ホーム > 知っているようで知らないロシア!ロシアの過去を知る映画4選

知っているようで知らないロシア!ロシアの過去を知る映画4選

2018.08.01(Wed) | 清水久美子

今年のFIFAワールドカップの開催地となったロシア。ロシアって、学校で歴史を学んだり、ニュースで見たりする知識はあっても、詳しく語れるほど知っている人は、実際どのくらいいるのでしょうか…? 私は映画や海外ドラマで外国のことを学ぶのが大好きなのですが、ロシアについて描く作品を観る度に驚かされることが多々あります。ソビエト社会主義共和国連邦から、現在のロシア連邦となるまで、劇的な出来事が続いたロシア。今回は、そんなロシアの過去を知ることができる映画を4本紹介します。

真っ黒な歴史をコメディー仕立てで映画化『スターリンの葬送狂騒曲』
スターリンの葬送狂騒曲
ソビエト連邦の最高権力者で、“粛清”という名の大量虐殺を行った独裁者スターリンの死亡直後、後継者争いをする側近たちの駆け引きを描くブラックコメディー。

1953年、モスクワ。スターリン(アドリアン・マクローリン)が脳出血の発作で亡くなると、中央委員会第一書記のフルシチョフ(スティーヴ・ブシェミ)、秘密警察警備隊長のベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)、スターリンの腹心マレンコフ(ジェフリー・タンバー)らは次期“最高権力”の座を狙い、国葬の裏で互いを出し抜こうと動き出します。

この映画のジャンルはコメディーとなっていますが、正直「ここで笑っていいのかな」と思ってしまう展開が続きます。確かにブシェミらの名演技は面白く、卑劣な登場人物たちのやり取りがおかしいのですが、誰一人応援したくなる人は見つからないし、国民や部下を恐怖で支配してきたスターリンがやっといなくなったのだから、一人くらいまともな正義感を持った人がいてもいいのに、と苦笑するしかない感じ。でも、これは実話に基づいている映画なので、当時のロシア(ソ連)ってやっぱり怖かったんだなぁと痛感します。ロシア政府が上映を禁止しているのにも納得の真っ黒な内容の映画です。

◆『スターリンの葬送狂騒曲
2018年8月3日(金)ロードショー
© 2017 MITICO • MAIN JOURNEY • GAUMONT • FRANCE3 CINEMA•AFPI•PANACHE•PRODUCTIONS•LACIECINEMATOGRAPHIQUE• DEATH OF STALIN THE FILM LTD
スターリン政権の恐ろしさを知る『チャイルド44 森に消えた子供たち』
『チャイルド44 森に消えた子供たち』
スターリン独裁政権下のソ連の内幕を暴いた、トム・ロブ・スミスのミステリー小説を映画化。『スターリンの葬送狂騒曲』とは対照的なシリアスな作品。こちらは、原作がロシアで発禁本となっています。

1953年、スターリン政権は夢のような理想国家を標榜していたため、犯罪の存在を認めていませんでした。そんな中、子供たちの変死体が次々と発見され、死因は山間にもかかわらず溺死。ところが“殺人は国家が掲げる思想に反する”ため、全て事故として処理されてしまいます。秘密警察の捜査官レオ(トム・ハーディ)は、親友の息子の死をきっかけに事件解明に乗り出すのですが…。

誰がどう見ても連続殺人事件なのに、無理やり事故で処理させるという、スターリン政権の恐ろしさを知り、本当に背筋が凍りつく思いでした。大勢の子供が殺されていても、犯人を捜すことを禁じ、真実が容易に歪められ、逆らえばすぐに処刑されていたなんて…。原作は、2009年の「このミステリーがすごい!」海外編第1位を獲得。トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパスらが共演した傑作ミステリー映画となっています。
スターリン以降のフルシチョフ指導下の時代『ガガーリン 世界を変えた108分』
ガガーリン
人類初の有人宇宙飛行を成功させたユーリー・ガガーリンの半生を綴った伝記アドベンチャー映画。

1961年4月12日、ソ連の宇宙船ボストーク1号に乗ったガガーリン(ヤロスラフ・ジャルニン)は、前人未到の有人宇宙飛行に挑むため、たった一人で宇宙へ。貧しい農村に生まれた彼は、3000人以上の空軍パイロットの中から精鋭20人の候補生の一人として選抜され、過酷な訓練を耐え抜いていきます。

スターリン亡き後、マレンコフとフルシチョフによる共同指導体制が始まり、1955年にマレンコフが失脚。この映画では、最高指導者となったフルシチョフが、アメリカよりも先に有人宇宙飛行を成功させようと躍起になっている様子が描かれています。『スターリンの葬送狂騒曲』でスティーヴ・ブシェミが演じたフルシチョフのその後を見るようで興味深いです。大きなプレッシャーのもと、108分の孤独な宇宙の旅の末、無事帰還したガガーリン。ソ連の政治的背景を知った上で、彼の生きてきた時代を本作で見ると、当時のロシア(ソ連)の情勢が分かりやすく伝わってきます。
80年代に入っても海外旅行さえ厳しかった『ホステージ 戦慄のテロ計画』
ホステージ 戦慄のテロ計画
法を破ってでも「海外に自由に行きたい」という思いから、飛行機をハイジャックした若者たちの実話を基にしたクライム・サスペンス映画。

1983年、渡航の自由を求めるニカ(イラクリ・クヴィリカーゼ)たち7人は、ニカとアンナ(ティナ・ダラキシュヴィリ)のハネムーンを装い、航空機をハイジャックします。乗客・乗員8名の死者を出す大惨事となった挙句、ニカたちはソ連の特殊部隊に制圧され、捕えられます。

タイトルには“テロ計画”とありますが、ほとんど無計画のまま飛行機に乗り込んだニカたち。小型機のはずが大型機に変更されるなど、予期せぬ展開になった時点でハイジャックは容易ではなくなったため、実行をやめるべきでした。それでも無理に決行したせいで、無関係の人を巻き込む大事件になったのに、社会主義国家だったソ連は、極刑となった犯行グループの埋葬地さえも公表していません。1983年という、それほど遠い昔でもない頃に、まだ海外渡航も認められておらず、社会主義国家に守られて暮らすことがどれほど幸せか強調していた当時のロシア(ソ連)を知ることができる必見作です。

1991年にソ連が崩壊するまでの、ロシアの過去を知る4本の映画を紹介しました。『スターリンの葬送狂騒曲』の公開を機にロシアの歴史が気になった人、またはワールドカップを見て、「ロシアってどんな国だったかな?」と思った人は、この機会にぜひ映画でロシアを学んでみてはいかがでしょうか。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

Banner

関連するポスト

Copyright (C) GAGA Corporation. All Rights Reserved.
GAGA