ホーム > 【これは観ておきたい!平成の映画vol.3】平成ニッポンの笑いをスクリーンにぶつけた爆笑5作品はコレだ!編

【これは観ておきたい!平成の映画vol.3】平成ニッポンの笑いをスクリーンにぶつけた爆笑5作品はコレだ!編

2019.04.10(Wed) | 斎藤香

いつの時代もコメディは必要不可欠。社会で何が起ころうと笑いのない世界なんて空し過ぎる! ブラックコメディなどはまさに時代を映す鏡なのです。というわけで、平成時代を代表するニッポンのコメディ映画を集めてみました。いずれも青山シアターで見られる作品です。

『ラヂオの時間』
ラヂオの時間
三谷幸喜の初監督作品で、自身が主宰していた劇団「東京サンシャインボーイズ」の舞台劇の映画化。テレビドラマでは人気脚本家として「王様のレストラン」「古畑任三郎」などの作品で高視聴率を獲得してきた三谷監督。本作は満を持してのデビュー作です。

生放送のラジオドラマで脚本家デビューすることになった主婦(鈴木京香)だったけれど、主演女優(戸田恵子)がセリフを変えてくれと言ったのを発端に、スタジオ中はもめごとが次々と! プロデューサー(唐沢寿明)は大慌てで脚本は改変を重ねて、メロドラマがアクションドラマになってしまう……。

生放送までの間にコロコロ変わっていく脚本にスタッフが右往左往する姿に爆笑必至。テレビ局内の限られた空間の中で、多くの登場人物たちの間でテンポのいいセリフが飛び交い、一気に見せてしまう。三谷監督、デビュー作とは思えないクォリティです。この映画以降、三谷監督は平成で7作品の映画を作っており、大作映画を担う人気映画監督になりますが、小品ながら面白さがギュっと凝縮された本作が個人的には一番面白いと思います。(1997年度作品)
『ゲロッパ!』
ゲロッパ
井筒和幸監督が描いた人情喜劇で、「ゲロッパ!」とは、伝説のソウルシンガー、ジェームス・ブラウンの代表曲「セックス・マシーン」の歌詞 “Get up”のこと。日本人には「ゲロッパ」と聞こえることからついたタイトルです。

数日後に収監されることに決まったヤクザの組長・羽原(西田敏行)には願いが二つありました。「生き別れた娘のかおり(常盤貴子)に会いたい」&「ジェームス・ブラウンのライブを見たい」。その夢を叶えるために子分たち(山本太郎、桐谷健太)は、ジェームス・ブラウンを誘拐するのですが、それはソックリさんだったのです!

『のど自慢』(1999)で抜群のお笑いセンスを炸裂させた井筒監督が、再び笑わせてくれたのが本作。子分が誘拐したソックリさんは娘が関わっているイベント会社が雇ったタレントで、父と娘が思いがけない再会をするという「そんなバカな」という展開なのですが、役者の魅力を最大限に活かす演出、一筋縄ではいかないストーリー、誰もが共感できる感動は井筒監督の強み。平成の映画ですが、いい意味で昭和を感じさせる泥臭さがあり、こんな映画を撮れるのはベテランの技。新時代でもこのノリで井筒映画をどんどん作ってほしいです。(2003年度作品)
『鴨川ホルモー』
鴨川ホルモー
万城目学の同名原作を本木克英監督で映画化。奇想天外なサークル活動に巻き込まれていく大学生を山田孝之が演じた想像の上をいく爆笑コメディです。

二浪の末。京大に入学した安部(山田孝之)は高村(濱田岳)と一緒に「青龍会」というサークルに誘われて入部します。ところがこのサークルは小さな式神の集団を操ってバトルする伝統の祭り“ホルモー”を行うサークル。練習ではとても恥ずかしいポーズを取らされ、オニ語を操らなくてはならなかったのです。

大学対抗“オニ合戦”とともに、恋愛や友情も描かれ、やる気のない大学生だった主人公が奇怪なサークル活動に力を注いでいく様をユーモアたっぷりに描いています。全力でバカなことをする青春の楽しさを奇想天外な原作の世界観そのままに描いたアクの強さが魅力で、役者陣では、山田孝之、濱田岳、荒川良々が素晴らしく、平成時代、映画やドラマの世界で彼らが大きく飛躍したのもこの映画を観ると納得。特に荒川良々は「青龍会」会長の菅原を演じられるのは彼しかいないと思わせる怪演です!(2009年度作品)
『テルマエ・ロマエ』
テルマエロマエ
ヤマザキマリの同名ベストセラー漫画を実写映画化。ローマ人を阿部寛はじめ濃い顔の日本人俳優が演じるというビックリのキャスティングで公開時話題を呼んで大ヒット。2014年には『テルマエ・ロマエⅡ』も公開された。

古代ローマで浴場設計技師をしていたルシウス(阿部寛)は、公衆浴場で溺れた拍子に現代の日本の銭湯にタイムスリップ。その施設の素晴らしさに感動し、たびたび日本と古代ローマを行ったり来たりすることに……。

古代ローマから日本の銭湯へという突拍子もない設定、生真面目すぎるルシウスのキャラクターの面白さなど原作の面白エキスを濃い目に注入したのが大成功。ヨーロッパ最大の映画撮影所であるヌ・ボヤナ・フィルム・スタジオに2000年前の古代ローマの町並みやコロッセオを再現するという力の入れ方に原作へのリスペクトを感じます。武内英樹監督は『のだめカンタービレ』『翔んで埼玉』など平成のコメディ映画を支えた映画人のひとり。今後も傑作コメディ映画をたくさん見せてほしいです。(2012年度作品)
『帝一の國』
帝一の國
菅田将暉、竹内涼真、志尊淳、野村周平、千葉雄大、間宮祥太朗という平成でブレイクしたイケメン俳優たちを配して、生徒会長選挙バトルを繰り広げる高校生男子の姿を描いた古屋兎丸の同名漫画の実写映画化。

海帝高校の生徒会長になり、将来は総理大臣になることを目標にしている帝一(菅田将暉)は、2年の生徒会選挙で勝利するために1年のときから戦略を練り、現・生徒会長に取り入ったり、ライバルたちを蹴落としたりと、権力闘争にハマっていく。

何でも1番じゃないと気がすまず、総理大臣になって国を統治することまで考える野心家・帝一の「勝つためには何でもする」という極端な性格が面白すぎて大爆笑! 物語は学園の権力争いというドス黒い世界ながら、キャラも含めてすべてをデフォルメすることで強烈なブラックコメディに昇華させた永井聡監督の手腕はお見事です。男子校の青春映画といえばスポ根の印象が強かったけれど、エリート男子校の頭脳プレーによる闘いを描いた本作は、理系や草食男子が注目をあびた平成ならでは。クールとバカバカしさの塩梅が絶妙で、平成のコメディ映画の中でもトップ3に入る傑作と言えるでしょう。(2017年度作品)

アニメも含めて日本映画にとても活気があった平成時代。特にコメディ映画に良質な作品が多かったように思います。ベタな笑いでもブラックな笑いでも、笑顔は人を元気にしますからね。平成のコメディ映画5作品に大爆笑して、新しい時代の活力にしてください。

これは観ておきたい!平成の映画vol.4

Writer | 斎藤香

映画ライター 映画誌の編集者を経てフリーに。映画レビュー、監督&俳優へのインタビュー、書籍ライティングなどで活動中。映画のほかには教育関連の取材執筆もいたします。好きな監督はウディ・アレン、トーマス・アルフレッドソン、アルフレッド・ヒッチコックなど多数。

Banner

関連するポスト

Copyright (C) GAGA Corporation. All Rights Reserved.
GAGA