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実在した女性たちの波乱の人生を映画で観て刺激をもらおう!

2018.11.28(Wed) | 清水久美子

エル・ファニングが、ゴシック小説の金字塔「フランケンシュタイン」をわずか18歳で書いたメアリー・シェリーを演じている『メアリーの総て』が日本上陸! 本作の公開を記念し、実在した女性たちの波乱万丈な人生を描いた映画を5本紹介します。

「フランケンシュタイン」の作者をエル・ファニングが蘇らせる『メアリーの総て』
メアリーの総て
英文学史に名を残す女流作家でありながら、これまであまり知られていなかったメアリー・シェリー。彼女が18歳の時に執筆した、恐ろしい“怪物”の物語「フランケンシュタイン」は、誕生から200年もの間、愛され続けています。メアリーはどのような人生を送り、どのようにして“怪物”を生み出したのでしょうか? 

19世紀のイギリス。作家を夢見るメアリー(エル・ファニング)は、継母と折り合いが悪く、執筆活動もままなりません。父の友人の家で暮らし始めたメアリーは、“異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリー(ダグラス・ブース)と運命的な出会いを果たします。情熱に身を任せ、妻子のいるパーシーと駆け落ちしたメアリーでしたが、その先に待っていたのは深い哀しみと喪失感でした…。

ネオン・デーモンなど多くの映画で大活躍している人気若手女優、エル・ファニングがメアリーを熱演。恋に落ち、幸せを求めてもうまくいかず、“不幸”や“死”に付きまとわれたメアリーだからこそ書けた世紀の傑作「フランケンシュタイン」。孤独な“怪物”を生み出すに至ったメアリーを、エルが見事に蘇らせています。

◆『メアリーの総て
2018年12月15日(土)シネスイッチ銀座、シネマカリテほか 全国順次公開
© Parallel Films (Storm) Limited / Juliette Films SA / Parallel (Storm) Limited / The British Film Institute 2017
独創的な写真家の誕生秘話『毛皮のエロス/ダイアン・アーバス 幻想のポートレイト』
毛皮のエロス
20世紀、アメリカの写真界に大きな影響を与えた芸術家、ダイアン・アーバスへのオマージュとして作られた異色の映画作品。オスカー女優のニコール・キッドマンが、愛と欲望の迷宮に入り込み、やがて強烈で独創的な写真家へと変貌するヒロインを大胆に演じています。

1958年、ニューヨーク。裕福な家庭に育ったダイアン・アーバス(実際には「ディアン」と発音。劇中でもそう呼ばれています)は、ファッション・カメラマンである夫アラン(タイ・バーレル)のアシスタントとして働いています。内気で献身的な妻、そして優しい母である彼女は、実は自分のいる世界に居心地の悪さと不安を感じていました。そんなある日、ダイアンは隣に越してきた、マントとマスクで全身を隠したライオネル(ロバート・ダウニーJr.)に激しく心を奪われます。意を決した彼女は、カメラを手に彼の部屋を訪れるのですが…。

異形の人々に強く惹かれ、夢中になっていくダイアン。夫に大切にされ、可愛い娘たちに囲まれて、何不自由ない暮らしをしていた彼女の内面の変化をニコール・キッドマンが秀逸に演じています。一流の芸術家は、やっぱり“平凡”とは程遠いことを実感する映画です。
二人の男の間で揺れ動く女の業『夏の終り』
夏の終り
瀬戸内寂聴の自伝的ロングベストセラー小説の映画化。作者自ら最も原作に近いと語る、センセーショナルな愛の物語を満島ひかりが演じています。

かつて夫と子供を捨て、年下の涼太(綾野剛)と駆け落ちした知子(満島ひかり)。現在は、妻子ある年上の作家・慎吾(小林薫)と暮らしており、長年が経過。慎吾は妻のいる家と知子の家を週にきっちり半々行き来していますが、知子は彼に離婚してほしいとは考えていませんでした。でも、知子は涼太と再び関係を持ってしまい、気持ちが揺れ動いていきます。

年上の男との穏やかな愛の生活と、年下の男との激しい愛欲を同時に体験する知子。瀬戸内寂聴の経験を基に描かれた本作は、映像化されたことで現実味を帯び、とても生々しく、主人公の葛藤や欲望が強く伝わってきます。
毒母の仕打ちを暴く娘が監督『ヴィオレッタ』
ヴィオレッタ
1977年、母親が幼い娘のヌードを撮った衝撃的な写真集が出版され、物議を醸しました。それから34年を経て、その娘であるエヴァ・イオネスコが自らメガホンを取り、自身の実体験を映画化。母親を憎み続けた彼女の思いが映し出されています。

ヴィオレッタ(アナマリア・バルトロメイ)は、滅多に家に帰ってこない母アンナ(イザベル・ユペール)が恋しく、母の愛情を求める日々を送っています。アンナの母親も早くに家を出てしまい、祖母にヴィオレッタを預けっぱなしにしているアンナ。ある日、写真を始めたアンナは、ヴィオレッタをモデルに撮影を開始。母親に気に入られたいヴィオレッタは言われるままにポーズを取っていましたが、アンナの要求は徐々にエスカレートしていき、服を脱ぐようにと指示を出します…。

フランスの至宝イザベル・ユペールが、自分の思い通りに娘を動かそうとする母を怪演。本作でデビューしたルーマニア出身のアナマリア・ヴァルトロメイは、妖艶な美少女ヴィオレッタを演じて、強い印象を残しています。娘本人が、究極の“毒母”の仕打ちを暴いた本作は強烈です。
音楽を愛しているのに音痴という悲哀『偉大なるマルグリット』
偉大なるマルグリッド
実在の“伝説の音痴の歌姫”を、セザール賞に輝くカトリーヌ・フロが愛らしく演じたフランス映画。

1920年、パリからそう遠くない貴族の邸宅。男爵夫人のマルグリット(カトリーヌ・フロ)は音楽をこよなく愛し、サロン音楽会を開いていました。そこで歌を披露するマルグリットでしたが、彼女は絶望的なほど音痴なのに、儀礼的な貴族たちから拍手喝采を受け、本人は音痴だと気付いていませんでした…。

後にメリル・ストリープ主演のマダム・フローレンス! 夢見るふたり(※青山シアター配信中)も公開された、アメリカのソプラノ歌手フローレンス・フォスター・ジェンキンスの実話を基にした作品。彼女は音楽的才能に全く恵まれませんでしたが、堂々とした型破りな歌いっぷりで大人気を博しました。フランスを舞台にした『偉大なるマルグリット』では、本心を表に出さない貴族に囲まれている設定にしており、より“裸の王様”的な滑稽さが際立っていますが、カトリーヌ・フロが演じるヒロインが愛らしく、応援したい気持ちが強くなります。

様々な人生を送り、多くの人に影響を与える実在の女性たち。映画化された彼女たちの経験からは、きっと何かしらの刺激をもらえると思います。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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