ホーム > 演技も演出もお手の物!俳優も監督もこなす多才な映画人の映画5選

演技も演出もお手の物!俳優も監督もこなす多才な映画人の映画5選

2019.07.03(Wed) | 清水久美子

「映画は監督のもの」という表現をよく耳にしますよね。その映画がどんな作品になるかは、監督の手腕やセンスにかかってきます。俳優たちに話を聞くと、「いつか監督をやってみたい」と語る人が多く、やはり映画に携わる者としては、自分の作品を生み出したいと一度は思うのではないでしょうか。今回は、俳優も監督もこなす才能豊かな映画人の作品を5本紹介します。

個性派俳優ポール・ダノの初監督映画『ワイルドライフ』
ワイルドライフ 
スイス・アーミー・マン』『グランドフィナーレ』『プリズナーズなど、数々の作品で活躍する演技派で個性派の俳優、ポール・ダノが監督デビューを飾り、サンダンス映画祭やカンヌ映画祭で絶賛を浴びた普遍的な家族の物語。

14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は、父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)と母ジャネット(キャリー・マリガン)と、モンタナ州の田舎町に引っ越してきます。新天地での生活がようやく軌道に乗ったかに思えましたが、ジェリーが職を失い、山火事を消す危険な仕事へと旅立ってしまいます。優しかった母は不安と孤独にさいなまれ、ジョーが知らない顔を見せるようになり…。

原作は、ピューリッァー賞作家リチャード・フォードが1990年に発表した「WILDLIFE」。ダノは監督だけではなく、『ルビー・スパークス』で共演したパートナー、ゾーイ・カザンと共同で脚本・製作も担当。ジョーの目を通して、両親が抱える葛藤を描き、バラバラになっていく家族の感情と、ジョーが大人になる過程が秀逸に映し出されます。ダノは、初監督作で大いに才能を発揮しています。

◆『ワイルドライフ
7月5日(金)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
(C) 2018 WILDLIFE 2016,LLC.
配給:キノフィルムズ
俳優ポール・ダノの怪演作『スイス・アーミー・マン』
スイスアーミーマン
本当に『ワイルドライフ』を撮った人!?と、思わず疑いたくなるような奇想天外な青春サバイバル・アドベンチャーで、ポール・ダノはダニエル・ラドクリフと共演し、超個性派演技を披露しています。

無人島で助けを待つ孤独な青年ハンク(ダノ)は、いくら待っても誰も来ないため、絶望の淵で自ら命を絶とうとします。その時、波打ち際に男の死体が流れ着き、ハンクは藁にもすがる思いで、その男・メニー(ダニエル・ラドクリフ)と“コミュニケーション”をとろうとします。死体であるがゆえガスが出るので、ガスの勢いでジェットスキーのように海の上を走ったり、硬直した体は斧のように薪割りに使えたりと、スイースアーミーナイフのような便利グッズとしてメニーに役立ってもらうハンクでしたが…。

本作で、ダノも大熱演していますが、ラドクリフのブッ飛びぶりに仰天します。『ハリー・ポッター』の面影はなく、不思議な死体になり切るラドクリフ。彼もダノも監督のダニエルズ(ダニエル・シャイナート/ダニエル・クワン)が求める演技に見事に応えており、ダノはこの経験を経て、彼自身の監督作に挑戦。『ワイルドライフ』とあわせて観ると、ダノの多才ぶりを実感できます。
高評価の監督デビュー作に主演したグザヴィエ・ドラン『マイ・マザー』
マイ・マザー
グザヴィエ・ドランが、19歳で監督デビューし、カンヌ映画祭で三冠という功績を残した半自伝的な物語。初監督作で世界を圧倒し、天才ぶりを発揮しました。監督・製作・脚本、そして主演も兼ねています。

カナダのケベック州の小さな町で暮らす17歳のユベール(ドラン)は、何かと口を挟んで自分をコントロールしようとする母親に苛立つ毎日を送っています。学校の先生に「母は死にました」と嘘をつくくらい、母への嫌悪感を抱くユベール。やがて、母に対する苛立ちは激しい憎悪へと変化していき…。

子役から演技をスタートし、イケメン俳優へと成長したドラン。才能あふれる彼は、独学で映画制作を学んで映画監督の道を目指しました。現在はカンヌの常連として知られています。圧倒的な映像センスの持ち主であり、観客を強く吸引する巧みなストーリーを紡ぎ出すドランが、監督と主演で見せる多才ぶりを堪能できる初監督作です。
自然体の魅力がたまらないグレタ・ガーウィグ『フランシス・ハ』
フランシスハ
20センチュリー・ウーマン『ローマでアモーレ』などに出演しているグレタ・ガーウィグが、『イカとクジラ』のノア・バームバック監督と共に脚本を務め、主演した、ニューヨークを舞台にモノクロの映像で描く、ちょっと風変わりなコメディドラマ。

27歳のフランシス(ガーウィグ)は、バレエカンパニーの研究生をしています。親友のソフィー(ミッキー・サムナー)とニューヨークのブルックリンで共同生活をしていましたが、ある行き違いから同居を解消することに。その後、フランシスは住む場所を求めてニューヨーク中を転々としつつ、人生に焦りを感じ始めるのですが…。

等身大の20代女性を絶妙に体現しているガーウィグ。自然体の彼女の魅力が溢れた一作です。ガーウィグは、彼女自身の半生を基に新たな物語を作り上げた『レディ・バード』を監督。脚本も担当したこの映画で、ガーウィグはアカデミー賞の監督賞と脚本賞にノミネートされました。主演作『フランシス・ハ』でも、監督作『レディ・バード』でも女性からの共感を呼ぶガーウィグは、多才な映画人として飛躍し続けています。
女性の支持を集め続ける名監督ソフィア・コッポラ『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』
ビガイルド
名匠フランシス・フォード・コッポラの娘として、父の監督作『ゴッドファーザー』シリーズなどに出演し、20代から監督業を開始したソフィア・コッポラ。『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』ブリングリングなど、次々と話題の映画を送り出し、監督・脚本・製作も担当する多才ぶりを披露し続けています。『The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ』は、彼女が新境地を開いた極上のスリラーで、カンヌ映画祭で監督賞を受賞しました。

南北戦争中、世間から隔絶された南部の女子寄宿学園に暮らす美しい女性たちは、負傷した北部の敵兵マクバニー(コリン・ファレル)の手当てをすることに。彼をめぐって、園長のマーサ(ニコール・キッドマン)や教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)、生徒のアリシア(エル・ファニング)らは、次第に惰欲と危険な嫉妬に支配され…。

演技よりも監督業で成功したソフィア・コッポラ。ポップでかわいらしい世界観の作品で女性たちから支持を集めてきた彼女ですが、ダークな本作も必見です。

俳優を経て、監督としても活躍する映画人の作品を5本紹介しました。全部、自信を持って面白いと断言できる秀作ばかりです。この機会にぜひ、彼ら・彼女らの力作を楽しんでください!

Writer | 清水久美子

映画・海外ドラマ・音楽ライター。昼はメーカーでOL、夜は音楽雑誌の編集アシスタントをこなした後、パソコン雑誌で編集業務に就く。その後フリーライターとなり、俳優や監督・ミュージシャンのインタビュー、執筆に日々奔走。試写室通いで時には1日4本の映画を観ることも。移動中もスマホは目が疲れるので、いつもポータブルDVDプレイヤー持参で何かしら観ています。

Banner

関連するポスト

Copyright (C) GAGA Corporation. All Rights Reserved.
GAGA