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地味目の作品でも観ればしみじみ納得!賞レースを席巻する映画

2019.02.06(Wed) | 清水久美子

今年度のゴールデン・グローブ賞で最多となる3冠を獲得した『グリーンブック』。「おじさん二人の物語」などという宣伝文句も飛び出すような、ちょっと地味目の印象の映画かもしれませんが、アカデミー賞受賞にもまっしぐらの勢いで現在賞レースを席巻中です!
今回は、派手さはないものの、観たら納得の賞レース席巻映画を5本紹介します。

世界の映画賞を揺るがせている傑作『グリーンブック』
グリーンブック
インテリで几帳面な黒人天才ピアニストに雇われた、ガサツだけど情に厚いイタリア系用心棒。正反対の二人が、人種差別が残る時代に、特に差別が酷いアメリカ南部へとコンサートツアーに出かける前途多難な旅を描く、実話を基にした感動作。第76回ゴールデン・グローブ賞で作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞し、アカデミー賞最有力との呼び声が高い傑作です。

1962年、ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手としてツアーに同行することに。シャーリーはホワイトハウスで演奏した経験のある天才ですが、南部での演奏ツアーは、差別によって宿泊施設も限定されている黒人にとっては不都合なことばかり。運転手であるトニーは、<黒人用旅行ガイド=グリーンブック>を参考にするよう依頼されるのですが…。

モーテンセンとアリの演技が素晴らしく、グイグイ引き込まれます。トニーとシャーリーの珍道中に笑い、心を通わせていく二人に涙する、心に残る1本です。トロント国際映画祭で観客賞を受賞したのをはじめ、アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞などにノミネート。そのほか数多くの映画賞で受賞やノミネートをされ、賞レースを席巻しています。

◆映画『グリーンブック
2019年3月1日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.
カンヌの常連監督はやはり賞レースを賑わせる『午後8時の訪問者』
午後8時の訪問者
7作品連続カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品の快挙を達成し、パルムドール(最高賞)を二度受賞した名匠、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督による極上のサスペンス映画。

診療所に勤める医師ジェニー(アデル・エネル)は、診療時間を過ぎた午後8時に鳴ったドアベルに応じなかったことを深く悔やみます。その訪問者が翌日、遺体で見つかったためです。訪問者は身元不明の少女で、彼女を救うことができなかったジェニーは、彼女が誰だったのか調べ始めますが、その過程で危険に巻き込まれ…。

主演は、セザール賞を二度受賞した若手実力派女優のアデル・エネル。作品ごとに全く違う顔を見せる彼女は、本作でもジェニーを熱演しており、ヒロインの心の動きと共に、少女の死の真相を見届けたい思いが強くなります。本作は第69回カンヌ国際映画祭・パルムドール候補、第42回セザール賞・外国映画賞候補となり、第41回トロント国際映画祭に正式出品されるなど、賞レースを賑わせました。
80代ベテラン俳優主演作が数多くの賞を受賞『手紙は憶えている』
手紙は覚えている
クリストファー・プラマーとマーティン・ランドー、二人のオスカー俳優が共演。カンヌ・グランプリのアトム・エゴヤン監督による、予想外の展開に驚愕する至極のサスペンス映画。

最愛の妻を亡くしたことさえ覚えていられない90歳のゼヴ(プラマー)は、日ごとに物忘れがひどくなっていました。ある日ゼヴは、友人のマックス(ランドー)から1通の手紙を渡され、家族を殺したナチスへの復讐という使命が自分にあることを知らされます。手紙とかすかな記憶だけを頼りに復讐の旅に出たゼヴでしたが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほど衝撃的な真実でした…。

80代半ばを過ぎてもハンサムなプラマーが、目覚める度に記憶を失ってしまう頼りない主人公の復讐の物語を好演。本作は第72回ヴェネツィア国際映画祭・Vittorio Veneto Film Festival賞、2016年度ACTRA Award・最優秀男優賞、第16回カルガリー国際映画祭・観客賞(ルームと同点首位)、第30回マール・デル・プラタ映画祭・観客賞、2016年カナダ映画賞・オリジナル脚本賞など数々の賞を受賞。2015年トロント国際映画祭にも正式出品されています。
世界が認めた日本人監督が生み出した感動作『ブランカとギター弾き』
ブランカとギター弾き
日本人監督・長谷井宏紀がフィリピンを舞台に、孤児の少女と盲目のギター弾きの“幸せを探す旅”を描き出す心温まるヒューマンドラマ。日本人として初めてヴェネツィア・ビエンナーレ&ヴェネツィア国際映画祭の全額出資を得て製作されました。

孤児のブランカ(サイデル・ガブテロ)は“お母さんをお金で買う”ことを思いつきます。ある日、盲目のギター弾きピーター(ピーター・ミラリ)と出会ったブランカは、ピーターから得意な歌でお金を稼ぐことを教わります。ブランカはピーターと一緒にレストランで歌う仕事を得て、お金を貯めていきますが、思いもよらぬ危険が迫り…。

第72回ヴェネツィア国際映画祭で、マジックランタン賞と、ジャーナリストから贈られるソッリーゾ・ディベルソ賞の2冠を達成。さらに、2016年、サンタンデール国際映画祭、シネキッド映画祭、キノオデッサ映画祭などでグランプリを受賞。2017年、新藤兼人賞・金賞に輝くなど、世界が認めた感動作です。
国内外の映画祭を席巻!齊藤工監督作『blank13』
blank13
人気俳優の斎藤工が「齊藤工」名義で長編監督デビュー。放送作家のはしもとこうじの実話を基に、珠玉の物語を紡ぎ出しています。主演は高橋一生。松岡茉優、リリー・フランキー、神野三鈴、そのほか多彩な俳優陣が集結し、斎藤工自身も出演しています。

借金を残して蒸発し、13年間音信不通だった父の雅人(リリー・フランキー)が余命3カ月だと知らされたコウジ(高橋)。母の洋子(神野)と兄ヨシユキ(斎藤)は父の見舞いを拒否。でも、コウジは子供の頃にキャッチボールをしてくれた優しい父を思い、入院先を訪ねます…。

父の葬式で、参列した父の友人たちが語る父のエピソードによって、コウジは知らなかった父の一面を知り、13年間の空白が少しずつ埋まっていきます。このエピソードを語る場面が、佐藤二朗や村上淳らによって面白く演じられ、齊藤監督の手腕が大いに発揮されています。

第20回上海国際映画祭(アジア新人賞部門)で日本人俳優として初となる最優秀監督賞を受賞。第15回ウラジオストク国際映画祭では、高橋一生、リリー・フランキー、斎藤工の3人が最優秀男優賞トリプル受賞(日本人初、映画祭史上初)。第3回シドニー・インディ映画祭では4部門(最優秀脚本賞、最優秀楽曲賞、最優秀編集賞、最優秀ドラマ賞)にノミネートされ、最優秀脚本賞を受賞するなど、国内外の数々の映画祭を席巻しました。

2月24日(現地時間)に開催される第91回アカデミー賞授賞式。『グリーンブック』の受賞に期待しつつ、納得の賞レース席巻映画をぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

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