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登場人物が全員クズ!? 共感できなさすぎてむしろ面白い映画5選

2019.01.23(Wed) | 清水久美子

映画は、時に観る者の気持ちを非日常的な場所へと連れて行ってくれます。中には非日常的すぎて、登場人物の誰一人として共感できないような作品もあり、そういった映画は監督の狙いが面白く、むしろ気になって仕方なくなります。ちょっと言葉は悪いですが、今回はキャラクターがクズばっかりの映画を5本集めてみました。

実在の悪人家族を描く『全員死刑』
全員死刑
家族4人全員に死刑判決が下った実話を基にした“狂悪”エンターテインメント。朝ドラ『半分、青い。』に出演して注目を集めた間宮祥太朗の映画初主演作。

弱小ヤクザ一家の次男タカノリ(間宮祥太朗)はとても家族思いで、家族のためならどんな悪事だろうと躊躇しません。組長の父テツジ(六平直政)が借金を抱えたため、近所の資産家一家の現金強奪を計画。姑息な兄サトシ(毎熊克哉)と共に犯行に及びますが、タカノリはその家の息子を殺害してしまいます。一人殺すなら全員…と、家族総出で資産家一家狩りを始めるのですが…。

実際に起きた「大牟田4人殺人事件」の死刑囚の一人である次男の獄中での手記を基にした、鈴木智彦による「我が一家全員死刑」を小林勇貴監督が映画化。金髪オールバック、タトゥー姿の間宮のブッ飛んだ演技が強烈です。兄サトシを演じる毎熊も朝ドラ『まんぷく』に出演していますが、朝ドラ俳優2人が演じる本作の狂気的な兄弟はまさにクズ! 子供もクズなら親もクズで、とんでもない実話を扱っているにもかかわらず、思わず笑ってしまう面白さがあります。
人の嫌な面が浮き彫りになる『愚行録』
愚行録
誰もが羨むような幸せな家族を襲った一家惨殺事件の真相を探ると、そこに関わる人々は全員クズのような身勝手な人物ばかり…。第135回直木賞候補となった貫井徳郎による原作小説の映画化で、妻夫木聡主演、満島ひかり共演のミステリー。

週刊誌の記者である田中(妻夫木)は、迷宮入りとなっている一家惨殺事件の真相を追っていました。育児放棄の疑いで逮捕された妹の光子(満島)が気にかかる中、被害者夫婦の関係者に会って取材をする田中は、理想的に見えた夫婦の実像や、証言者たちの裏の姿を知っていきます。

映画の冒頭の田中の行動からして、信じがたいような嫌な気持ちにさせられるし、彼が会う人はみんな嫌悪感を抱きたくなる男女たちなので、この映画はある意味すごいと感心してしまいました。予告編に「仕掛けられた3度の衝撃」というキャッチコピーがあり、予想を覆す展開が次々と訪れますが、その驚きよりもクズだらけの登場人物たちの印象が強く残る“愚行の記録”だと感じました。
クセモノ8人の騙し合い『ヘイトフル・エイト』
ヘイトフルエイト
クエンティン・タランティーノ監督が仕掛ける極上の密室ミステリー。“憎むべき8人”というタイトルのとおり、登場人物は全員クセモノ。生き残るために嘘ばかりついて騙し合います。

南北戦争後、ワイオミング州の山にあるロッジで、吹雪で足止めされたワケありの7人の男と1人の女が一晩過ごすことに。そこで密室殺人が起こりますが、一体誰が何の目的で殺したのか? 人種も境遇もバラバラの8人の本当の関係や、彼らの目的とは…?

サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーンという演技派8人が、みんな悪~い顔で役になり切り、嘘をついて観客を翻弄します。良い人を見つけようと思っても時間の無駄。憎らしい彼らの全ての会話や視線、素振りなどに緻密で巧妙な伏線が仕掛けられているので、じっくり見ながら謎解きを楽しみましょう!
狂った女医が屈強な男に性転換手術を施す『レディ・ガイ』
レディ・ガイ
凄腕の殺し屋が、意識のない時に男から女に性転換手術をされてしまうという荒唐無稽な異色作。手術をしたのはマッドサイエンティストのような女医ですが、主人公も被害者とは言え殺し屋なので、マトモとは言えません。どっちもどっちで両方ともクズ!?

殺し屋のフランク・キッチン(ミシェル・ロドリゲス)は、銃撃戦で被弾して意識を失ってしまいます。見知らぬ安ホテルのベッドで目覚めたフランクは、全身に包帯を巻かれていることに気付きます。包帯を取って鏡の前に立つと、フランクは女の姿になっていました。復讐のために、フランクに性転換手術を施したというDr.レイチェル・ジェーン(シガニー・ウィーヴァー)。女になったフランクは色気も武器にしながら、銃を手に復讐に燃えます…。

ミシェル・ロドリゲスが体を張って、男から女になった主人公を熱演。狂気の女医を演じるシガニー・ウィーヴァーとの対決が見ものです。
最低な人間たちの歪んだ関係『彼女がその名を知らない鳥たち』
彼女がその名を知らない鳥たち
沼田まほかるの人気小説を豪華キャストで映画化。『孤狼の血』の白石和彌監督が描き出す、共感度0%の歪んだミステリー・ロマンス。

下品で貧相な15歳上の陣治(阿部サダヲ)と暮らしている十和子(蒼井優)は、陣治を激しく嫌悪しながらも、働かずに彼の稼ぎで自堕落な日々を過ごしていました。8年前に別れた黒崎(竹野内豊)を忘れられない十和子は、黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある水島(松坂桃李)と出会い、彼との情事に溺れていきます。陣治は、そんな最低な十和子にどんなに足蹴にされようとも、彼女のためなら何でもすると言い続け…。

主役級の俳優たちが、それぞれ他の作品では考えられないほど最低な役を怪演。蒼井が演じる十和子は“ヒロイン”と呼ぶのもはばかられるほどのイヤ~な主人公。今を時めく人気俳優の松坂も「こんな役をやったら好感度が下がるのでは?」と心配になるほどのゲス男に扮していて、むしろあっぱれ! 全員ここまでやってくれると清々しいです。

ここで紹介した5本は、すべて青山シアターで見ることができるので、ぜひチェックしてみてください。登場人物がクズばかりでも、演じている役者たちが素晴らしく、映画は一級品で面白いものばかりですよ!

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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