは違って受け身な少女。周囲の大人たちの感情をただ受け止め、受け入れようとするけれど、心から溢れ出てしまうものを持て余している。黙ってじっと見つめる大きな瞳にはたくさんのことが映し出されている。そんな少女をエルは存在感をもって演じています。

社会・家族・性といった問題に不可避的に巻き込まれていく過程で、少女の安らかで小さな世界の調和は徐々に崩壊していきます。柔らかな少女の心が痛めつけられ、追いつめられていくさまが丁寧に描写され、クライマックスへの高まりへとつながっていきます。

ジンジャーは17才の設定ですが、撮影当時エルは13才。作中のキスシーンは、彼女にとっての本物のファーストキスでした。
女の子の体を持った男の子をフレッシュに演じた『アバウト・レイ 16歳の決断』(2015)
アバウトレイ
NYを舞台にした、風変わりな家族の物語。レズビアンの祖母カップルが暮らすアパートに同居するシングルマザーとその子供。ただし、かつては女の子だった子供は、16歳になった今では心も体も男性として生きていくことを熱望している。そのトランスジェンダーの少年をエル・ファニングが演じています。

原題は「3 Generations」。祖母をスーザン・サランドン、母親をナオミ・ワッツが演じており、さすがの安定感。そこにフレッシュなエルが加わって、題名の通り3世代の女優の競演が見どころ。

一風変わった設定であるにも関わらず、身近な共感を呼ぶホームドラマです。家族だからこその無神経や受け入れがたさ、同時にけして見放さないしぶとい愛情のなかで、少年は自我の確立にもがきながらも周囲の人々に見守られて大人になっていく。
天真爛漫で愛くるしいキャラクターと称される実際のエルとはかけ離れた、女の子の身体を持った男の子という難しい役柄にもかかわらず、思春期の少年らしい切実な感情表現の説得力に驚かされます。
ファッションの世界で美の魔力に取り憑かれていく少女を演じた『ネオン・デーモン』(2016)
ネオン・デーモン
ドレスを身にまとった血まみれの美少女という、ショッキングな映像から始まるこの作品は、ファッションの世界における「若さと美」への強烈な執着と欲望を描いたサイコスリラー。サイケデリックな映像とトランス的な音楽を浴びるようにして見たい、美しくもおぞましい作品です。

エル・ファニング演じる主人公ジェシーは、田舎町から夢を抱いて都会へ出てきた女の子。ジェシーはエルと年齢も出身地も同じ設定。ニコラス・ウィンディング・レフン監督は、エル自身の特別な存在感を意図的に主人公と重ね合わせています。

ピュアで幼く、自分の美しさに対して無防備な田舎娘ジェシーは、ふわふわと無自覚に舞う優雅な蝶々のごとく、あやうくはかない美の象徴。人々は一目見るなり皆ジェシーに夢中になってしまう。そんな周囲の羨望や嫉妬を浴びながら、素朴だったジェシーが徐々に高慢で野心的に変化していくさまに惹き付けられます。
嫉妬に狂った女たちがジェシーの美しさを我がものにしたいと願った時、一体何が起こるのか?
クライマックスに向かって高まる狂気、想像を超えた結末に誰もが驚くはず。
大人になりきれない少女のアンバランスな魅力『20 センチュリー・ウーマン』(2016)
20センチュリーウーマン
1979年のカリフォルニアの田舎町を舞台に、マイク・ミルズ監督の若かりし頃、彼の人生に影響を与えた母をはじめとする身近な女性たちにオマージュを捧げた作品。現代のあわただしいインターネット社会とは違う、リラックスしたドリーミーなムードが心地良い作品です。 愛情深く自立的な母のドロシアをアネット・ベニング、ハンサムな居候のアビーをグレタ・ガーウィグが演じています。

エル・ファニングが演じたのは、ドロシアの息子ジェイミーの幼なじみ、ジェシー。隣りで寝るけどエッチはだめ、そんな手が届きそうで届かないもどかしくて甘酸っぱい存在。 この頃のエルは、作品ごとにぐっと身長も伸びて、いかにも大人と子供のはざまといったアンバランスな魅力があります。

父親不在の家庭で女に囲まれ、パンクミュージックを聴いて育ったミルズ監督の描く女性たちは、シビアなまでにリアル。思わず名言!と膝を打ちたくなる気の利いた台詞が散りばめられていて、男も女も、女性の機微を学ぶにはうってつけの作品といえるかも。
なんて不思議でチャーミングなエイリアン!『パーティで女の子に話しかけるには』(2017)
パーティで女の子に話しかけるには
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のジョン・キャメロン・ミッチェルの新作は、カルト的な味わいのあるちょっとシュールな作品。ジャンル分け不能のぶっ飛んだ作りだけれど、コアとなるのは1970年代のイギリスのパンクロックをモチーフにした、異星人の女の子と地味なパンク少年の純粋な恋の物語です。

エル・ファニング演じる風変わりなヒロイン、ザンがたまらなく可愛い!無邪気で、クールで、かたくなで。若い男の子なら誰もが夢中になってしまう特別な輝きをはなっています。 どんな作品でもキャラクターになりきってしまう変幻自在さがエルの大きな魅力ですが、同時にどこかつかみどころのない不思議さも感じさせるだけに、エイリアン役は彼女の魅力が最大限に生きるはまり役だといえそうです。

どんな作品にも自然に溶け込みつつ、フレッシュで特別な存在感を感じさせるエル。出演作や演じるキャラクターの幅広さからも、好奇心の旺盛さとプロ意識の高さがうかがえます。
2才から映画の世界で生きてきたエルにとって、一流のクリエイターたちが集結した映画の現場は仕事の場であると同時に学び多い人生の学校でもあったはず。
一作品ごとに新たな冒険に挑んできた、女優エル・ファニングの成長を感じながら作品を楽しんでみるのもオススメです。

Writer | 谷直美

映画と旅と赤ワインをこよなく愛するフリーライター。映画レビュー・コラムのほか、人物インタビューやイベント取材など幅広いジャンルで執筆中です。

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