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映画ファン必見!監督・脚本家・製作者…多才な俳優ジョエル・エドガートンに迫る

2018.11.14(Wed) | 上原礼子

近年、自分の出演作のプロデューサ-を務める俳優は多いものですが、ジョエル・エドガートンの場合は実力派俳優としてはもちろん、監督、脚本家としても一目置かれる存在となっています。スマッシュヒットした初監督作のサイコスリラー『ザ・ギフト』で彼を知った、という人も多いかもしれません。最新作でも、観る者の心理を極限まで追い込む、新たな“シチュエーション・スリラー”の製作総指揮・主演を務めています。

極限心理スリラーで製作総指揮・主演『イット・カムズ・アット・ナイト』
イット・カムズ・アット・ナイト
オーストラリア出身のジョエル・エドガートンといえば、『キンキー・ブーツ』や『アニマル・キングダム』ゼロ・ダーク・サーティ『華麗なるギャツビー』『ブラック・スキャンダル』など数々の話題作を、確かな演技力で支えてきた実力派。そんな彼が、異色青春ホラーイット・フォローズの製作陣と『ムーンライト』『エクス・マキナ』などで知られるスタジオ「A24」と組んだのが本作です。1988年生まれの新鋭監督トレイ・エドワード・シュルツの才能にほれ込んだジョエルが、製作総指揮に名乗りを上げています。

舞台は、森深い一軒家。夜にやってくる“それ”の感染から逃れるため、ジョエル演じるポール一家はサバイバル生活を強いられています。そこにある日、都市部から逃げてきた若い夫婦(クリストファー・アボット&ライリー・キーオ)と幼い息子が加わります。この“よそ者”に対する猜疑心や警戒心はやがて少しずつ信頼へと変わり始めますが、“それ”は確実に彼らに忍びよっていたのです!

外部から迫ってくる恐怖のみならず、隔離された空間に共存することで心身ともに追い詰められ、疲弊していく2組の家族。ポールの息子(ケルビン・ハリソン・ジュニア)は悪夢を繰り返し見るようになります。父・ポールは家族を守りたい一心で時に高圧的にもなり、やむを得ない選択を繰り返していくのですが……。極限の心理状態を迎えた彼らの行く末を、ぜひスクリーンで確かめていただきたいと思います。

◆『イット・カムズ・アット・ナイト』 11月23日(金・祝)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ
製作総指揮・主演:ジョエル・エドガートン
(C)2017 A24 Distribution,LLC
真綿で首を絞められるような戦慄…初監督&脚本『ザ・ギフト』
ザ・ギフト
『パラノーマル・アクティビティ』シリーズや『ゲット・アウト』などのヒットメーカー、ジェイソン・ブラムを製作に迎えた『ザ・ギフト』(2015)で、ジョエルはオリジナル脚本に初監督、製作、出演と1人4役を務めました。全米では4週連続トップテン入りのスマッシュヒットを記録し、独特の贈り物文化や手土産の習慣がある日本でも戦慄をもって受け入れられました。『イット・カムズ・アット・ナイト』の予習としてもオススメです。

故郷で新生活をスタートさせたサイモン(ジェイソン・ベイトマン)とその妻ロビン(レベッカ・ホール)の前に現れたのは、彼の高校時代の同級生を名乗る男・ゴード。再会を喜ぶ彼から夫婦に“ギフト”が届くようになりますが、それは次第にエスカレート。2人が違和感を覚えるころには、時すでに遅しで……。

意外な相手から予想だにしないタイミングで、執拗に繰り返される奇妙な贈り物の数々。じわじわと迫り来る、異様な男の“最後のギフト”に震撼してみてください。
紆余曲折あった西部劇で脚本も担当『ジェーン』
ジェーン
ナタリー・ポートマンが愛する家族のために闘う母親を演じた『ジェーン』(2016)。彼女はハリウッドの優秀脚本“ブラックリスト”選出の脚本を何としても映画にしたかったのですが、監督の交代劇があったり、敵役となるギャング団のボスがマイケル・ファスベンダー、ジュード・ロウ、ブラッドリー・クーパーらが降板してなかなか決まらなかったりと、完成・公開までに3年近くもかかった渾身作。

ジョエルが演じたのは、南北戦争の英雄でジェーンのかつての恋人ダン・フロスト。ギャングのビショップ一家に襲われ、傷を負った夫と幼い娘を守るため、やむを得ず銃をとるジェーンから加勢を頼まれる、という役回り。ジェーンとの間にほろ苦い過去を持つアウトローを好演するとともに、脚本の仕上げにも関わっています。また、ギャングのビショップ役には最終的にユアン・マクレガーが収まり、『スター・ウォーズ』新3部作のキャストがそろう形に。
トム・ハーディとの“兄弟”対決に号泣『ウォーリアー』
ウォーリアー
俳優としても、素晴らしい才能の持ち主であるジョエル。『ジェーン』の監督がギャヴィン・オコナーにすぐ決定したのも、この傑作『ウォーリアー』(2011)での出会いがあったからでしょう。ともにレスリングをして育ちながら、アルコール依存の父親(ニック・ノルティ)が原因で離ればなれになっていた兄弟が総合格闘技の対戦相手として再会する様を、トム・ハーディと本格的に体をつくって熱演します。

父親から逃れるため母親と家を出た弟トミーが、14年ぶりに戻ってくるところから物語は始まります。高額の賞金がかけられた総合格闘技イベント「スパルタ」に出場するため、因縁のある父親にコーチを依頼するトミー。一方、兄ブレンダン(ジョエル)は病気の娘に高額な医療費がかかり、自己破産の危機に。「スパルタ」で大金を稼ぐことを決意します。臨場感溢れる格闘シーンの中で放たれる「I love you.」のセリフが、熱い涙を誘うこと必至。
アメリカの法を変えた実在の夫婦を好演『ラビング 愛という名前のふたり』
ラビング 愛という名前のふたり
英国俳優コリン・ファースが映画化を熱望し、自ら製作を買って出た『ラビング 愛という名前のふたり』(2016)。異人種間の結婚が禁じられていた1950年代の米バージニア州を舞台に、愛する妻と家族を守ろうとした武骨で実直なリチャード・ラビングになりきり、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされるなど絶賛された作品です。

「ただ一緒にいたい」夫婦のささやかな願いが綴られた手紙が当時のロバート・ケネディ司法長官からアメリカ自由人権協会(ACLU)へと伝わり、ようやく道が開けそうになったとき、外へ外へと向いていく妻とは対照的に自身の不甲斐なさに静かに涙する男は、それまでの屈強で勇猛果敢なイメージをガラリと変えてくれました。妻役ルース・ネッガと体現した、お互いを慈しみ合うラビング夫妻の生き様は切なくも温かい何かを心に残してくれます。

これらの作品以外にも、2013年に主演・脚本・製作を務めたクライムサスペンス『ディスクローザー』や脚本のみ手がけた世紀末アクション『奪還者』が相次いで日本公開されたり、実兄ナッシュ・エドガートンの監督作品でも原案や脚本を担当していたりと、“能ある鷹は爪を隠す”だったジョエル。アメリカで公開中の監督最新作『Boy Erased』(原題)にはニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、ルーカス・ヘッジズらが出演しており、すでに絶賛を受けている様子。もしかしたら、俳優賞より先に監督賞や脚本賞を手にするかもしれない彼に今こそ注目です。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当し、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録を随時更新中。映画を通じて悲嘆を癒やす【映画でグリーフワーク】を試みています。

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