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松岡茉優もいた!今、大活躍の若手実力派はみな“あの映画”出身

2018.08.15(Wed) | 上原礼子

この夏、ENBUゼミナール発の『カメラを止めるな!』が満席続出で拡大公開となり、映画界のちょっとした事件となっています。劇場アニメ『この世界の片隅に』もそうでしたが、映画を観た方たちの口コミが大きな原動力となっている様子。
思えば、神木隆之介や橋下愛、東出昌大ほか、是枝裕和監督のパルム・ドール受賞作『万引き家族』で注目を集める松岡茉優や、気鋭監督に続々と起用されている太賀など、次世代を担う若手俳優が勢ぞろいした2012年公開の青春映画『桐島、部活やめるってよ』もSNSでの口コミから広がっていきました(“ゾンビ映画”という共通項も)。そこで今回は、『桐島』俳優たちのその後の仕事ぶりに注目してみました!

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『万引き家族』でも注目!松岡茉優の初主演映画『勝手にふるえてろ』
勝手にふるえてろ_poster
子役から活動していた松岡茉優さんは、オーディションにより桐島、部活やめるってよ(以下、『桐島』)に抜擢。桐島と並ぶ人気男子・宏樹(東出昌大)の彼女で、学校一の人気女子・梨紗(山本美月)とつるんでいることがステータスと思っている沙奈役を務めており、ヒールともいえる役回りでした。また、ちはやふるシリーズでの“クイーン”若宮詩暢役でも知られます。是枝組初参加となった『万引き家族』では女子高生コスプレ見学店で働く、おばあちゃん子の亜紀役に。誰が欠けても“家族”たり得なかった柴田家の一員として、好演を見せました。

そんな松岡さんの、満を持しての初主演作が『勝手にふるえてろ』。2017年、第30回東京国際映画祭では観客賞とともに、松岡さん自身も新進若手俳優に贈られる「東京ジェムストーン賞」を受賞しました。芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を原作した傑作ラブコメディで、『モンスター』『恋するマドリ』の大九明子監督がメガホンをとっています。

主人公となるのは、絶滅動物をこよなく愛する、彼氏いない歴24年のOL・ヨシカ。10年間も脳内で片想いしている中学時代の同級生・イチ(北村匠海)と、人生で初めて告白された“ちょっとウザい”会社の同期・ニ(渡辺大知)の間で揺れます。

イチ本人や周囲にばれないために体得した、視野の端で対象をとらえる“視野見”や、切れ味鋭い毒舌を事あるごとに炸裂させるヨシカですが、あるとき、残酷ともいえる現実が突きつけられることに。“こんな私ごときは絶滅すべきでしょうか?”ーーそんな言葉に乗せて急展開を見せたその先に、“脳内片想い”と“リアル恋愛”を行き来する愛すべき妄想女子の大成長が待ち受けています。
太賀が“ヒモ男”!? 歌声も披露『南瓜とマヨネーズ』
南瓜とマヨネーズ
『桐島』では、バレー部キャプテン・桐島が部活を突然やめることに戸惑う控え選手・風助を演じていた太賀さん。これまで、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞の深田晃司監督淵に立つ、中川龍太郎監督の走れ、絶望に追いつかれない速さでの主演、杉野希妃主演・プロデュースの禁忌などで鮮烈な印象を残してきましたが、今年も深田監督との再タッグ作『海を駆ける』が公開され、吉田羊と親子役を演じる『母さんがどんなに僕を嫌いでも』、是枝監督の総合監修によるオムニバス『十年 Ten Years Japan』などが待機しています。

魚喃キリコの原作コミックを冨永昌敬監督が映画化した『南瓜とマヨネーズ』では、売れないミュージシャンの卵・せいいち役に。方向性の違いからバンドを1人脱退した彼は、ライブハウスで出会ったツチダ(臼田あさ美)と同棲中ですが、仕事もせずにダラダラと過ごす毎日。今、何かと話題の“ヒモ”状態です。彼女がキャバクラで働き始め、客(光石研)と愛人関係となって生活費を稼いでいることを知ると、心を入れ替えたように働き始めます。そんな矢先、ツチダは昔の恋人・ハギオ(オダギリジョー)と再会し……。

かつてどうしようもなく好きだったプレイボーイと、その才能と夢に惚れ込んだ年下の男性の間で、ツチダは揺れます。オダギリさんが大人の色気たっぷりにモテ男を演じてドキドキしますが、注目はツチダが惚れたせいいちの才能が披露されるラストシーン! 太賀さんの澄んだ歌声と優しい歌詞の世界観により、深い余韻にひたることができます。

ちなみに、『桐島』のバドミントン部員・実果役の清水くるみがツチダのキャバ嬢仲間、帰宅部・友弘役の浅香航大がせいいちのバンド仲間として出演しています。
神木隆之介の成長もここに!『3月のライオン』前後編
3月のライオン_前編
『桐島』で映画部部長の前田涼也を演じた神木隆之介さん。その後もバクマン。をはじめ、君の名は。や『メアリと魔女の花』では声優も務め、最近ではTVドラマで刑事や弁護士を演じるなど、見事な成長を遂げています。2019年には、有村架純と共演する『フォルトゥナの瞳』、岩井俊二監督の『Last Letter』と2作のラブストーリーへの出演が決まっています。

前田のように、とてつもない熱量を内に秘めたオタクっぽい役柄は神木さんの真骨頂といえ、羽海野チカによるベストセラーコミックを原作にした『3月のライオン』で演じた孤独な高校生プロ棋士・桐山零は、そのルックスも相まって原作ファンやアニメファンも納得のキャスティングといわれました。『るろうに剣心』シリーズに続く大友啓史監督とのタッグです。

零は、「将棋しかない」と好きなことを生業に選んだはずなのに、のめり込めばのめり込むほどに傷ついていきます。頭脳も、肉体も、精神もすべて捧げて繰り広げる、プロ棋士たちとの真剣勝負の数々には、こちらも前のめりで熱くなるばかり。その弱々しいほどの外見とは裏腹に、まるで呪縛のような将棋への愛憎を体現し、1歩ずつ、1局ずつ成長していく姿は壮観ですらあります。
東出昌大が天才棋士・羽生善治になり切る『聖の青春』
聖の青春
パリコレモデルから『桐島』の菊池宏樹役に抜擢され、俳優デビューした東出昌大さん。今年は“東出YEAR”ともいえるほどで、綾野剛×宮藤官九郎×石井岳龍監督による『パンク侍、斬られて候』、瀬々敬久監督による構想30年という『菊とギロチン』、カンヌ国際映画祭コンペ部門に出品された一人二役の『寝ても覚めても』などに出演しています。

こちらも将棋の話ですが、実話ベース。100年に1人といわれる天才棋士・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称されながらも、1998年8月8日、29歳の若さで亡くなった“怪童”村山聖を松山ケンイチが驚異の体重増量で熱演します。そんな本作で、東出さんは髪をかく仕草や理屈っぽい語り口などを完全マスターし、羽生善治になりきっています。しかも、劇中でかけているメガネは、実際にご本人が史上初の七冠達成時にかけていたものを譲り受けたとか。

この映画での東出さんは、彼史上最高レベルの演技ではないかと思います。松山さん演じる村山と対局を離れて“サシ呑み”したシーンの回想が入りつつ、松山さん、東出さんがすべての棋譜を覚え、約3時間にもおよぶ長回しを行ったクライマックスはまさに命を賭けた勝負であり、胸に迫ります。
橋本愛が自給自足で充電!『リトル・フォレスト 夏・秋/冬・春』
リトル・フォレスト夏秋
『桐島』での橋本愛さんは、人気者女子グループの中に一応いるものの、“桐島騒動”を少々冷めた目で見ているバドミントン部の東原かすみを演じていました。『桐島』の吉田大八監督による『美しい星』も記憶に新しいですが、今秋には地元・熊本を舞台にした『オズランド』、山内マリコ原作×廣木隆一監督の主演作『ここは退屈迎えに来て』が控えています。

春夏秋冬の4部作となるこの映画で演じるのは、一度都会に出たものの、自分の居場所を見つけられず、故郷の小さな山村に帰ってきた女性・いち子。この村ではほぼ自給自足の生活で、稲を育て、畑仕事をし、山菜や木の実など四季折々に採れるものを“食べ物”にするべく、手間暇かける日々が続きます。その時々で思い出すのは、ある日、突然出ていった母(桐島かれん)のこと。そんな母を思い出しつつ、命を大事にいただきながら、いち子は元気を取り戻していくのですが…。

食のドキュメンタリー映画『eatrip』で監督を務めたフードコーディネーター・野村友里のディレクションのもと、橋本さん自身が料理を行い、時にはアイガモを自らさばいたりも! 真剣に自然の恵みと向き合っている姿は必見です。「あまちゃん」と『桐島』で共演している松岡さんも、幼なじみ役で登場。喧嘩をしてもカレーを食べながら仲直りできる、2人の微笑ましい友情にも注目です。

彼らにとって、“『桐島』の~”という形容詞はこれからもついて回るとは思いますが、ここ最近は、それぞれが新たな代表作を手にしており、実に頼もしい限り。今後の活躍がますます楽しみな彼らの実力を、堪能してみませんか。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当し、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録を随時更新中。映画を通じて悲嘆を癒やす【映画でグリーフワーク】を試みています。

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