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アカデミー賞ノミネート作品も!フランス映画を配信でもっと気軽に

2019.02.01(Fri) | 上原礼子

「小難しそう」「クセが強そう」…こうしたイメージから“ちょっと敷居が高い”と思われがちなフランス映画。現在開催中のオンラインの映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」(myFFF)なら、より気軽にフランス映画の世界に飛び込むことができます。2月25日に発表される第91回アカデミー賞のノミネート作品や期待の若き才能の作品など、初心者でも楽しめるものばかり。自由・平等・博愛の精神を持つフランスの現在を映し出すコメディから、一世を風靡した名作まで5本を紹介します。

第9回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(myFFF2019)
<開催期間:2019.1.18(金)~2.18(月)>

★短編:期間限定無料配信中!
★長編:全8作品パック1200円(税込)がお得!

『野獣』本年度アカデミー賞短編実写部門にノミネート
野獣(短編)
2011年よりスタートしたmyFFFは最新のフランス映画を世界中で同時に紹介、配信するもので、国内未公開のフランス映画をカジュアルに楽しめるとあって利用者が年々増加しています。中でも今年は、第91回アカデミー賞短編実写映画部門にノミネートされている野獣』(原題:Fauve)を期間中は無料で観ることができます。

山あいの廃線で遊ぶ2人の子どもたち。放置された車両の上にのぼったり、石を投げあったり、“どちらかを出し抜いたほうが勝ち”という子どもらしいゲームに興じています。そのうちに入り込んだ大鉱山。やがて、1人が生コンクリートのようにぬかるんだ湿地に足を取られてしまいます。「抜けない、助けて」「その手には引っかからないぞ」そんなやりとりが続くうちに……。

子どもの好奇心や負けず嫌いは止めることなどできないもの。ただ、ときに度を超えてしまい、ヒヤッとした体験は誰しもあるはずです。16分という短編だからこそ持続するその緊張感と、ラストのふいの来訪者に心がつかまれ、深い余韻を残す、さすがの傑作となっています。

第9回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル
配信期間:2019.1.18~2.18
『ディアーヌならできる』代理母だけど恋もしたい!
ディアーヌならできる
「myFFF」長編作品からピックアップしたのは、親友の同性婚カップルのため、代理母になることを引き受けた女性の成長を描く『ディアーヌならできる』。それまで何にも縛られずに生きてきたディアーヌ。妊娠した彼女は修理屋のファブリツィオと出会い、思いがけなく恋に落ちてしまいます。

また、日に日に大きくなっていくおなかのおかげで、ペディキュアも満足に塗れないし、いつも眠くてたまらない。そんな不自由さを実感していくことに。同性カップルのトマとジャックは不安でいっぱい。彼氏のファブリツィオは自分だけが蚊帳の外のような気がしています。

これまでも自由な恋愛観や女性像を数々描いてきたフランス映画ですが、本作は2017年カンヌ・カメラドール(新人監督賞)受賞作『若い女』にも通じるような、新たな女性像が描かれます。たくさん寄り道をしながらも、“変わってみせる”と自らを信じられるようになる力強いヒロインです。そんなディアーヌを演じたクロチルド・エスムは実際に妊娠中で、自らのおなかを惜しげもなく披露、揺れ動く感情をコミカルかつ、繊細に演じます。
『神様メール』神様がパソコンで世界を管理!?
神様メール
「myFFF」には長編・短編作品のコンペティション部門があり、期間後には審査員賞や観客賞などが選ばれます。今年の審査員長を務めるのは、ジャレッド・レト主演『ミスター・ノーバディ』や『トト・ザ・ヒーロー』『八日目』を手がけた寡作の異才ジャコ・ヴァン・ドルマル。

その最新作である『神様メール』(ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作)は、アパートの1室でパソコンを駆使して世界を気ままに管理する神と、そんな父に愛想を尽かした娘がひと騒動巻き起こすキュートなファンタジック・コメディです。

10歳になる神の娘エアは、父がおもしろ半分で人間の運命を狂わせることに憤慨、パソコンにいたずらしようとしたとき、誤って全世界の人々に“余命を知らせるメール”を一斉送信してしまいます。街に飛び出し、自らの余命を知った人間たちとふれ合いながら1つずつ奇跡を起こしていくエア。次回作で是枝裕和監督と組む大女優カトリーヌ・ドヌーブも出演しており、なんとゴリラと熱愛関係に!? そんなシュールなコメディが、これまでの常識を覆す爽快さと温かさを持って結実します。
『最高の花婿』人種や宗教を超えた結婚は世界トップクラス
最高の花婿
フランス映画といえば、すてきな結婚式を描くのも実に巧み。2015年のフランス映画祭で『ヴェルヌイユ家の結婚狂騒曲』として上映され、その後、全国公開された『最高の花婿』は今のフランスを象徴する1作として必見です。本国では国民の5人に1人が見たことになる、1200万人を動員する大ヒットとなりました。

ブルジョワ階級のヴェルヌイユ夫妻には4人の娘がいますが、そのうちの3人がアラブ系、ユダヤ系、中国系の移民2世と結婚。家族が集えば、タブーすれすれの言動が飛び交い、夫妻は異文化交流に疲弊気味。末娘だけは同じカトリックと結婚してくれないかなと思っていたら、連れてきた結婚相手はアフリカ系。しかも、フランス人嫌いの彼の父親が結婚に大反対で……。

多様な人々が共に暮らすフランスは、人種を超えた結婚の数は世界トップクラス。監督自身もアフリカ出身の女性と結婚しており、自らの実体験も映画に盛り込んでいるとか。人種や宗教、文化、慣習を超えるのは寛容と信愛というメッセージが、こんな時代だからこそ響きます。
『なまいきシャルロット』思春期のシャルロット・ゲンズブールがまぶしい
なまいきシャルロット
フランスを代表する女優として年々風格を増し、鬼才ラース・フォン・トリアーの『ニンフォマニアック』『アンチクライスト』などでは大胆な演技を披露するシャルロット・ゲンズブール。ドヌーブの娘役を演じた映画デビュー作『残火』(84)に続き、名匠クロード・ミレール監督のもとで主演を務め、大旋風を巻き起こしたのが1986年の本作です。

夏休みを前に同い年の天才ピアニスト、クララ・ボーマンと出会ったシャルロットは、その才能や美しさ、あまりにも自分とかけ離れた彼女の世界が気になって仕方ありません。自分には、家族と隣家の病気がちの少女ルルくらい。言い表しようのないイライラが募るばかりです。

思春期の始まりはたいがい、こんなふうに気まぐれで生意気なもの。無関心を装っても「男女がキスしてる」と聞けば覗き見したいし、ここではないどこか別の世界があるなら、それを知りたいと思うものでしょう。ドキドキしたり、ツンツンしたり、様々な表情を見せるシャルロット。今聴いても色褪せない主題歌「Sara Perche Ti Amo」のポップさが、その魅力を後押しします。

もちろんこれら以外にも、ハリウッドリメイク版が全米大ヒット中の最強のふたり、今でいう“こじらせ女子”の先駆者『アメリ』、先日亡くなったミシェル・ルグランの音楽が印象的なシェルブールの雨傘ロシュフォールの恋人たちから、女性の社会進出をオリンピックさながらの興奮で描いたタイピストなどもフランス映画入門編として知られるところ。ですが、まずは気軽に旬の作品を楽しめるmyFFFから手を伸ばしてみてはいかがでしょう?

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当し、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録を随時更新中。映画を通じて悲嘆を癒やす【映画でグリーフワーク】を試みています。

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