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その刹那を瞳に焼きつけて!妖しく、儚い美少年映画5選

2019.08.14(Wed) | 上原礼子

映画の中の美少年というと、まず誰を思い浮かべるでしょうか? “レオ様”ことレオナルド・ディカプリオ? 最旬のティモシー・シャラメ? 今は亡きリヴァー・フェニックス? 『ベニスに死す』のタジオことビョルン・アンドレセンは外せない、という方も多いかもしれません。この夏はアルゼンチンから、今年イチ押しの危なっかしくも妖しい美少年ロレンソ・フェロが日本に舞い降ります! その一瞬の輝きを焼きつけた初主演作『永遠に僕のもの』をはじめ美少年が登場する映画をピックアップしました。

陶酔!ロレンソ・フェロ『永遠に僕のもの』
永遠に僕のもの
“南米のディカプリオ”や“ポスト ティモシー・シャラメ”と、早くも日本でも話題となっている新星ロレンソ・フェロが主演、ペドロ・アルモドバルが製作をつとめる『永遠に僕のもの』。70年代初めのアルゼンチン、わずか数年の間に12名以上の殺人を犯しながら、そのあまりに美しいルックスから「ブラック・エンジェル」「死の天使」と呼ばれた実在の少年犯罪者がモデルとなっています。原題は、ずばり“天使”の『EL ANGEL』。

映画では冒頭、ベルボトムのデニムに着崩したイエローのTシャツ、さらにブロンドの巻き毛とトータルコーディネートされたかのような主人公カルリートス(ロレンソ・フェロ)が登場した瞬間から、視線がもう彼に釘付け。

その強烈すぎるカリスマ性に打ちのめされていると、悪びれもせずに豪邸中を物色しながら、おもむろにレコードをかけ、ひとりダンスを踊りはじめるカルリートス。ロレンソ自身が踊るこのダンスがまた独特で、妖艶で、不穏な魔性のダンス。罪人とはまるで無縁に思える、無邪気さがあるのです。

そんなカルリートスが学校で知り合い、窃盗のパートナーとなるのが、鋭い視線で野生的な色気を放つラモン。2人の間には友情以上のものが生まれますが、やがてラモンは、人を殺しても平然としている悪魔のようなブロンドの天使と距離を置くようになり……。

本作が映画デビュー作ながら圧倒的な存在感を見せるロレンソ・フェロ、そしてラモン役のチノ・ダリンは、今後の活躍も大いに期待したいところ。この2人だからこそ、犯罪伝記ものではなく、あくまでも“生きていること”を実感できない、満たされない思いを抱えた青春クライムムービーとして成り立っており、そこがまたほろ苦いのです。

『永遠に僕のもの』8/16(金)公開
(C) 2018 CAPITAL INTELECTUAL S.A / UNDERGROUND PRODUCCIONES / EL DESEO
幻!ティモシー・シャラメ『シークレット・チルドレン 禁じられた力』
シークレットチルドレン
『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ大ブレイクする以前のティモシー・シャラメが主演。8月16日から『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』(17)も公開されますが、本作は2015年製作で、色気づく(!?)前の瑞々しい少年っぽさが残る異色のSFスリラー。幻の主演作といわれるのも納得です。

主人公となるのは、生まれながらに瞬間移動の超能力を持つザック(ティモシー)とエヴァ(キーナン・シプカ)の兄妹。父ダニエルはその力を畏れ、使うことを固く禁じていました。兄妹の唯一の楽しみは、父の目を盗んで“瞬間移動”で家を抜け出し、力を使いながら水遊びや鬼ごっこをすることくらい。しかし、ある日、そんな彼らの日常が一変し……。

監督・脚本は、気鋭スタジオ「A24」による『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』で絶賛を浴びた撮影監督のアンドリュー・ドロス・パレルモ。外の世界から遮断された美しくも物寂しい森や、『君の名前で~』を彷彿とさせるような水辺のシーンの映像美はカメラマン出身の監督ならではといえます。
妖艶!エズラ・ミラー『少年は残酷な弓を射る』
少年は残酷な弓を射る
近年『ファンタスティック・ビースト』シリーズや『ジャスティス・リーグ』など超大作に起用されているエズラ・ミラーが、日本でも注目を集めるきっかけとなった衝撃のサスペンス。自身を「クィア(Queer)」と公言するエズラが18歳のときに出演した作品で、ジェンダーにとらわれない妖艶さを醸しつつ、相手の恐怖までも見抜いてしまう湿り気のある眼差しが印象的。

自由奔放に生きてきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)が、キャリアの途中で授かった息子ケヴィン。なぜか彼は幼い頃から、母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返します。それはもはや、異常なまでの悪意といっていいほど。やがてケヴィンは、エヴァのすべてを破壊する凄惨な事件を引き起こし……。

少年院に面会に来た母の前で、口の中から噛んだ爪を1つずつ取りだしていくシーン、幼い妹が義眼になる事故を起こしたばかりなのに、果汁を飛ばしながらライチをむさぼるシーンなど、ケヴィンの狂気に満ちた行動は決して気持ちのよいものではありませんが、魅惑的なエズラのせいでしょうか。鮮血のような色彩美に貫かれた本作を、時折、見返したくなるのです。
鮮烈!ニコラス・ホルト『シングルマン』
シングルマン
カリスマデザイナーのトム・フォードがコリン・ファースを主演に迎えた初監督作。コリン演じる大学教授ジョージに近づく美少年を、撮影当時18歳だったニコラス・ホルトが麗しく演じています。8月30日公開の主演作『トールキン 旅の始まり』や、『マッドマックス 怒りのデスロード』『X-MEN』シリーズなどで今や世界的人気俳優となったニコラスですが、本作で登場した際には、“あの『アバウト・ア・ボーイ』のキュートな少年がこんなに美しく成長していた!”と話題を呼びました。

16年間、共に暮らしたパートナー(マシュー・グード)を交通事故で亡くしてから8か月。「愛する者がいない人生に意味はあるのか?」日に日に深くなる悲しみを、自らの手で終わらせようと決意したジョージ。ところが、今日が人生最後の日だと決めて世界を眺めてみると、何かが違って見えてきて……。

愛した人との過去の記憶やジョージの悲嘆が徹底した美意識で描かれていく本作。その中で、ニコラスの青い炎のような瞳と淡いセーター姿が鮮烈で、コリンならずともドキドキしてしまうことでしょう。
狂騒!グザヴィエ・ドラン『胸騒ぎの恋人』
胸騒ぎの恋人
『Mommy/マミー』『たかが世界の終わり』などで知られるグザヴィエ・ドランの監督第2作は、自身も出演し、女性の親友と同じ人を好きになってしまう三角関係を描いたラブストーリー。監督デビュー作マイ・マザーから一転、切ない恋を色彩豊かなポップな世界観で描いています。

ゲイのフランシスが好きになったのは、親友のマリーも思いを寄せる金髪の美青年ニコラ。いつも気だるげなニコラの思わせぶりな態度もあって、親友同士なのに相手の内心を探るために悪口を言ったり、激しく嫉妬をしたり…。2人の思いはどこへーー。

“美しきカリスマ”といわれて久しいドランが叶わぬ恋に身もだえするところは見ものですが、ニコラ役のニールス・シュナイダーも生きた彫刻のように美しく、惚れてしまうのは仕方がないのかもしれません。

ディカプリオは今年で45歳(!)になるとか。かつては、ちょっぴりヤンチャな王子様ともてはやされた彼も、今や貫禄たっぷりのオスカー俳優。ブラッド・ピットと共演したクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で見せる新境地が好評を得ています。彼のように、今回挙げた5人も観る者を納得させられる演技力やカリスマ性を兼ね備えた俳優ばかり。将来も楽しみではありますが、映画の中だけで生き続ける、彼らの刹那をぜひその目に焼きつけてほしいと思います。

Writer | 上原礼子

情報誌・女性誌等の編集・ライターをへて、現在はWEBを中心にフリーに。1児の母。子ども、ネコ、英国俳優などが弱点。看護師専門誌で映画&DVDコーナーを14年担当したこともあり、医療や死生観などにも関心アリ。試写(映画館)忘備録と、映画を通じて悲嘆を癒やす試み【映画でグリーフワーク】をFacebookにて随時更新中。

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